2025.01.05column
次々とクラウドファンディング応援メッセージ①
2024年12月28日ミュージアム移転に際しての資金援助を求めるクラウドファンディングhttps://camp-fire.jp/projects/811613/がいきなりスタートしましたが、これを書いている1月5日現在、121人もの方からのご支援を受け、ネクストゴールに掲げた225万円達成が目前になっています。皆様からお寄せいただいたご支援に心より御礼を申し上げます!!!!!
それぞれの方がクラウドファンディングに応じて下さったときに頂戴したメッセージはこちらで読むことができます。
それを読み乍ら、思いやりに感動すると同時に、これからの活動により一層尽力していかなければと強く思います。
クラファン開始以来、私どものクラファンサイトとは別に、メールやSNSなどでお書き下さった応援メッセージもございますので、その中から許可を得て幾人かのお言葉を紹介させていただきます。
①アニメーション監督、東京藝術大学大学院映像研究科教授の伊藤有壱先生。クラファンサイトでも応援メッセージを紹介していますが、こちらは長いバージョンです。
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京都は壬生。後院通りをちょっと入った古い町家の板壁にあの丸い看板。引き戸を開けた途端、ぎっしり並ぶ古い映像玩具や動画装置に見おろされて細い通路を奥へ進むあの感覚は一生忘れません。まるで15世紀以降ヨーロッパの王侯貴族から始まったという「ヴンダーカンマー:驚異の部屋」の映像版!
2019年、私と東京藝大大学院アニメーション専攻立体ゼミ有志による『ストップモーションアニミズム展 in 京都』では大変お世話になりました。アニメーションの原点とも言えるソーマトロープやフェイナキスティコープ達に見守られての駒撮りアニメーション作品群は、シアター鑑賞とは異なる輝きを確かに放っていました。
公式サイトのブログにはひっきりなしに訪れる国内外の来場者と主宰 太田先生と奥様の交流が生き生きと描かれ、また行ってみたい気持ちにさせてくれます。映画への深い知見と希少な映像装置の体験、数々の濃厚な企画展や体験ワークショップ等、歴史と今をつなぐ活きた「場」の魅力に溢れたミュージアムは早々他国でも出会えません。(個人的にはチェコの「カレル・ゼマンミュージアム」を想起します。)
馴染み深い壬生の京町家からの移転は名残惜しいけれど、それ以上に『京都おもちゃ映画ミュージアム』の次なるステージを観るのが楽しみでなりません。そしていつかまたここに相応しいとびきり面白い企画展ができます様に。
本ミュージアムの1ファンとしても、ぜひ『京都おもちゃ映画ミュージアム』の未来を多くの方に応援・ご協力いただければ幸いです。
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私は2019年9月19日付け朝日新聞夕刊連載「まだまだ勝手に関西遺産」で当館を取り上げて頂いた折り、記事左下に載った伊藤先生のコメントが気に入って、ずっとミュージアム内で掲示していました。2024年12月半ば、大阪へ向かわれる前にお立ち寄り頂いた際にも、掲示しているのを見て頂きました。何が好きかといえば、「路地裏遊びの延長のような雰囲気」という表現です。そのように感じて下さったことが嬉しかったです。
写真は12月に来館された折りのもの。久しぶりの再会で、嬉しそうに連れ合いが話かけているのを、優しそうに聞いて下さっています。左に座って、12月1日初披露したばかりの「橋本型」ミュートスコープを体験されているのは、京都精華大学の辻田幸廣先生。辻田先生とも久しぶりの再会でした。伊藤先生は東京藝大のサバティカル研修期間を活用して「ストップモーションアニメーション教育機関とスタジオの関係」の調査で、6~12月迄計10カ国、中欧を中心とした視察を終えられて帰国されたばかりでした。早速「その見聞録を聞きたいと」提案して、報告会のひとつを私どもの新拠点ですることに同意いただきました。追々話し合いながら詰めていき、決まり次第ご案内いたしますので、どうぞ、楽しみになさってください‼
伊藤先生が今尽力されているのが、故川本喜八郎さんによる『蓮如とその母』(脚本:新藤兼人)上映です。来る1月11日が川本さんの生誕100年ということで、その日特別に東京の新文芸坐で上映されます。川本さんの人形は2017年11月当館で『死者の書』を展示させて貰ったのを端緒に、2019年10月には京都国際映画祭で『花折り』を上映、昨年は普及用に作られた16㎜版『蓮如とその母』のデジタル化をしたというご縁もあります。『蓮如とその母』は、なかなか劇場上映される機会がない作品ですので、ぜひ、この機会にご覧ください。
②日本アニメーション協会名誉会長の古川タク先生は、伊藤先生たちより一足早い12月14日にご来館。京都祇園のCAFE GALLERY「フク和ウチ」で第53回日本漫画家協会賞大賞受賞された記念に開催された「古川タクのタクペディア・ヒトコママンガカレンダー展」の合間を縫って足を運んで下さいました。先生が覗いておられるミュートスコープのリールのタイトルは『THE SECOND WAR』。850枚から成る巨大なパラパラ漫画です。それを見るための本体をメディアアーティストの橋本典久さんが作って下さいました。
古川先生は、12月29日にSNSで、「おもちゃ映画ミュージアムは、とっても面白い場所なんです。ぜひ、みなさまのご支援をお願いします」と呼びかけて下さいました。
そればかりでなく、今回のクラファンのリターン品にボランティアでご協力いただきました。それはTシャツ「TAKUN WALK」のイラスト、橋本典久さん制作プラクシノスコープのリール「見たり、見られたり」のイラスト、80コマのフィルムに黒のサインペンで手描きして下さった「なまくら力 忍者篇」と多彩です。このフィルムをご覧になっている様子は、クラファンサイトで載せました。プラクシノスコープやフィルムは高額支援へのリターンに設定しましたので、今のところ希望者はございませんが、担当者の人は「大口の人が必ず現れる」と仰いましたので、その瞬間を待ちたいです。ぜひ企業さんあたりから応援を頂き、近くの科学博物館などに寄贈して頂ければ、幾重にも社会貢献に繋がると思うのですが、如何でしょう?
