おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2022.01.23column

お父様遺愛の“おもちゃ映画”とその映写機を寄贈して頂きました‼

昨日、約90年ほど前に、子どもだった頃のお父様が楽しんでご覧になっていたおもちゃ映画とそれを見る為の手回し映写機を高島さまから寄贈して頂きました。

紙箱に入ってしまわれていたのが幸いして、傷んでいるとはいえ、なんとかフィルムスキャナーでデジタル化はできると思われます。スプライサーがなかったのか、糸で繋いでありましたので、手回しの途中で止まることがしばしばありましたが、愛着を持って楽しんでおられたことがかえって伝わります。

枚方市と宇治市在住の姉妹のお父様が、生前にこれらを宇治市歴史資料館に預けられていたのですが、なかなか活かされないままだったことから、8日に宇治市文化センターで『キネマの神様』上映会を主催された京都映画センターの方に相談されて、当館にお声がけいただきました。

“朝日活動写真機”の手回し映写機は紙箱入り。

側面に当時販売されていた作品タイトルがズラリと書き並んでいます。「時代乱闘剣劇の部」「教育漫画の部」そして「滑稽活劇の部」の3種類に分けて、様々な作品が“一巻完結”の形で発売。当館今の展示「喜劇のレジェンド展」がらみで言えば、『デブ君自動車』67呎(フィート)、『ロイドのスピーデー』33呎、『爆弾投下』58呎、『キートン大旋風』65呎、『ロイドの蟹』77呎の5作品。『デブ君自動車』は原題『The Garage』で邦題は『デブの自動車屋』かもしれず、『キートン大旋風』も『キートンの船長(蒸気船)』と一緒なのかも。ルーペで拡大して何度見ても『蟹』と読める『ロイドの蟹』や『爆弾投下』については、喜劇映画研究会の新野敏也さんも「奇怪なタイトルで想像つかない」と仰って。今回寄贈頂いた中には何れも含まれていないので確認できず。。。どこかから見つかれば良いですね。

残念ながら部品が不足しているので、寄贈していただいた映写機を使って実際にご覧頂くことは出来ませんでしたが、寄贈いただいた中に含まれていた幻燈フィルム『剣劇大会』などは、子どもだったお父様も覗いて楽しんでおられたことでしょう。初期の頃の玩具映写機は幻燈機も兼ねて使えるように工夫されていて、ガラス種板もフィルムも使えました。

どういった作品をご覧になっていたのか、当館所蔵のキーストン社製手回し映写機にフィルムを掛けて、垂れ流しの状態で映写して見ました。その様子の一部をYouTubeでupしました。

高島さんから寄贈頂いたフィルムは

国産アニメーション

①『近藤勇と凸ちゃん』20尺

②『底抜けドンチャン』探偵の巻か?10尺

時代劇

③題名不詳「遊里での若武者」(嵐長三郎か?)150尺

④題名不詳「官軍兵士とのチャンバラ」 以下断片

⑤題名不詳「  〃 」(不詳)

⑥題名不詳「海辺のチャンバラ」 2、3尺 

⑦題名不詳「さむらい」

⑧題名不詳「若い浪人と娘」

⑨幻燈『剣劇大会』 代表作の1シーンをスライドフィルム状にした時代劇スター集のようなもの

外国アニメーション

⑩『空飛ぶ鼠』 120尺

外国ドラマ

⑪6th Picture  60尺

このブログを書いている1月23日がお父様の誕生日で、ご生存なら95歳に。誕生日の前日にかつて楽しまれていた映像の数々をご家族と一緒に見ることができたのは、何よりも良い供養になったのではないでしょうか。

今は、パテ・ベビーに特化してフィルムスキャンをして映像を後世に残す活動をしていると申しましたら、他にもパテで撮影した記録映像1作品があるそうで、いずれご持参頂くことに。改めて、まだまだ日本のご家庭には古いフィルムが眠っているのだと思いました。劣化が進んで見られなくなる前に、少しでも救出したいです。

フィルムをデジタル化する前の下準備中。この度の高島様からのご寄贈に対し、深く御礼を申し上げます!!!!!

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