2024.01.13column
京都新聞で開催中の「友禅染めの着物で“映画”をまとう」の紹介記事掲載‼
今朝の京都新聞地域総合面に、開催中の「友禅染めの着物で“映画”をまとう-初期映画と染織に尽力した稲畑勝太郎にも触れて-」と1月5日のオープニング・トークイベントについて書いて頂きました。文字数の関係だったのでしょう、稲畑勝太郎が染織について尽力したことまでは記事では触れられていませんが、12月17日付け新着情報で書いた通り日本の染織分野において多大な貢献をしています。
写真は1月11日来館いただいた国立映画アーカイブ学芸課長の入江良郎さんが、モスリン生地の長着に触れてその手触りを体験しておられるところ。1896(明治29)年、稲畑勝太郎はモスリンを国産で生産できるよう自らフランスでその技術を学び、最良の機械を選定し日本に持ち込みました。その折に、かつてフランス留学時代の同級生だったオーギュスト・リュミエールと再会し、弟のルイと兄弟で発明したシネマトグラフを見て、動く写真に驚きます。そしてリュミエール社から派遣されたカメラマンで映写技師のコンスタン・ジレルを伴って日本にシネマトグラフを持ち込みます。5日のオープニングトークイベントでスピーチをして下さった稲畑産業㈱広報部長橋本幹樹さんも、稲畑勝太郎の研究をされている長谷憲一郎さんも、同じようにこのモスリン生地を触って「これがモスリンですか。初めてわかりました」と仰っていました。日本の映画のあけぼのの背景に、このモスリン生地があったのです。薄くて暖かくふんわりとした平織りの毛織物です。今『稲畑勝太郎君傳』を繰っていると、このモスリン国産化にあたって、氏は並大抵ではない相当な苦労をされたようです。
入江さんと一緒にノンフィルムの調査に来館された戸田 桂様にも「せっかくの機会ですか」と、着物柄のパズルに挑戦して頂きました。いろんな模様のパターンを用意しましたので、来館の折りは皆さんもぜひ遊んでみてください。パソコンがない手作業の時代にあって、長方形の型紙を繋ぐことを繰り返しながら切れ目ない模様を付けていきましたが、その技術も素晴らしいですし、そうやって染めた着尺を着物に仕立てる場合も、なるべく違和感がないよう工夫して繋ぐその技術も素晴らしいです。
今日は河原町の画箋堂でバーゲン初日、朝のうちに出かけて染色絵具を買ってきました。生成りのエコバッグを既に用意していますので、2月25日は、これに染色絵具で絵を描き、自分だけのエコバッグを作るワークショップを開催します。好きなものを自由に描いて貰えば良いのですが、せっかくなら当館にあるものを見て描いて貰うのも個性があって良いのでは。それでも「自分で考えて描くのは、苦手」という人のために、5日に参加して下さったメディアアーティストで『100かいだてのいえ』(偕成社)シリーズで著名な絵本作家いわいとしおさんに、簡単な絵を描いて貰いました。それを真似ても良いですね。
どんな絵かは、当日のお楽しみ💝 写真は『100かいだてのいえ』にサインを書いて頂いたところ。ちか、うみ、そら、もり、と続き、昨年は『ぬまの100かいだてのいえ』を出版されています。後ほど公開する動画をご覧くだされば、メディアアーティストとしてもご活躍されている様子が分かります。
奥様の田中清代さんにも、迫力がある大きなトマトの顔を描いた『トマトさん』(福音館書店)にサインをして頂きました。次の表紙を撮った写真と見比べると、
トマトさんの目の向きが反対。実はちょっと見た目にはわかりませんが、この作品は銅版画で描かれているのです。絵本をめくると「ある なつの ひるさがり。まっかに うれた トマトさんが トマトのきから どった、と おちた。」から始まり、ほかにも楽しい擬音語、擬態語がでてきます。私は絵も苦手で、描くとしたら隅っこに小さくしかできないでしょうが、田中さんの「どった」という表現に力を貰って、「好きな果物の絵や飼っていた犬の足型などを、大きくエコバッグに描いてみるのも楽しそうだな」と思います。
チラシに掲載しました通り、2月25日(日)10時からと13時半からの二部制で、各回6名です。指導は京都市立芸大出身者3名です。参加費は1200円(材料費と入館料込み)。お申し込みをお待ちしております。当館はもともと型染友禅をされていた家でしたから、今の展示とも関連し、ふさわしいワークショップになると楽しみにしています💖