③ロチェスター大学教授のジョアン・ベルナルディ先生
12月28日にSNSで発信して下さったのは下記。
For those of you familiar with the TOY FILM MUSEUM (おもちゃ映画ミュージアム) in Kyoto, the founders Yoneo and Fumiyo Ota are currently running a Crowdfunding campaign on Campfire to help subsidize the museum's upcoming move to and renovation of its new location in the Nishijin area of Kyoto. Please share!
同様に、キャンプファイヤーのサイトでも、
おもちゃ映画ミュージアムの新しい場所への移転をサポートできることを嬉しく思います。ミュージアムは、過去 10 年間にわたって映画に関する京都文化を世界に発信してきたユニークな文化財です。また何度も訪れるのを楽しみにしています!
と発信して下さいました。ベルナルディ教授と連れ合いは彼女が日本に留学した20歳の時から交流があります。一昨年9月アメリカのニューヨーク市にあるコロンビア大学にお招きいただいた背景には、ベルナルディ教授の多大な貢献がありました。コロナ禍で思うように開館できなかった期間に、所蔵しているおもちゃ映画を主に時系列に編集して『おもちゃ映画で見た日中戦争』を作りました。それを2023年9月17日、コロンビア大学で松村牧亜さんのピアノ生演奏付きで世界初上映しました。
各映画断片には、専門家の意見を参考にした解説を付し、その翻訳をベルナルディ教授(下掲写真右から2人目)が翻訳だけでなく、日本語の文言や歴史的な背景まで調査して、とても分かり易く紹介して頂きました。作品の英語版スーパーバイザーという大変な作業を引き受けてくださいました。その作品をコロンビア大学東アジア言語・文化学部ジェイン・ゲインズ教授に紹介してくださり、同大学での上映を提案して下さいました。私が連れ合いと共に渡米できたのも、ベルナルディ先生の計らいで、ドナルド・キーン財団の援助があってこそでした。「感謝」の言葉しか思い浮かびません。本当にありがとうございました!!!!!
写真は2023年9月17日コロンビア大学のレンフェストセンターの立派なホールで、上映前にお客様に挨拶されるジェイン・ゲインズ教授。プレゼントしたおもちゃ映写機がスピーチ台の上ですまし顔をしています。かつて日本のご家庭では、この手回しの小さな映写機を使って、おもちゃ映画をご覧になっていました。どこのうちにでもあったわけではなく、比較的余裕があったお宅でしょう。映画館で上映されたあと、無声映画の面白いところを切って、それを家庭用に販売していました。今回の作品では35㎜のそれらおもちゃ映画の中からニュース映画を中心にし、9.5㎜で撮影された映像も用いて1時間43分の作品に仕上げました。左端におられるのが、コロンビア大学准教授の角田拓也先生です。訪米に際しては、これら3名様始め多くの方に多大な援助を頂きました。改めて御礼を申し上げます。
コロンビア大学の歓迎会で大勢の人を紹介して貰いましたが、左の男性は、その内のお一人でニューヨーク映画祭などのプログラム・フェスティバル・ディレクターとして活躍されたリチャード・ペーニャ教授。
この写真は、コロンビア大学にあるゲインズ教授の研究室を訪問しようと1階のエレベーター前で。壁に上映するチラシが貼ってあったので嬉しくて記念に撮りました。撮影者は角田先生。チラシ作成は、東アジア言語・文化学部大学の院生さん。皆さんに大変良くして頂きました。弾丸での訪米旅行でしたが、楽しい思い出がたくさんできました💗
日本映画に関する研究で、海外の映画研究者に情報提供しその研究をサポートした面でベルナルディ教授が果たした役割は相当大きいと言えましょう。今年新しい拠点でお会いできることをとても楽しみにしています。いつも応援ありがとうございます!!!!!