おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2016.11.22column

懐かしの《鉄道映画》上映会

11月19日(土)13時半、懐かしの《鉄道映画》上映会を開催しました。世の中には鉄道ファンが多く、行楽の秋ということで、電車に乗って移動する人も多いと思って計画しましたが、当然そういう人はアウトドアを楽しむわけで、折からの「関西文化の日」無料開放も重なり、申し込みは多いとは言えませんでした。それでも関東から3人もの人に参加していただけて感激しました。

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 呼びかけに応じて、3人のうちの一人笹山さんが9.5㎜の映像を持参。早速パテ・ベビーの映写機で上映しました。いつ、誰が、どこで撮影したものか不明でしたが、昭和2年に建立された大阪中央電信局の建物など、写っている映像から場所の大半が特定できて喜んでおられました。絵葉書コレクターの森さん、古い写真コレクター衣川さんのほか京都育ちの人が何人もおられて、皆さん京阪神のことに詳しいので「あれは、どこそこの」という感じで、解けなかったパズルが埋まっていき、それを聞いているだけで面白かったです。みんなで見れば、気付きも多く、楽しい時間でした。

ミュージアム所蔵で電車、鉄道が映るホームムービーも15分程度にまとめて上映しました。

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大阪の人が撮影したホームムービーで、伊勢慰安旅行に行くため大阪駅で乗車し伊勢へ向かう途中、2代目京都駅が映っているものもご覧いただきました。動いている古い京都駅の映像も珍しいのではないでしょうか。昭和3年の大阪で走る花電車、大阪地下鉄開通式の映像もご覧いただきました。以前来館され、祇園祭りの歴史について良くご存知だった「後祭」地域の方には、7月15日「祇園天幕映画祭」で上映した武者行列が巡行するかつての祇園祭りの様子もご覧いただき、傍を走る電車の映像を興味深くご覧いただきました。大正元年に電車が通り、まだ四条より北の花見小路通ができていない時代の映像です。

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今回の企画は、鉄道絵葉書コレクター森さん(上掲写真)との会話がトントン拍子に弾んでの開催。動くものを集める連れ合いに対し、止まるものを集める森さん。ほとんど顧みられることがないような紙資料を主に集めておられます。そんな中から、今回のイベントに合わせて、京都に初めて電車が走った頃の地図や写真を用意して下さいました。

コレクションする楽しさについてもお話くださった森さんは、四条通りの変遷、京都の写真館一覧、映画館名が入った広告チラシ収集に基づく京都の映画館一覧、1980(昭和55)年当時の映画館所在地一覧をまとめた資料を配布して下さいました。まだまだ映画が盛んだった時代でもあり、京都市内には随分たくさんの映画館がひしめき合っていたことがわかります。

特別上映した『特急三百哩』は95分もあるので、少しばかりの休憩をはさんで上映。

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内容についてはこちらをご覧ください。2004年にナイトレートフィルムから復元し、その年の京都映画祭で完成したばかりの京都駅ビル大階段で上映しました。生演奏して下さったのはドイツのギュンター・A・ブーフヴァルトさん。今回は、その時の生伴奏録音版で上映しました。

  

先日彼がFacebookで掲載していた 演奏中の写真を転載しました。『特急三百哩』でも、ピアノを演奏しながらバイオリンを弾く超絶技巧を披露して観客を驚かせていました。同様に復元した『何が彼女をそうさせたか』(1929<昭和4>年、公開は1930年)も彼の演奏で、京都映画祭に続き、第10回東京国際映画祭で上映しました。今回の『特急三百哩』はその前年の1928年に作られた作品ですが、薄幸な美少女は、身売りされるとパターン化されていたのでしょうか。その彼女を救う男性、間に入って嫌がらせ、邪魔をする男女も似ていて、既視感が。今の感覚すれば、少々長い映画かなと思わぬわけでもありません。

準主役の蒸気機関車の迫力は圧巻です。1画面に手前から向こうに3列車が走り、向こうから手前に3列車が向かってくるという、6列車が行き交うシーンなどは迫力満点。撮影のために配されたのでしょう。当時の鉄道省や国鉄の力の入れ方は相当なものです。二代目の京都駅、梅小路機関車庫なども映っていて、記録的にも貴重な作品だと思います。

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 韓国からIMAGICAウェストで研修のため来日中のパク・ジスさんも参加。将来は映画監督になりたいそうです。「実現したら、ぜひミュージアムで上映会をしましょう」と提案しました。来館の前日に同ラボで、パテ・ベビーのことを教わったばかりだそうで、笹山さんが映像を持参して下さったおかげで、実物で学ぶことができたと喜んでおられました。東京から参加して下さったもう一人は日本大学芸術学部の学生さん。鉄道をテーマにした卒論を準備中だそうで、その目的のために参加して下さったことがとても嬉しい。彼にも卒論完成後に発表を提案しました。若い人に、どんどん成果を発表して貰える場になれば、こんなに嬉しいことはありません。

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先にお帰りになった方もおられますが、残った方でおしゃべりタイム。SNSでやり取りしている同士でも、実際に会っておしゃべりする方が断然面白いですね。縁が深まって、これからがもっと楽しくなります。

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