おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2015.10.13column

サイレント喜劇映画~「雷電」など

手元に届いている京都国際映画祭2015のパンフレットには詳しい記載がありませんが、10月17日午後6時、よしもと祇園花月で上映されるサイレント映画特集では、日本映画の父・マキノ省三監督の遺作『雷電』(1928<昭和3>年)も上映されます。大男で力持ちの雷電力士に臨終の母が、「勝ち続けると世間からよく言われない」と言って息を引き取ります。その後、殿様の命令で、どうあっても負けることのない痩せっぽちの藪医者と戦うことになり、母の遺言を守って何とか負けようとする雷電の様子をコミカルに描きます。その痩せっぽちの藪医者には、マキノ省三の長男・マキノ正博監督が扮します。雷電役は、根岸東一郎。映画史に残る『浪人街』(1929年)で、仲間の窮地を見かねて、旗本を裏切り、「表返ったのだ」と嘯く赤牛弥五右衛門役の名演技を残した人です。マキノ正博監督と言えば、『緋牡丹博徒」』の生みの親でもあり、名監督の一人ですが、演技者としても素晴らしい才能がありました。『雷電』は、彼の役者として最後の仕事となった作品です。マキノ正博監督に師事した中島貞夫監督は「彼が役者を続けていたら、どんなに優れた作品が見られたかと思う」と話しておられます。

雷電は江戸時代に活躍した実在の力士。先日来館されたお客様の情報では、雷電力士のフィルムが残っていれば、凄いお宝なのだそうです。どこかの蔵で眠っていませんか?

今年のサイレント映画特集では、新たに発見された尾上松之助最晩年の『実録忠臣蔵』(1926年)が話題になっていますが(18日午前11時、大江能楽堂で上映)、マキノ省三も1928年に『実録忠臣蔵』を撮っていて、これまでこの作品が彼の遺作だと思われていました。ところが、マツダ映画社に松田定次監督と共同監督した『雷電』があることがわかり、これこそが真の遺作となっています。滅多に見られない作品ですので、どうぞ劇場に足を運んでご覧になってください。とっても面白い作品です!

この作品は、サプライズ上映という位置付けでしたが、一人でも多くの方に観ていただきたく思い、ここに告知させていただきます。活弁はヘリウムボイスで知られる山崎バニラさんです。彼女には、今年も戦前の国産アニメを編集した『怒涛のおもちゃ映画特集』の第2弾と『ちびっ子ギャング ドッグ・デイズ』『ちびっ子ギャング モンキー・ビジネス』も上演していただきます。右脳と左脳を同時に使って、大正琴やピアノを演奏しながら活弁できるのは、世界中で彼女ひとり。小さなお子さんから、大人まで楽しんでいただけるプログラムです。どうぞ、お楽しみに!!

翌日の18日午後1時25分、大江能楽堂では、喜劇映画のルーツ、ファッティとキートンによる『デブ君の給仕』『コニー・アイランド』が上映されます。チャーリー・チャップリン、ハロルド・ロイドと共に世界三大喜劇王に数えられるバスター・キートンですが、彼をデビューさせたのは、ロスコー“ファッティ”アーバックル(1887‐1933年)です。昨年も身体を張った二人の息の合ったアクションに目が釘付けにされましたが、今年も大いに楽しませてもらいましょう。彼はスキャンダルでハリウッドを追放され、作品も故意に捨てられたため米国で彼の作品はほとんど残っていませんが、欧州で発見され、こうして観ることができます。キートンは、自分をデビューさせてくれたファッティを師匠として尊敬し、生涯にわたって支援したそうです。

ほかに同時代の喜劇人の傑作を集めた「特選ギャグ集 その1」も上映されます。活弁は「第2回無声映画の夕べ」で登壇いただいた大森くみこさん。その演奏をしてくださるのはキーボードの藤代敦さんとパーカッション・トイピアノのMomeeさんです。今日も大森さんから「頑張ります」のメールが届きました。関西を中心に活躍目覚ましい彼女の晴れ舞台を、みんなで見に行きましょう!!!

DSC02763 (2)向かって左が山崎バニラさん、右が大森くみこさん(2015年7月26日、「第2回無声映画の夕べ」から)

 

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