おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2025.01.25column

22日ランドルフ・メーコン大学の皆さんによる見学会

1月22日16時、上京区の晴明神社前で米国バージニア州にあるランドルフ・メーコン大学のジム・ドーリング教授とその学生さんたち合計10人と待ち合せました。グループごとでの見学の1コースとして、私どもの新拠点もその一つに加えて頂きました。光栄です。

そういえば初めてドーリング教授と出会ったのも冬の日でした。2017年1月17日のことで、その時のことは、こちらで書いています。その後も交流が続きましたが、COVID-19 のためにお会いすることができなかったので、今回の再会は久しぶり。ドーリング教授のお元気な様子を拝見して嬉しく思いましたが、先生の目には、おそらく私どもの姿が年老いて見えたことでしょう。

せっかくお会いできるのだからと、まだ引っ越しが済んでいないミュージアムを見て貰うだけでは申し訳ないと思い、待ち合わせ場所を晴明神社にしました。

前もって神社の方にガイドをお願いしに行ったのですが、大祭があるので難しいということで、パンフレット2種類を用意して頂きました。英語版ではなかったので、俄か知識で簡単な説明をしましたが、こんなこともあろうかと通訳の中島綾子さんに同行して頂き、これが大正解でした。中島さんは今撮影中のアンナ・ウェルトナー監督『Toy Film Story(仮題)』の通訳として知り合い、撮影を通して当館のことを理解して下さっているのでとても心強かったです。

おもちゃ映画ミュージアム第二幕の拠点は上掲パンフレットに赤丸で記された「晴明神社」の直ぐ西です。

学生さんたちが拙い説明を真剣に聞いて下さり、傍の中島さんが通訳。写真中央に座っておられる座像が安倍晴明(920-1005年)。平安時代の天文学者で、朱雀帝から一条天皇の六代の天皇に仕え重用されました。日本における陰陽道の祖として今も多くの参拝者が訪れています。学生さんから、訪問前に東京の歌舞伎座で初春大歌舞伎『陰陽師』をご覧になったばかりだとお聞きしました。そうと聞けば尚更、安倍晴明屋敷跡にある晴明神社にご案内できて良かったです。学生さんたちにとって「吉凶を占う」という意味は分かりにくかったでしょうが、連れ合いが悪霊を取り払う「エクソシストの日本版みたいなもの」と言ったら、全員が納得した表情。最もわかりやすかったようです。

そこから西の黒門通までに歩いて数分のところにある「鎧廻舎・うさぎ塾」(京都市上京区黒門通一条上ル弾正町738-1 )へ案内しました。普段は一般公開されていないそうですが、新拠点の家主さんのお声がけで「同じ町内だから」と見学させて貰えることになりました。京都らしい佇まいの町家です。屋根の上の「鍾馗」さんも出迎えてくれました。

主に鉄砲が伝わる前の弓矢の時代の甲冑を研究制作されていて、全て絹糸で、それを染める作業もここでなさっているそうです。自然素材を用いて、出来るだけ綺麗な色糸作りを心掛けておられます。

「さすが京都!」という思いで拝見しました。静かな街中で面々と伝統の技が継承されていることに感銘を受けました。当館が所蔵する映像の中には、貴重な甲冑武者行列をパテ・ベビー(9.5㎜)で記録したものがあり、それも用いてのイベント企画があります。その時鎧廻屋さんと再び出会えるような気がして、これもご縁だなぁと思っています。

工房で、甲冑や兜などを間近で見せて頂きました。

「せっかくの機会だから」と兜を被らせていただくスペシャル体験も。最初に体験して下さった彼に感想を聞けば「重たい」と。実際のものより鉄小板などは減らして軽くしているそうですが、それでもずっしり重い。「昔は一日2食でお腹も空いていたでしょうに、重たい甲冑を着てたいへんでしたね」と馬鹿なことを言いましたら、「大将は直前まで被らず、傍にいる人が持っている」とのこと。それにしても鎧兜を身に着けての戦は大変でしたね。

