おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2025.01.31column

大型家具などの引越しを終えて、ホッと一息

24日に計画していた大型家具の引越しだったのですが、思わぬことから20日に取りやめになり「ええっ!」の展開。この引越し屋さんは、昨年10月に知り合いの紹介で、実際に見に来てもらい、1月24日の引越しを決めていました。その直前の10月24日にFacebookで「どこの引越し屋さんが良かったですか?」と体験を募り、その意見も参考にしながら見積もりをお願いしたのですが、その時分はまだ具体的な引越し日が決まっていなかったこともあり、どこの引越し屋さんもみな「スマホをかざして遠隔で室内の様子を見ながら」という返事ばかり。実際に見に来てもらったのが決めた最大の理由でした。

とはいえ、取りやめになったものは仕方がないので、いろいろ声掛けを試みつつ、22日ネットで検索したサイトに依頼して、23日に下見に来てもらうことができました。一社ずつ時間差で下見に来てもらいましたが、最終的に決めた業者さんに質問したところ、「各社一緒に見積もりに来てもらっても大丈夫です。説明する方もその対応で時間を要するでしょうし」とのこと。「気を悪くされないように」と自分なりに配慮したのですが、確かに引っ越しの見積依頼の説明に荷造り作業を中断して、23日は目一杯でした。

この間も引越し作業の手伝いに幾人もの方が手伝いに来て下さいました。

25日は山梨県の都留文科大学の三井敏朗先生が来て下さり、荷物の梱包やパイプ椅子解体などの作業を手伝って下さいました。三井先生とは昨年夏に知り合ったばかりですのに、以降も同大学准教授ノルドストロム・ヨハン先生にお繋ぎ頂くなど、とても良くしてくださっています。こちらで三井先生との出会いのことを書いています。この時のブログ最後に書いた通り、「つくづく人の世はご縁で繋がっていますね」との思いを深めています。

パイプ椅子金属部分などの不用品を回収して貰った軽トラックを3人で見送った時の写真です。この路地の眺めも3月いっぱいかと。ご近所さんには本当に良くしてもらいました。コロナ禍がなければ、もっと8月の地蔵盆で地域貢献できたのに、とそれが残念です。

1月27日は河田隆史さんと山口博哉さんに手伝ってもらって、ガラスケースを運び出し、スチール製パイプ棚を組み立て直し。宇山隆之さんと伊能佑有也さんが17日に再組立して下さった展示棚とこのパイプ棚を使って、床置きしていた幻燈機や玩具映写機類を仮置き。28日、29日は正木隆之さんに手伝って貰いました。

名残惜しさも込めて引越し前夜、28日夜のミュージアムの眺めを記録。

正木さんが二階から眺めて「こう見たら、結構この家も広かったんですねぇ。これ全部持ち込むのは無理かもしれない。取捨選択するのは引越しの機会だからこそできること」と仰ったのに感謝。元はと言えば、こららのほとんどが当時、京田辺市にあった自宅に置いていたもの。廊下を歩くのも蟹さん歩きで、本当にモノで溢れて大変でした。その後のミュージアム運営で必要に駆られて購入した家具や備品類、木工製作が得意な連れ合いが手作りした展示用具などもたくさんありますし、余った木材も結構あります。自宅には段ボール箱にしまったままの大量の本類やその他諸々がそこここを占領し、ミュージアム運営でたまった資料類ファイルは自宅に多くを持ち帰ったとはいえ、それも大変な量。「断捨離」の難しさを心底実感しています。

同じような気持ちで、映画関係の仕事をされていたり、映画資料コレクターだった方のご遺族が、遺された資料の山を目の前にして途方に暮れて「廃棄」の選択をされる気持ちも分からないではありません。そうこうしているうちに貴重な映画関係資料がどんどん無くなってしまう。やはり個人で資料保存を継続していくのは限界があると、もの凄く実感しています。公的な映画博物館があれば、先ずはそこに寄贈していただき、研究者の目や手によって取捨選択して、次世代に残すべきものを保存して貰う場が必要だと強く思います。現在クラウドファンディングに挑戦中で、まだこれから予定している原状回復の工事にどれぐらい費用が必要かはやってみないことには分かりませんが、それでも応援して頂いたお金で賄いきれた場合は、その尊いお金をその博物館設立の準備に充てたいと思っています。少し落ち着いた頃に行政の人や温めているアイデア当該地域の人々とも相談しながら、そうした活動が展開できるよう努力したいです。こうしている間にも「廃棄」されているかもしれず、この問題は急がねばならないと思っています。

さて、29日の引越し日は寒い一日ではありましたが、青空がひろがる好天に恵まれました。朝8時40分ごろにサカイ引越センターの2トン車ショートタイプが到着。3人のスタッフさんが早速着手される前に、「撮影同意書」にサインして貰いました。アメリカのドキュメンタリー映画監督アンナ・ウェルトナーさんの『Toy Film Story(仮題)』の撮影を、引き続き黒瀬政男さんがして下さるからです。この日は大変効率よくテキパキと作業をして下さったので、そのお礼の意味も込めて、少しでも3人の姿が映り込んだ作品になると良いなぁと個人的には思っています。

