おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2020.02.09column

9日付け京都民報に「岡本忠成ミニ資料展」を紹介していただきました‼

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9日付け京都民報で、今開催中の「アニメーション作家岡本忠成 ミニ資料展」について紹介して頂きました。記事に添えて下さった写真は、『モチモチの木』(1972年)、『水のたね』(1975年)、『メトロポリタン美術館(ミュージアム)』(1975年)のアニメーション製作で用いられた人形たち。「思ったより小さいのですね」と見学した人から、よく言われます。手足が動かせるように裏側をお見せしている展示もありますので「作ってみたいなぁ」と思う人たちには参考になるでしょう。来館頂いた方には、随時、これらの作品をご覧に入れて、人形や絵コンテと比べて、岡本さんの創意工夫を感じ取っていただいています。

今日は小学4年生の男児が、お父様と来館。『モチモチの木』は小学校2年の国語で習ったそうです。「教科書と、アニメーションとどう違うか比較してみよう」と一緒に観ました。あらすじは学習済みなのでわかりましたが、浄瑠璃風の語りがちょっと難しかったみたい。でも、いつか大人になって同じ作品を観る機会があれば、今日の経験をきっと懐かしく思い出してくれるでしょう。

先日、お客様と一緒に宮澤賢治原作、岡本さんの遺作となった『注文の多い料理店』を観ました。着想から1年後に病で急逝されたため、残された絵コンテをもとに、長年パペットアニメーショウをしてこられた友人の川本喜八郎さんが製作スタッフに加わって完成しました。その販売用チラシに映画評論家佐藤忠男さんが以下のように書いておられます。

…………

岡本忠成さんのアニメーション映画は、一作々々方法が違い、材料や画質の工夫を変えているので、今度はどんな絵を見せてくれるか、そのたびごとに期待に胸がわくわくする。今度の『注文の多い料理店』もまた、じつに渋い絵で、ミステリアスで幻想的な原作の世界を鮮やかにとらえた面白いものであった。一作ごとに絵と方法が違っても、基調となる詩情はまぎれもなく一貫した岡本忠成のものである。岡本さんの詩情を活かすことに力をつくされた川本喜八郎さんの努力を讃えたい。

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この作品には、昨年の朝ドラ『なつぞら』のモデル、奥山玲子さんも作画で関わっておられるそうです。でも超多忙でそんなに多くの場面ではないようですが。1991年の作品。

先日若いアニメーション史研究者3人が来てくださいましたが、2009年に限定販売された「岡本忠成全作品集DVD -BOX」発売から随分経った今、オークションで買おうにも高額で、ちょっとやそっとで手が出ないのが現状。彼らにとっては観る機会がない作品が多かったのですが、もっと気軽に接することができたら、作品の素晴らしさを広く味わって貰えるのになぁと思ってしまいます。

「DVD-BOXにも入っていないキューピーマヨネーズのPR映画『空とぶサラダボール』(1977年、21分)の16㎜フィルムが、都立多摩図書館にあるはず」とお客様から教えて貰いましたので、早速問い合わせてみました。岡本忠成さんがアニメーション部分を担当された作品で、確かに保存されていました。「どうして、多摩図書館にあるのですか?」と図書館の担当の方にお尋ねすると、「古いもののため当時の収集の経緯については分かりかねますが、岡本忠成さん(エコー社)が制作した他のアニメ映画のフィルムや、キューピーを含むPR用に制作された企業フィルムも所蔵していて、『空とぶサラダボール』もその他のフィルムと同じように、当時の収集方針に沿って収集したものと思われます」との返事でした。

大切に16㎜フィルムが保存されていると知って、もの凄く嬉しかったです。できることなら2月16日祥月命日に開催するイベントの時に観たかったのですが、貸出には、都内限定とか多くの条件があって、諦めざるを得ませんでした。同図書館は16㎜フィルムを約9400巻も所蔵しておられ、貸し出し本数などをお聞きすると、2017年度は513本(193件)、2018年度は577本(207件)もあり、所有映写機は26台で、そのうち貸し出し用は10台もあるそうです。

