おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2019.12.29column

大勢の人にご覧いただいた「戦争プロパガンダ展」、盛会のうちに終えました‼

12月4日から始まった「戦争プロパガンダ展」は、昨日28日に無事終了しました。その前日にあたる27日政府は、海上自衛隊の中東派遣を閣議決定しました。防衛相の命令だけで実施できる防衛省設置法の「調査・研究」を根拠に、河野防衛相は防衛省で関係幹部会議を開き、自衛隊に対し、護衛艦「たかなみ」を中東へ送る準備を進めるよう指示したということです。政府の独断で自衛隊の海外派遣が歯止めなく広がる懸念を多くの国民が抱いていると思います。年末のどさくさに紛れて、こんな重要なことを国民に十分な説明もしないまま決めてしまう政府のやりかたに怒りを覚えます。

こうした現政権のやり方に不安を覚える人々が、「戦争プロパガンダ」の直接的なタイトルに惹かれ、「過去に学ぼう、未来に活かそう」と大勢足を運んで下さいました。ご来場いただいた皆様は、とても熱心にご覧になっていました。展示に協力して下さった河田隆史さんが、連日詰めて下さり、わかりやすく説明して下さったことも良かったと思います。

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展示から、2つを紹介。ここに書いてあることは、決して過去のことではありません。ひょっとしたら、身近にヒタヒタと近付いていることなのかも知れません。

27日見学にしてくれた学生さんが、展示を見ながら熱心にメモを取っていたので、思わず声をかけ「展示を見た感想を書いて欲しい」とお願いしたところ、早速応えてくださいました。そのまま以下に掲載します。

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コラム

12月28日まで中京区のおもちゃ映画ミュージアムで「戦争プロパガンダ展」が開催中だ。常設展に加えて、戦意高揚を目的として作成されたポスターや映画を展示している。

今回の展示に使ったポスターは元高校教諭の河田さんが世界史と公民の授業のために収集したものだ。カリキュラムにはない内容だが、毎年生徒たちが授業にだれてきた9月頃にこのポスターを使った授業をした。

授業では、戦時中の人々は、巧みなプロパガンダによって戦争に協力させられた。その点では被害者だが、一方で別の見方をすれば戦争に加担した加害者でもある。中には、戦争一色の世の中に違和感を覚えていた人もいたに違いない。しかし、当時は疑問を持つこと自体が利敵行為として諫められたと、一連の背景を説明した上で、河田さんは生徒に次の問いに二択で答えるように促す。「将来同じことが起きると思うか」。

無意識に戦争に協力するように刷り込まれる怖さを感じる生徒もいれば、中には、「SNSのおかげで誰でも発信できる世界になった。うそを隠そうとしても隠せない。(プロパガンダに)騙されるわけがない。」と、答える生徒もいたという。

2019年は「表現の自由」に揺れた一年であった。「あいちトリエンナーレ」の中止や補助金取り消し、「断韓」で炎上した小学館の『週刊ポスト』、といったニュースが議論を呼んだ。

展示資料のポスターや雑誌には、必ず政府による「検閲済」の判が押されている。映画作品の中には「陸軍省」や「朝鮮総督府」から後援を受けているものも多い。戦前の雑誌『アサヒグラフ』は他誌よりも過激な内容や表現で紙面を構成することで売り上げを稼いだ。

これらの展示が伝える戦時中の状況と、「気に食わない展覧会の補助金を不明瞭な手続きで突如として打ち切る」あるいは、大手出版社が「ヘイト」に加担し分断を煽るような表現をするという現在の表現を取り巻く状況は明確に異質のものだと断言できるだろうか。河田さんは、「現在の表現の状況について問いかけたいが、そのまま言っても伝わらない。昔の失敗から感じ取ってほしい」と語る。

展示の最後は、伊丹万作の言葉でしめられている。「ほとんどすべての国民が相互にだまし合わなければ生きていけなかった。(中略)だまされることも一つの悪である」。SNSの爆発的な普及により、私たち一人一人が発信することができる時代になった。「違和感」を主張できるというメリットの一方で、戦時中よりずっと簡単に「分断」や「排外主義」を生む力を有しているという怖さを抱えているということを忘れてはいけない。伊丹が恐れている世界がもうすぐそこまで来ているかもしれない。

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河田さんと感想を書いてくれた学生さん(中央)。後で聞いたところ、彼は記者を目指しているのだとか。12月6日朝日新聞記者さんと一緒にインターンシップ生として取材に来てくださった学生さん達にも言いましたが、「働き始めるといろんな難しいことに直面するでしょうけど、ぶれずに読者の側に立った記事を書いて欲しい」と要望しました。

今回の展示では、宗教者が幾人も見に来てくださったことが印象に残りました。まだ国民学校の児童だったときに終戦を迎えた人から、引き揚げ体験を聞かせて貰ったことや、戦争経験者の身内から聞いた体験談などをお話しして下さる方も居られて、そうした語りの場になったことも有意義だったと思います。出会った人々と交わした会話から、来年の催しのアイデアも浮かびました。平和への取り組みは、今後も継続していきます。

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