おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2023.12.23column

明日最終日!野田明が残したマレー抑留のスケッチ画展

チラシにもお名前を載せた長崎新聞犬塚泉記者さんが、12月15日付け紙面で大きく報道して下さり、先日送って下さいましたのでご紹介します。

今頃気付きましたが、長崎新聞には紙面編集者のお名前も載っているのですね。当日は野田明さんのご長男明廣さんが第二部で登壇され、上掲写真のように岡山大学の中尾知代先生と対談。命懸けで持ち帰られたイギリス軍下での抑留生活を記録した貴重な野田さんのスケッチ画は、大切なものだと米びつの中に保存しておられたそうです。時折取り出してはご家族の方に当時の思い出を語っておられたらしく、明廣さんは次々と投影して紹介したスケッチ画や川柳などについてお父様からお聞きになっていたことをよく覚えておられて、お話して下さいました。2日の動画は近日公開しようと思っています。

2日の講演会に参加して下さった奥様の多恵先生からお話をお聞きになった京都大学東アジア地域研究研究所准教授の山本博之先生が、3日ご夫妻で来館され、私が「“エンダウ海軍作業隊”の皆さんが力を合わせて手作りした文集『噴焔』を活字化すれば貴重な資料になると思うので、どなたか手伝って下さらないかしら」と会場で話したのと同じことを申しましたら、その場で手を挙げて下さいました。そのことはこちらでも少し書きました。余りに嬉しかったので、その場で野田明廣さん、中尾先生、犬塚記者さんに連絡しました。犬塚記者さんが早速山本先生に取材して下さったことが記事に反映しています。

17日に中尾先生とお会いされた後で、ご夫妻でもう一度しっかりと展示を見ておこうということで来館され、『噴焔』の全紙面を複写したファイルからも気付きがたくさんあったとお聞きしました。良いご縁を本当に嬉しく思います。2015年NHK長崎放送で野田さんを特集した番組で「500枚書いた」と仰っているので、持ち帰られた150枚の他に350枚が「復員局に送られた」と仮定すると、それがどこかにしまわれたままになっていやしないかとも思うので、その調査もお願いしたいと勝手に要望しました。

中尾先生からは、2日同志社大学で参加者の皆さんにご覧頂いた南方抑留時の降伏日本兵を撮影した動画も貴重な資料だと言って貰えました。この動画と、その後知り合いの正木さんから寄贈して頂いたオランダ軍下のインドネシアのロアクールである事件の責任者として銃殺刑に処せられた29歳の水口繁主計大尉のドキュメンタリー映画も見て貰っています。もう御一方、オーストラリア軍支配下で降伏日本兵としてタウノ島へ移されて収容生活を送った日々を記録しておられた田所将校の日記も展示しています。3地域に共通するのは極限のひもじさですね。今も世界各地で戦争状態が続いていますが、同じことが繰り返されているのでしょう。一日も早く終息することを願うばかりです。

20日ご来館いただいた方から、展覧会を見ての感想が届きましたので、許可を得て掲載します。

…………今日はありがとうございました。 スタッフの方にこのマレー抑留の催しを最初どこで知ったのかとのお尋ねに、その時はおぼろげな記憶だったのですが、帰途、「京都新聞デジタルサービス」の記事で知ったことを思い出しました。自分は大学時代を京都で過ごし、故郷に帰ってからも京都に興味があり寺社参拝が主になりますが京都を訪れ、その情報源として前述のサービスも利用しています。南方抑留についていくつか他のコンテンツも見てみると、これまで知っているシベリア抑留よりも厳しくない印象でした。とはいっても現代の豊かな生活状況から考えると比べものにならない日々だったであろうと思いながらも、その厳しい様子をあまりイメージすることができませんでした。現物の絵を見ることでもっと感じることができればと考え、貴ミュージアムに行かせていただいた次第です。

野田さんが持ち帰られた絵以外の、日本への帰還を求めるために送られたであろう絵にはもっと厳しいその頃の現実が描かれていたのではないかとのお話に、確かにそうであろうと想像しました。 今回、展示を見せてもらって新たに驚いたのは、現地で十分なものがない中で、絵を描くために紙を漉いたり、絵の具がない中で「赤チン」のような薬品を混ぜながら色を作ったり、また、シュロの葉っぱで演劇のカツラを作ったりされていたことなどを知りました。十分なものがなくても工夫と努力で物を作られたり、現地の人々と交流して生活を乗り切っておられたりしている様子に、とても大きなたくましさを感じました。 今回、おもちゃ映画などの展示物は十分見る余裕がありませんでしたが、また、いつか再訪したいと思いました。 ありがとうございました。…………

今日は午後に他の催しをするため見学は午前中のみです。明日は10:30~17:00開館していますので、この機会にぜひご覧下さい。私としてはこのスケッチ画と文集が、きちんとした施設で保存され、多くの人々に見て貰えるようになれば良いなぁというのが願いです。

 

 

 

 

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