おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2021.11.28column

『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督が来館‼

9月29日から始めた企画展「大映京都の特撮技術『画合成』原画展」は、いよいよ今日が最終日でした。今朝のFPS宮原啓輔監督『パン屋の愛情』上映中にお越し頂き、終了まで待って頂くのも申し訳なく中に入って映画をご覧頂いた方は、『シン・ゴジラ』(2016年)で第40回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、同作で総監督の庵野秀明さんと共に、最優秀監督賞を受賞された樋口真嗣監督でした。その時点で私はお名前を存じ上げず、普通に接していて、後で大慌て💦米子から金沢へ行くついでに立ち寄ってくださったのだそうです。

「最終日に間に合った。これだけマット画が固まって残っているのは貴重だ」と仰って、ゆっくりご覧頂きました。対応したのは特撮ファンの古谷さん(今回の展示では、資料をお借りしたり、必要箇所のコピーをたくさん提供して頂きました)と連れ合い。居合わせた古谷さんは樋口監督とお会いできたことを大変喜ばれて、その様子が2階で仕事をしていた私にも伝わってきました。その雰囲気もあって2階から降りてきた私でしたが、お名前をお聞きしてビックリ。古谷さんの喜びが私にも重なり、いつものミーハー根性丸出しに。記念に色紙にサインをお願いしました。

お描きになるのが左手で、サササッと、とても早くて。シン・ゴジラのイラストも添えて書いていただきました。お宝がひとつ増えました💝

素敵な思い出が出来ました。樋口監督、ようこそお越し下さいました!!!!!

後から次々来館された特撮マニアの人たちは、「一足遅かった!」と残念がって。お一人ずつの来館でしたが、共通の趣味なので「いやっ!」と挨拶、皆さんお知り合い。交わした会話の中に、今回の展示を通して知り合った方々の名前が次々出て、京都にも特撮マニアコミュニティがあることを知りました。

お客様には、できるだけ口頭で説明を心がけていますが、いつも文字情報が少ない点を反省しています。遅まきながら、丁度良いお客様がこられた折に、連れ合いが説明している様子を撮影し、動画を作りました。

一番必要としていたのは実は私かも。お客様は特撮ファンが圧倒的に多かったので、皆さん知識をお持ちですが、私は余り知らないので、もっと先からこういうのを作りたいと思っている内に、お終いになってしまい残念です。でも展示は終わっても、映画を見たときに「あっ、これはマット画だ!」「あっ、これは、グラス・ワークだ!」と気付く機会がこれからもたくさんあると思います。

今回展示したマット画のほとんどが、ピープロの渡辺善夫さんの手によるとわかりましたが、ピープロ代表の鷺巣富雄(うしおそうじ)さんの本『うしおそうじとピープロの時代』を読むと、「アメリカの映画関係者に渡辺さんのマット画を見せると、みんなびっくりしますよ。『あの画面は、こんな小さい絵だったのか』って。向こうのマット画はね、100号ぐらいの大きさに油彩で描く。渡辺さんのは普通の画用紙サイズにポスターカラーでえがくんだから。小さいということはね、それだけディティールが大変だということですよ」(90頁)。

お客様に特撮効果撮影法の一つ“グラス・ワーク”の場面が描かれている名探偵ポアロの「クラブ・キング」を教えて貰いました。Twitterで「見たい」と呼びかけたら、教えて下さる人がおられました。それがコレ。初っぱなにグラス・ワークの場面が登場します。カメラの直前にガラス板を置き、ガラスに必要な絵を描いて、ガラス越しの実景と同時に撮影して合成しています。

別の方から『スター・ウオーズ』のグラス・マットも教えて貰いました。

この方に尋ねたところ、「モノにもよりますが、『スター・ウオーズ』の場合はマットが保存されているそうです。日本は国土が狭い、自然災害が多い、新しい物好きなど様々な理由で、いとも簡単に捨ててしまいますから、勿体ないですね。

そういえば、チャップリンの『モダンタイムス』のローラースケートで、ギリギリで落ちない場面も特撮で、描かれたものです。こちらも別の人が教えて下さいました。

こういう風に見ていくと、映像を見る新しい視点が増えて、面白いですね。今回展示したマット画は、いずれ印刷物に出来たらと思っています。首を長~くしてお待ち下さいませ。ともあれ、マット画展期間中、ご来場いただいた皆様に心から御礼を申し上げます。ありがとうございました‼

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