おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2021.08.21column

戦争という名の国策で翻弄された人々

今朝の京都新聞に、昨年8月23日「満州」から引き上げてきた体験を話して下さった黒田雅夫さんが大きく載っていました。18日に黒田さんから電話を頂戴し、「8月15日から京都新聞のインターネット版に載っているから」と教えて貰ったばかりでしたが、新聞紙面で大きく載っているのを拝見するのも嬉しいものです。

黒田さんのもとには、朝から次々と電話がかかってきて、今日は嬉しい悲鳴だったとか。日頃から積極的に体験を発信しておられるからこそのネットワークですね。昨年の催しに参加して下さったことを契機に交流が始まった「京都原爆展を成功させる会」メンバーの熊谷さんが午前の会合を終えて、14時からの上映『日本人の忘れもの  フィリピンと中国の残留邦人』を見に駆けつけてくださいました。熊谷さんのお兄さんが若くして戦死され、その報告を受けた時のお母さまの嘆き悲しむ様子が忘れられず、「戦争は繰り返してはならない」と、こうした活動を熱心に応援されています。

昨年の当館イベントで熊谷さんが黒田さんと知り合ったことで、メンバーに提案して、来月4~5日南区の唐橋公民館で開催される「原爆と戦争展」戦争体験者の証言(14時~)に黒田さんも登壇されることになったのだそうです。

4日は先日戦争孤児“駅の子”で紹介した小倉勇さん、5日は黒田さん、6日は橋本善則さん。橋本さんに私はまだお会いしていませんが、福井空襲で家が焼かれて家族がバラバラになり、転々とした辛い子ども時代を過されました。ニューギニアで戦死したお父様の遺骨が帰るまで自分の戦争は終わらないと発言されています。

今日の上映会には、40代の女性も参加してくださり熱心にご覧頂きました。上映後の熊谷さんとのおしゃべりにも混じってくださいました。まだお若い方が興味を持ってくださることが嬉しかったのでお尋ねしましたら、『日本人の忘れもの』に登場し、残留者救済に奔走される河合弘之弁護士の話を以前聞きに行ったことがあるそうで、チラシを見て初めてご来館いただきました。こうした平和を願うネットワークが広がっていくのは、喜ばしいことです。

映画にも登場するNPO法人フィリピン日系人リーガルサポートセンターのリーフレットの1頁。日本国籍が認められない限り、残留2世たちは「無国籍」という不安定な状態のまま暮らすしかありません。

「父の祖国を見たい」「日本の親族に会いたい」という高齢になった2世の人々の願いが叶えられるよう、先ずはどういう問題があるのかを知って頂きたいです。9月26日まで月・火曜の休館日を除く毎日14時から上映していますので、コロナで出歩きにくい時期ではありますが、ご覧頂ければ幸いです。

 

 

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