おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2022.02.11column

幻燈機の種板からもわかる歴史

2月26日河田隆史さん主催「三大喜劇王のニコニコ大会」では、チャップリン、ロイド、キートンのサイレント喜劇映画を大森くみこさんの活弁と天宮遙さんのピアノ演奏でお楽しみ頂きます。

特別上映で、1914年に作られた『チャップリンの幻燈会』もみせてくださるのですが、その映像の中に当時のアメリカの家庭で幻燈を楽しむ様子が出てきます。そのこともあって、当日は上掲写真の幻燈機を用いて、幻燈の実演もすることに。

9日に「さて、どの種板を用いてご覧に入れようか」と思案中の河田さん。そこを通りかかって私の目にとまったのが、同じ1914年に始まった第一次世界大戦のドイツとフランスの戦闘場面。

ライトボックスを使って撮ったわけではないので、傾いたり不鮮明ですが、興味深かったので、そのうちの何枚かをご紹介。

フランスの騎兵隊が突撃。一見、ナポレオン戦争のようですが、

飛行機が登場するので、第一次世界大戦の開戦直後を描いた幻燈スライドです。

特徴あるドイツ軍のヘルメットは革製で、防弾効果が無く、すぐに鉄製にかわります。

自転車でも行っていたのですね。伝令の役かもしれません。日中戦争“上海事変”の映像には、日本軍も自転車で移動している様子が映っています。

ウィキペディアに載っていたヘルメットとヘルメットカバーの写真を参考に。

大砲や、

MG08重機関銃かしら?

ライフル? 毒ガス兵器や戦車、飛行機による爆撃も登場し、第一次世界大戦は様々な武器が登場します。

この直後、塹壕戦となって地獄をみる戦いになります。

傷病者を看護する様子も描かれています。ドイツ軍はこの戦争で大敗し、多大な賠償金を請求されることになります。余談になりますが、返済不可能な賠償金のため帝政ドイツは崩壊し、あまりにも酷い不景気に陥ります。国民の不満が積もり、共産主義革命のようなことが興り、それを押さえるためにヒットラーのナチスが登場してきます。

この幻燈はひょっとしたらドイツの家庭用に販売されていたのかもしれませんが、フランスやイギリスのものも作られており、ガラスの種板に描かれた絵からも歴史を知ることができます。

26日にこのスライドは用いませんが、当館にはたくさんの幻燈スライドや幻燈フィルムなどがありますので、いつかそれらをご覧頂く催しも出来たらと思っています。

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