おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.01.20column

1月29日勅使河原宏生誕95年記念上映と講演~Part1開催‼

 

昨日の京都新聞催し案内コーナーで紹介していただいた29日の催し「勅使河原宏生誕95年記念上映と講演~Part1」です。早速お問い合わせ頂いた中には、新聞だけでなく、チラシかホームページをご覧になって「5月14日のPart2も同じ作品を上映するのか?」や「今後も継続して何回か開催するのか?」というのがありました。

Part2は別の勅使河原監督作品を上映しますし、今後については2回実施の状況を見て、講師の友田義行甲南大学准教授と相談して決めたいと思います。そのためにも皆様には、ぜひこの機会にご参加をお願いしたいです。

今回上映する『いけばな』は1956年制作の短編。いけばな草月流初代家元であり、勅使河原監督の父である勅使河原蒼風の創作風景を追いながら、いけばなの歴史を辿り、草月流の理念を語る内容です。後半では幻想的な場面が随所に組み込まれ、ドキュメンタリーとフィクションの越境やヌーヴェルヴァーグの影響も見られます。草月流のPR映画であると同時に、勅使河原監督の若き前衛精神が発揮されている点が見どころです。

もう1作品『フィルム・モザイク』は1959年制作の短編。勅使河原蒼風との欧州旅行から帰ってすぐに、勅使河原監督が現地で撮影したフィルム断片をモザイク状にモンタージュした実験映画です。粗削りではありますが、ダリ宅を訪れた昂奮や、水面への映像的なこだわり、のちの『アントニー・ガウディー』に繋がるスペイン観などが垣間見られる内容になっています。一般公開されておらず、DVDやVHSにはなっていない貴重な映像で、数年前に友田先生が草月会の協力を得てデジタル化されました(一部欠けあり)。完成度は決して高くありませんが、上映価値は高いと思います。

戦後アヴァンギャルド芸術運動の洗礼を受けた勅使河原宏は、作家の安部公房とのコラボレーションで、『砂の女』や『他人の顔』などの映画を監督したことで知られていますし、上掲『いけばな』や『利休』などは京都でも撮影を行っていて、当地とも縁が深い映画人です。監督生誕100周年を前に、初期の短編を鑑賞しながら、その作品で展開されるテーマや技法を探ってみる、いわば〈原点〉を探る旅に、宜しければご一緒しませんか?

以上の情報は、友田先生とのやりとりで得たことを元に書きました。私たち自身、当日拝見するのを楽しみにしています。

友田先生は、昨年6月20日に上掲本『フィルムメーカーズ[22]勅使河原宏』(宮帯出版社)を出版されました。立命館大学大学院出身で、現在は甲南大学文学部准教授としてだけでなく、勅使河原監督映画のデジタル化にも携わっておられます。この本出版の時もですが、今回の催しには、一般財団法人草月会様から特別協力を得ました。ここに篤く御礼を申し上げます。

気付くのが遅かったのですが、1月4日~明日21日まで、京都府京都文化博物館で「勅使河原宏監督特集」が開催され、『おとし穴』(1962年)、『砂の女』(1964年)、『他人の顔』(1966年)、『流血の記録 砂川』(1957年)が上映されていました。これらの作品をご覧になってから、研究者の発表を聞かれるのも一層理解が深まって良いのではないでしょうか。多くの皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。

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