おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2024.04.21column

出会いが嬉しくて

デスクトップに置いて、紹介しようと思いつつ季節が既に春に移行してしまっていた何枚かの写真の中から、印象深い人々との思い出を振り返って書きます。

3月1日中国からお越しのHaisley Yuさん(中央)とCheng Hanさん。Haisleyさんは、中国唯一の映画を専門とする国立の北京電影学院を卒業されて、プロデューサー、ディレクターの仕事をされているそう。仕事で関わられた主な作品にはアン・リー監督の『飲食男女』(邦題『恋人たちの食卓』)があるそうです。Chengさんは映画キャメラマン。展示しているARRI FLEXのカメラに興味を示して下さったので記念に写真を撮りました。

3月8日お越しいただいた名古屋の“ミッドランドスクエアシネマ”で映写技師をされている足立 健さん。フィルム上映の技術を身に付けられ、提案して活弁上映会もされているそうです。そうと聞いて、関西で頑張っている活動写真弁士の大森くみこさんやピアニストの鳥飼りょうさん、天宮 遥さんのことも紹介しました。若い人が、無声映画や活弁に興味を持ち、その上映会を実施しておられるのが何とも頼もしいです。

3月10日には、今開催中の「シナリオライター依田義賢生誕115年記念展」用に貴重なポスターをお貸しくださった川喜多記念映画文化財団の和地由紀子さんが来館。初めて当館でお会いできたので感無量です💗本当にいつもよくして下さって感謝感謝です。

3月13日滋賀県人権センターの方が、川本喜八郎さんの人形アニメーション映画『蓮如とその母』(1981年)のフィルムを持参。かつては幾本もコピーして全国各地へ貸出しておられたのだそうです。それぞれのフィルムの劣化具合を調べて貰おうと来館されました。

1本は劣化が進んでいましたが、他は大丈夫だったようです。この作品を私が提案した京都国際映画祭2019「京の映画 京都ゆかりのアニメーション」の時に上映したかったのに、こういう出会いがあるとは…

3月15日にイギリスから来館の若者、リュークさんとアレックさん。映画の研究をされていて、目的を持って当館を訪ねて下さいました。そのことが先ず嬉しかったです。もちろん溝口健二監督のこともご存知で、その脚本を手掛けた依田義賢先生の展示を熱心にご覧下さいました。

イギリスの先輩研究者の方に当館のことを教えて貰ったのだそうです。そうした方々に認知して貰えていることが何より活動の励みになります。20日もイギリスからシャナ・パガノ・ローレイさんが来てくださいました。

3月17日、和歌山市の山﨑愛子様(下掲写真右)ご一家が来館され、朝日活動写真機2台を寄贈して頂きました。

随分前のことですが、新聞で当館が紹介されたのをお読みになって電話をかけて下さったことがありました。その時の会話で、かつて大阪で玩具映写機を作っておられたという話が記憶に刻まれていて、いつ出会えるか楽しみに首を長くして待っていたのですが、ついにその日がやってきたと大喜びしました。電話を受けた時は紙フィルムを作っていた大阪の「家庭トーキー」に夢中だったので、勝手に「家庭トーキー」ゆかりの方だと思い込んで、「生産台帳などが残っていませんか?」と尋ねた記憶もあります。

改めてお聞きしましたら、愛子さんの母方のおじい様が大阪の福島でおもちゃ映写機“朝日活動写真機”を製造されていたそうです。後年、その映写機をお父様が骨董市で見つけて2台購入されたところ、おばあさまが大切に床の間に飾っておられたそうです。残念ながらおばあさまがお亡くなりになったので、家を処分した時に愛子さんの家に持ち帰られました。そんな思い出が詰まった大切なおもちゃ映写機です。台帳などは大阪が空襲に遭った時に全部燃えたので何も残っていないそうです。お二人は、名残惜しそうに写真を撮っておられました。

この2台を磨いて、足りない部品を補って、

展示に加えています。どこにあるか、来館の折に探してみてくださいね。

3月21日、アメリカUCLAのエルキ・フータモ先生と親しい鹿児島大学の太田純貴先生と知り合えました。今年9月と12月にメディア・アーティスト橋本典久さんに登壇して頂く予定ですが、その橋本さんにお繋ぎできることも良かったです。