異文化を体験できた貴重な瞬間。晴れやかな笑顔です。

順番に兜を被らせて貰い、お互いに写真の撮りっこをして、思い出を記録しました。

ジム・ドーリング教授もこのポーズ。

さらに、時代劇映画でご覧になるポーズも。誰でも兜を纏えばばやりたいしぐさ。先生、決まっています‼工房の方のご厚意で、10人全員が兜を被る貴重な体験をさせていただきました。

さらに二階も見学させていただきました。

これは絹糸を巻き取る機械でしょうか?使い込まれている道具の美しさがあります。

その横の棚には手染めされた絹糸がたくさん並んでいます。これ等を使って美しい甲冑や兜が作られるのですね。手仕事の技と美の世界。

くちなしの実がたくさんあって、これは色の実験中なのだそうです。日々こうして研究されているのですね。その貴重なヒトコマを見学させていただきました。最後に先に載せた記念写真を工房の方と一緒に撮ってお別れしました。鎧廻舎・うさぎ塾さま、貴重な体験をさせていただき、誠にありがとうございました💗

そこから、黒門通を北に歩いて1分、私どもの新拠点に到着。まだ引っ越し前で準備が整っていないのですが、少しばかり光学玩具とおもちゃ映写機を持参し、それを体験して貰いました。

身振り手振りで、日本では無声映画の残存率が極めて低く、上映後に「おもちゃ映画」として家庭用に売られていた断片でも貴重だと思い、それらを発掘して残す活動をしていることを話しました。中島さんの通訳で理解を助けて頂き、皆さんが拙い私の説明を聞いて下さっています。

実際に手回し映写機で時代劇映画の断片(35㎜)をご覧になっている様子。

もう一本2017年、古川タク先生がフィルムに直接絵を描いて下さったアニメーション『なまくら力 忍者篇』も楽しんで貰いました。

こちらは、昨年12月1日に完成披露したばかりの橋本型「ミュートスコープ」。ハンドルを回しておもちゃ映画ミュージアム内を撮影した動画を覗いて見て貰いました。約700枚からなる大きなパラパラ漫画です。第一幕のミュージアムが無くなっても、このハンドルを廻せば、どの様なところだったかが分かります。

手前は立体ビューワーを体験して貰っている様子。19世紀に考案された道具で、左右の写真が少しだけずれていて、レンズを通して覗くと絵が3Dのように立体的に見えます。このあと二階も見て貰いました。次にお会いできる時には、展示物も並び、映像もご覧頂けるように整えておきます。

第二幕拠点の家の前で記念写真。仲良くなって隣の女子学生さんとくっついて写真を撮りました。皆さん、明るくて気持ちが良い学生さんばかりでした🥰

プレゼントをもらって上機嫌の私。笑顔がチャーミングな女子学生さんです。

皆さんから贈っていただいた大学グッズのタオルとパズル。いつの日か、描かれている素敵なキャンパスを自分の目でも見てみたいなぁと思います。皆さんありがとうございました🎁

最後に「晴明神社前」バス停まで皆さんを無事にお見送りして短時間ではありましたが、22日の見学会を終えました。日本でのいくつか記憶に残る体験の一つになれば嬉しいです💕

【追記】当日、ジム・ドーリング教授がFacebookで書いてくださった記事を了承を得てご紹介します。

This afternoon, students in the film music class had the wonderful opportunity to spend time with Professor and Mrs. Ota, curators of the Toy Film Museum in Kyoto. They gave us a tour of the Seimei Shrine, dedicated to the astrologer, cosmologist, and astronomer of the Heian Period: Abe No Seimei.
We then visited the workshop of Japanese armor maker Ako Myochin, where we learned about the craft of creating authentic Japanese armor.
We finished at the new location of the Toy Film Museum, where students had a chance to see and try early examples of film equipment that were popular in Japan for home film viewing in the early days of cinema.
Many thanks to Professor and Mrs. Ota for their generosity and hospitality!
 
ドーリング先生、こうした機会を設けて下さってありがとうございました‼
とっても嬉しいです💗

 

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