さらに、多摩図書館はフィルムを保存しておられるだけでなく、原則毎月第一日曜日と木曜日に、所蔵16㎜フィルムを上映する定例映画会も開催されているそうです。つい先日、様々なジャンルでプロデューサーやディレクターとして活躍されている立川直樹さんから「アメリカの議会図書館には、オープンリールのプレーヤーが20台もあり、機械を使える人を育てるために多く所蔵している」という話をお聞きし、その考え方の素晴らしさに感嘆しましたが、多摩図書館も負けていませんね。後世に残すべき優れた映画を毎年25作品フィルムで保存している同議会図書館には「正式な上映プログラムがあるので、35㎜映写機も結構あると思う」とアメリカの研究者に教えて貰いました。おもちゃ映画ミュージアムを開館して以来、公的施設やテレビ局などが「フィルムを廃棄した」という話をよく耳にするので、こうした取り組みをされている多摩図書館は素晴らしいと思います。。

岡本さと子さんにお聞きしましたら、多摩図書館に保存されていることをご存じではありませんでした。(株)エコーには16㎜で撮ったCMもたくさんあるそうですが、CMフィルムはスポンサーや代理店など権利関係がややこしくて、上映が難しいそうです。でも、できることならこうした作品も見られるようになったら良いですね。

16日は、若い頃から岡本さんと親交があったアン・ヘリング法政大学名誉教授に講演「芸術アニメーションの巨人、岡本忠成」をして貰います。ヘリング先生は、日本人以上に日本人なので、日本の文化をとても愛してくださっています。その一つの証が、昨年出版された『おもちゃ絵づくし』(玉川大学出版部)。この本については、こちらで書きました。

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当日は、①芸術アニメーションについて②川本喜八郎氏とその弟子ともいえる岡本忠成のこと③作品についての3項目でお話しくださいます。

①については、「アニメーションといえば、多くの人が連想するのはTVアニメかディズニー映画あたりではないでしょうか。けれども、手塚治虫、川本喜八郎、岡本忠成の3人は、アニメーション映画に娯楽性以外に計り知れない可能性を見いだしました」

③についても、『日本むかしばなし さるかに』をはじめ、『モチモチの木』、最高傑作と名高い『おこんじょうるり』に至るまで、独特の人形アニメーションの世界を切り拓いた岡本忠成の作品についてお話しします」とのメッセージを頂戴しています。きっと若かりし頃のたくさんの思い出話を聞かせてくださるでしょう。

IMG_3708当日何をご覧頂こうかとさと子さんに相談しましたところ、日本大学芸術学部映画学科で卒業論文の代わりに仲間3人で作ったアニメーション『かがみ』(1960年、13分)を希望されました。

岡本さんは1955年大阪大学法学部卒業後、暫くサラリーマン生活を送りますが、トルンカのアニメを見てアニメーションに興味を持ち、日大に再入学されました。『かがみ』は初めて自分たちで作った作品で、人形衣装はさと子さんが作られました。卒論の代わりにアニメを作ることを許可されたのは、この作品が最初だったとか。DVD-BOXを作るにあたり、フィルムがなくなっていたのですが、日大が協力して貸してくださったのだそうです。作曲と演奏は乾民子さんですが、惜しいことに音源も失われていたので、サイレントでの上映です。ご自分たちの出発点、「60年前の作品を見て欲しい」との希望です。1990年2月16日に58歳で亡くなって30年の日に、この作品を選ばれたさと子さんの思いにキュンとしました。みんなで観て、偲びましょう。

他に、人形や絵コンテを展示している『メトロポリタン美術館』『おこんじょうるり』、そして『モチモチの木』の赤く劣化したフィルムとDVD-BOX所収の『モチモチの木』の映像見比べもしてみましょう。

先着30名で、残席は僅かです。一般1000円、学生800円(入館料込)。チラシには書き込めませんでしたが、終了後にはいつものように、懇親会(別に500円、差し入れ大歓迎‼)もございます。できるだけ暖かい服装でお越し下さいませ。よろしくお願いいたします。

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