2023.09.11column
京大人文研アカデミー2023 レクチャー上映会「大正期の映画と民衆宗教」のご案内
つい先ほど、3月の下鴨映画祭アーカイブ映像期間限定無料配信の案内を書いたばかりなのですが、そこでご覧頂けるのは、無声映画に語りを付ける現役の活動写真弁士4名と和洋合奏団の演奏です。
そのうちの一人、坂本頼光さんのことが載った7月29日付け新聞によれば、現在16名の活動写真弁士がおられるということですが、広い世間には地域で地道に活動されている活弁士や楽士さんもおられるのですね。その一組の「夫婦活弁士むっちゃん・かっちゃん」と楽士野原直子さんをお招きしての京都大学人文科学研究所アカデミー2023「レクチャー上映会 大正期の映画と民衆宗教 活弁士による『性は善』上映を通して」が11月5日に開催されます。ご案内いただいたのは、当日司会を担当される人文研の高木博志教授です。
11月5日に研究発表される兒山陽子さんは、高木先生のご紹介で2022年5月29日に来館いただき、金光教と芸能、花街について研究しておられることをお聞きしました。いよいよその成果を発表されることになったのですね。岡山で金光教と言ったら、日本映画の父・牧野省三をすぐに思い浮かべてしまいます。彼は金光教の熱心な信者でした。その関係でしょうか、もう一人の発表者はマキノ映画も研究されている国立映画アーカイブの冨田美香さんです。
そもそもの発端は2012年岡山理科大学の世良利和先生が兒山さんが勤務する金光図書館の所蔵フィルムを調査されたことから。それらのフィルムは国立映画アーカイブに寄贈されたのですが、その中に今回上映する『性は善』(1924年)も含まれていたことが、大正時代の上映に関する新聞記事内容と照合して確認できたのだそうです。監督の川口吉太郎は、帝国キネマの元撮影所長で、彼も金光教の信者だったことから、信仰心をもとにした作品で、出演者は全員金光教の信者だそうです。全5巻の内、3、4巻が欠落していて、今度の上映会を機会に、どこかの金光教教会から見つかると良いですね。
もう1作品は牧野省三監督、尾上松之助主演の『豪傑児雷也』(1921年、日活京都撮影所)。「目玉の松ちゃん」こと尾上松之助の変身ぶりが見ものの娯楽時代劇。「夫婦活弁士むっちゃん・かっちゃん」と楽士・野原直子さんのパフォーマンスで見る無声映画、楽しみですね。
開催は11月5日(日)14:00~17:00で、開場は13:30~。会場は京都大学百周年時計台記念館。当日500人(予約不要)で参加無料です。詳しくは、こちらをご覧下さい。『性は善』については、こちらをどうぞ。