おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2024.05.09column

7~9日の日記から

7日、今年もサポーター会員として会費を納入して下さって、変わらぬ応援を頂いている広島県の内田さんから、上掲日経新聞コラムのスクラップが届きました。今年1月5日に開催した早稲田大学名誉教授草原真知子先生のコレクションを主にした面白柄着物展のオープニングイベントについての振り返りを書いたブログをお読み下さったのでしょう。草原真知子先生と、当日ご家族で参加して下さったメディアアーティストで絵本作家としてもご活躍の岩井俊雄さんとの交流をブログで知って、日経新聞コラムの内容に気が付いてわざわざ教えて下さったのです。とても嬉しく思います。お気遣いありがとうございました。

岩井さんの「日本にもユニークな映像文化と人々の熱狂があったことを、草原さんは独自の視点と美意識でコツコツと集め、調べ上げて明らかにしてくれたのだ」の文章に、「本当にその通りですね、草原先生」と、できることなら会って直接話したい。

内田さんはお便りに「いつもホームページを楽しく拝見しています」と書いて下さっているので、その期待に添えるよう頑張ってブログを書こうと思っています。なかなか全部は書ききれませんけど、そこは大目に見て貰いましょう。

8日には、群馬県にお住いの東宮春生さんから『ルーツ探訪と郷土史 東宮鐵男と満洲開拓移民』の寄贈を受けました。分厚い立派な本です。2019年12月8日に映像を通して平和を考えるPart2「ブラジル移民と満洲移民送出の背景を探る」をしました。お二人の研究者の方に登壇して頂いて、日本が行ってきた移民政策についてお話を聞きました。そこで参考にご覧に入れたのが、私どもが骨董市で入手した16㎜フィルム「三江省樺川県千振開拓団」の様子を記録した映像でした。この映像をめぐっては、私も長野県を弾丸でフィールドワークして発表させていただき、後にレポートをブログで書きました。その一つがこれで、この文中に「東宮鐵男」の写真が出てきます。「満蒙開拓団の父」と呼ばれた人物です。後の歴史からみると、どうなんだろうと思わぬわけにもいかない人物ですが、お身内の春生さんから見た東宮鐵男像は、また違っているのかもしれません。その春生さんが6月2日に京都での用事の折に当館にもお越しになるそうです。代表をされている「群馬満蒙開拓歴史研究会」の学習会は今年11月で第133回目を数え10周年だそうです。

そして東京から江戸消防記念会専務理事山口新次郎さんが来館。「毛利清二の世界 映画とテレビドラマを彩る刺青展」を観にいらしてくださいました。この展覧会発案者の都留文科大学教授山本芳美先生がまだ学生だった1990年からの知り合いだそうで、先生がこの刺青という化粧文化に関心を持たれたのが、随分早くからだったことに驚きました。

その山本先生のサイン入り本『イレズミと日本人 イレズミは、悪か?』を当館でも販売しています(税込み800円)。

山口さんは、毛利さんがおられたら聞きたいことがたくさんおありだったようで、それが叶わず申し訳なかったです。36才だった毛利さんが刺青絵師としてデビューした『博奕打ち一匹竜』(小沢茂弘監督、1967年)には、50人もの俳優さんに刺青を描かねばならず、三日三晩休みなく描き続けたそうです。この作品のために本物の刺青を見て描く勉強にと東京の江戸彫勇會の彫文さんのところへ見学に行き、下絵や刺青を描くための道具を見せて貰ったそうです。

山口さんは展示してあった鶴田浩二さんを中心に男たちがズラリと並ぶプレスシートを指し示しながら、彫文さん本人が出演していることや、江戸彫勇會の皆さんが協力していることを教えて下さいました。そして、「Tokyo Slowly2」2024年4月号で載ったばかりの「江戸の花『江戸町火消 勇気と我慢』で取り上げられた出初式や江戸消防「彩粋會」新年会の頁、初代江戸彫勇會会長に初代彫宇之が彫った後姿を示しながら、「毛利さんは初代彫宇之の龍や波の表現に惚れて参考にしたのではないか。それが聞きたかった」と仰っていました。今日9日、展示の担当者の一人原田麻衣さんに聞いたら、確かに毛利さんは初代彫宇之の作品に影響を受けていると話しておられたそうです。山口さんからは大正8年の集合写真など珍しい写真を送って貰いましたので、ファイルしています。

山口さんは「江戸の彫り物は遠目で分かるように10m離れると絵が浮き出てくる」と話し、他にも江戸と関西の絵の違いがあるようです。今日来館の名古屋の彫師さんたちは「名古屋の古い人たちは、どちらかと言えば関西よりかな」と話していました。彼等は毛利さんが描いたものも参考にしているとか。私どもがこれまで美術展で買い集めたたくさんの図録を処分しようと置いていたのを手に取って、「図案の参考にする」と持ち帰ってくれました。

今は若い人が海外の影響を受けて、刺青を入れる人が増えているそうです。実際、開始以来みていると、入れて貰う人ばかりではなく、若い彫師さんもたくさんおられるのだなぁと思います。もはやファッションの一部になっているのですね。人それぞれ異なるでしょうが、お聞きしている範囲では、あばら骨のところや乳首回り、お尻が痛いそうです。そんな痛い思いを我慢して入れなくても良いのに、と怖がりの私は思いますけど。「面白かったから、展覧会のことを海外の人向けにも発信しておきます」と嬉しがらせてくれました。

海外繋がりで、今日はハーバード大学のアレックス・ザルテン教授の教え子のGabrielさんが来てくれました。先生から「訪れるように」と助言があったようです。ありがとうございました。それで、ふと、期間中に毎日ご覧頂いている1971年東映アワー放映「映画を支える人びと 毛利清二」と今年3月10日京大で開催したトークイベント「東映・刺青絵師 毛利清二に聞く『俳優に刺青を描く』とは」の映像内容の大雑把な英語版解説があれば良いかと思って、忙しい原田さんに提案しました。毛利さんの刺青絵は、きっと海外の人がご覧になると、細密で美しいのでビックリされると思います。

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