3月29日には、大阪芸大映像学科卒業生の北村 洋さん(V84)が来館。大阪NHKのチーフディレクターだった前田達郎教授の授業で依田先生の『浪華悲歌』(1936年)のシナリオを題材に、台本を読んで撮影の準備リストを書く課題が出たのだそうです。依田先生が溝口監督と組まれたとき、ト書きを書くと、「それは監督の仕事です」と言わたらしく、以降、依田先生のシナリオスタイルが決まりました。ト書きで説明せず、人物の位置関係や距離感、感情表現を全て台詞に込められました。前田先生の課題は、なるほど面白い視点だと思います。北村さんの課題提出は高く評価されたのだそうです。

恐縮ながら暫く端折って、4月19日には映画産業振興機構(VIPO)映像事業部チーフプロデューサーの嵐 智史さんらが関東から依田義賢展を観に来て下さり、そのまま17時からの依田先生に関する映像を見ながらの勉強会に。皆さんの希望をお聞きして、普段観る機会がないNHKのインタビュー番組『わたしの自叙伝』と依田先生が脚本と演出を担当された『菊寿の会』(京都市文化功労章受賞者を記録したもの)の映像を観ました。多くの方が記録されているのですが、その中から日本画家や陶芸家などと共に、俳優の片岡千恵蔵さん、宮川一夫先生が映っている回のものを観ました。宮川先生の回では、『浮草』の撮影シーンも映り込んでいて、演出している小津安二郎監督の姿に、「小津さんがファインダーを覗かせてもらえない姿を初めて見た!」と皆さん口々に仰って。

その後も次から次へと話の花が咲いて、賑やかな夜になりました。左から順に、明治大学大学院生の松下周平さん。3月24日に初来館。高円寺国際学生映画祭運営の中心になっている熱心な若者です。ひと月経たないうちに再訪して下さったのが何とも嬉しい。「いろいろ話が聞けて良かった。また来ます!」と彼。そして私の隣が映画研究者の佐崎順昭さん。2022年8月2日主な研究拠点の場、国立映画アーカイブでご挨拶して以来です。初めてのご来館で、光栄です。中央がVIPOチーフプロデューサーの嵐 智史さん、その右隣もVIPOの佐藤友則さん、そして連れ合い。みんな楽しそうな表情ですね。この少し前に国立映画アーカイブ特定研究員の金谷重朗さんがお帰りになったので、その時に一緒に撮れば良かったと後悔。気が利かなくてすみません。金谷さんには今年1月11日に初めてお目にかかりましたので、二度目です。こうして映画愛に満ち、詳しい方々と一緒に話を繰り広げられたのですから、きっと依田先生の魂も混じって楽しんで下さったことでしょう。とても良い時間をご一緒できました‼

そして4月20日はプエルトリコ自治連邦区からエクスヴィア・オサイン・レブランクさんがやって来て下さいました。プエルトリコから2人目。お母さんはプエルトリコですが、お父さんはキューバ出身だそうです。こうしてカリブ海の小さな島にピンでマーキングして貰いながら話を聞いて、世界を知る学びの場になっています。映画やテレビのカメラマンをされていて、今はアクション映画を撮っておられるのだそうです。最新作はもうすぐ公開。日本でも上映さたら良いですね。

映画カメラマンと聞いて、「それなら」と二階に飾っている宮川一夫先生のタペストリーをご覧頂きました。『羅生門』や『雨月物語』を撮った宮川先生のことはご存知でした。

記念に写真を撮って今朝メールで送信しました。縁を得たこともあり、良い作品をどんどん撮って欲しいです。「フィルムで撮ってみたい?」と尋ねましたら「もちろん!」と即答。「いつかフィルムで撮ったら教えてね」とお願いしながら見送りました。皆さんはご存知でしょうか?アカデミー賞受賞で話題のクリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』はIMAX 65㎜や35㎜フィルムで撮影されています。実は、近年16㎜も含め、多くの作品がクオリティの高いフィルムで撮影されています。

そして、あいにくの雨降りとなった今日は、アメリカから日本に来て国際交流員、ALTとして活動しているお二人との出会いがありました。その国際交流員をされている学生さんとは2016年に当館で出会っていることがわかりましたので、別に書くことにします。

 

 

 

 

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