おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2023.12.18column

最近出会ったお客様の中から

多忙故に一年分を後回しにしていた事務処理のツケが回って来て大焦り。本当に時間が足りない毎日を過ごしています。その間にもいろいろお客様との出会いがあるのですが、なかなか書けずにおり申し訳ないです。遅まきながら、そんな出会いの中から幾人かをご紹介。

12月10日オーストラリアのメルボルンからお越しのAran Treismanさん。無声映画が好きだと仰って。

手回し映写機で、おもちゃ映画の体験も。丁度今、1945年敗戦後、日本兵がオーストラリアの北西にあるブーゲンビル島でJSP(降伏日本兵)としてオーストラリア軍の管理下で抑留されていた当時に綴られた「田所日記」の展示もしているので、こうしてお互いの国の者同士が、“映画”を媒体に交流できることを喜びます。

12月14日に、開催中の南方抑留展を見に来て下さった四國光さん。私が手にしている本が今年5月30日藤原書店から出版された光さん著『反戦平和の詩画人 四國五郎』です。お父様の五郎さんは3年強にわたってシベリア抑留を経験。帰国後に一緒に絵を描こうと誓い合っていた弟さんの被爆死を知り衝撃を受けます。以後生涯をかけて反戦平和のために、絵と詩で膨大な作品を描き残しました。

昨年12月「シベリア抑留って、知っていますか? Part2」をした時に、苛烈なシベリア抑留体験を絵と文で記録した大著『わが青春の記録』(全2巻)から、展示場所の狭さもあって絵を厳選して頂き、光さんに各キャプションを書いて頂きました。

絵だけでなく、『わが青春の記録』そのものも展示していたのですが、この本のことを教えて下さったのが、上掲写真右に写っている後藤由美子さん。京都家庭文庫地域連絡会/京庫連平和文庫の活動をされています。以前石井桃子さんのドキュメンタリー映画三部作を上映した折に知り合い、こうした場面でさまざまに助けて貰っています。今回の展示でも武田一義著『ペリリュー―楽園のゲルニカ』(全11冊)、思わず目をそむけたくなるような絵が綴られたジャック・チョーカー著『IMAGES AS AJAPANESE PRISONER OF WAR』(英国の軍人としてシンガポールで日本軍の捕虜になり、苛烈な労働を強いられた体験を描いています)、アネ=ルト・ウェルトハイム著『母が作ってくれたすごろく-ジャワ島日本軍抑留所での子ども時代』、仲野信夫の回想インパール作戦『「赤紙」って、なに?』をお借りして展示しています。

2人とも、四國光さんに大きな文字でサインを書いて貰って、「記念になる」と満足の表情。この本も並べておりますので、ぜひお手に取ってご覧下さい。

12月15日台湾からお越しの蘇子翔さん(右)と黄可昕さん。黄さんは日本の無声映画にとっても詳しくて、当館が残存率が極めて少ない日本の無声映画発掘と保存を活動の柱にしていることを「とても素晴らしい」と労って下さいました。まだ先のことはわかりませんが、来春「台湾で再会できたら良いねぇ」と話しました。

同じく12月15日にお越し下さった早稲田大学名誉教授の草原真知子先生。1月5日~3月3日まで開催する「友禅染の着物で“映画”をまとう~初期映画と染織に尽力した稲畑勝太郎にも触れて~」の展示の打ち合わせに来て下さいました。この展覧会では、先生が20年以上にわたって集められた貴重な「面白柄」着物コレクションの数々をご紹介します。初日5日15時から、メディア考古学の第一人者エルキ・フータモUCLA教授の特別講演もございます。

右は10月29日東京の豊島区立舞台芸術交流センター「あうるすぽっと」で開催されたシンポジウム「伝説の人形アニメ映画の秘史を探る ティム・バートン監督にも影響を与えた持永只仁と人形製作所(雑司ヶ谷)」を実行された壱岐國芳さん。こんな短期間で再会できるとは思いもせず💗シンポジウムは大変な盛況で、何よりでした。持永只仁監督がなさったことが、こうして熱心な人々によって語り伝えられることはとても大切なことだと思い、活動に頭が下がります。
 
写真のバックに写り込んでいるのは、試しに掛けた私の「面白柄」コレクション2枚。右は「凸凹黒兵衛」を描いたモスリン着物。大きいので男性用かしら?左は羽裏に1926年製作、1927年公開の100年後の近未来を描いたフリッツ・ラング監督『メトロポリス』。表地も正絹ですが、裏も羽二重のモダン柄。先生のコレクションはこんなものではありません。ぜひ見にいらして下さいね‼詳しくは、こちらで書きました。
 
 
12月16日にカナダのモントリオールから来てくださったAneta Kさん。2年前カナダの大学を卒業して映画の衣装と製作を担当。これからロンドンに向かい、映画の仕事をするそうです。サイレント映画が大好きだそうで、来館をとても喜んで気に入って下さいました。大きな国土のカナダに2本目のピンでマーキング。またいつか会えると嬉しいと思わせる女性でした。
 
 
映画製作の参考になればと思って小津安二郎監督『突貫小僧』を見せてあげました。面白がってくれましたが、小津監督の名前はご存知じゃなかったので、ちょっと意外な感じ。
 
そして、12月17日来館の背が高いMax Kaneさん。紙フィルムに魅せられているバックネル大学エリック・フェデン教授の教え子だそうで、私が急遽手にして写真に納まっているのは、レフシー紙フィルムの箱。先日届いたエリック先生からのメールでは「オーファン・フィルム・シンポジウム(https://wp.nyu.edu/orphanfilm/)から、紙フィルム(15分程度)のショートプログラムのキュレーターとして招待されました。 このプログラムは、4月10日から4月13日まで、ニューヨークの映像博物館で上映される予定です」という事で、当館から提供した紙フィルムを何本か使って紹介される見込みです。世界に紙フィルムのことを知って貰える良い機会になります。
 
彼が興味を持ったのが、吉田稔美さんが作ったピープショー『妹背山・吉野川』。文楽のことや、日本の活弁文化などをシドロモドロになりながら説明しました。活弁の見本にと、ランドルフメーコン大学のカイル先生に英語で活弁して貰ったバージョンで小津安二郎監督『突貫小僧』を見て貰ったら、ゲラゲラ笑って。小津監督の名前を彼も知らなかったので「おや?」と思いましたが、『東京物語』の監督と言えば二人とも直ぐに判ったのだと、後でわかりました。笑顔が素敵で、なんとなく野球のヌートバー選手に似ていると思ったのですが、AnetaさんもMaxさんも野球には興味がないみたいで、その点は拍子抜け。
 
この日は京都大学東南アジア地域研究研究所の山本博之准教授ご夫妻もお越しになり、展覧会で展示している野田明さんが持ち帰られた手作り文集『噴焔』活字化に向けて前向きに進んでいることをお聞きして、大変嬉しく思いました。10日に島田潤様からお預かりした手作り文集『新土-捕らわれの島レンバン島の記』や映像も見て頂きました。この展覧会も24日までですので、残り僅か。抑留当時に描いたスケッチ画はとても貴重です。この機会にぜひご覧下さい。宜しくお願いいたします。

 

 

 

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