先日ブログで書いた階段(この町家造作で費用をかけて大工さんに一枚板で作って貰った傾斜が緩やかな階段)を使って、二人のスタッフさんが展示棚を運び出し。

正木さんが「こんな大きな長持を初めて見た」と仰った長持が2つあります。手前の青いカバーで覆われているのは、そのうちの一つで、常設展示室で光学玩具などを上に置いて使っていました。その奥で覆いをされている展示ケースには写真や幻燈機のスライドなどを展示していました。この長持をトラックに縦に積まれたのは流石でした。

隣のマンション所有者の村上さんが、引越しのトラックが作業しやすいように駐車場を空けて使わせて下さいました。最後まで私どもの活動を応援して下さり、感謝で一杯です。

トラックは9時10分に第一便が上京区の新拠点に向けて出発。そのトラックが戻ってきたのが10時15分。積み込んで第二便が出発したのが10時半。そのトラックが戻ってきたのが11:15分で、第三便が11時40分に出発と休む間もなく作業をして下さって、昼には終了しました。第一目標とした大型の家具類は全て運んで貰いましたし、ほとんど運べないだろうと言われていた段ボール箱もいくらかは持って行ってもらいました。当日は3往復の約束でしたから、初期目標は叶いました。23日下見に来られた営業担当者さんは「5~6時間かかるだろう」と仰っていましたが、いやはやプロの仕事というのは凄いです。どのように積めば効率が良いか、瞬時に状況判断してテキパキと作業して下さいました。全く「ありがとうございました」の一言です。

新拠点では連れ合いと正木さんがスタンバイしていて運び込まれたものを次々と整理。今後は、近くのクリエイティブコモンズの稲場さんにお願いして音響関係を運んでもらい、セットをして頂きます。積み残した段ボール箱は追々自分たちで運びます。運び出した荷物のあとを掃除していたら、10年分の埃と共に土埃も相当にありました。この古民家の改修に当たって家主さん側は荒壁土の上に中塗り土を塗った「中塗り仕舞い」の施工でした。上壁塗装がないので、どうしても細かい土が落ちてきます。神戸映画資料館の安井館長さんは、当初から「機械には中塗り仕舞いは良くない」と仰っていましたが、プロジェクターなどにも負担があったと思います。こうした土埃も10年間吸ってきたのだなぁと思いながら、掃除の手を動かしました。新拠点はそうした心配がないのが良いです。

おおよその掃除を終えてから新拠点に向かいましたら、大阪芸大の宇山隆之さんが仕事の合間を縫って16時に来て下さるというので、遠くに置いている囲炉裏と鉄瓶を取りに京田辺まで急いで往復。他にもいくつか映画のセットに使って下されば良いと思うものを、正木さんの助言の通りに除けておきました。ちなみに、大阪芸大からの往路と京田辺往復では、京田辺からの戻りの方が早かったです。今さらながら、南河内の大阪芸大は遠かったのですねぇ。

到着するや否や、宇山さんは映画美術として活躍を希望している学生の伊能佑有也さんと辻井咲貴子さんをアシスタントにして、作業開始。17日に伊能さんに手伝ってもらいながら2階で組み立てた展示棚に重量があることから、そのうちの1つを1階に置き直すことにしたのです。2階で組み立てた1台を解体して1階に降ろし、設置場所の玄関入って直ぐの場所で組み立て直し。宇山さんは「最初に組み立てた場所で終わりだと思っていたのに、3回も組み立てることになるとは思ってもみなかった」と言いながら手を休ませず。伊能さんも辻井さんも宇山さんの指示を仰ぎながら作業を継続。生きた勉強になりますね。ちなみに、宇山さんの弟子だった大阪芸大出身の沖原正純さん『十一人の賊軍』と松本真太朗さん『正体』が、今年の第48回日本アカデミー賞優秀美術賞を受賞されました‼ 松本さんは、当館が2015年5月開館前にホールの床をコンクリート敷きにする際に宇山さんと一緒に手伝ってくれた若者です。最優秀美術賞に選ばれたなら何て素敵でしょう!今から発表が楽しみです。卒業生さんたちの活躍を耳にすると、喜びもひとしおです💗💛

そうして、さっさと組み立て直して完成。板壁の色とも調和し、この場所が良かったのかもしれません。中央に宇山さん、右が伊能さん、左が辻井さん。三人ともの今後の活躍を心から期待し、応援しています。この後3人は囲炉裏と鉄瓶を積み込み、もうすぐ始まる撮影のための材料買い出しに向かわれました。忙しい中を駆けつけて下さって、感謝感激です。ありがとうございました!!!

疲れ果てて家に戻ったら、台湾の女性映画監督郭珍弟(クオ・チェン・ティ)さんから、春節を祝うメールが届いていました。

2023年4月17日に来館いただいて以来、折に触れて季節のこうしたご挨拶を贈って下さいます。台湾は1月29日が旧正月をお祝いするおめでたい日だったのですね。「福」の文字が表す通り、お互いに実り多く幸せに満ちた一年になりますよう心から願います。郭監督は、おもちゃ映写機も登場する新作に取り組んでおられます。その完成を大いに楽しみにしています。

以上、2025年1月29日の引越しレポートでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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