おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2022.03.22column

映画評論家 佐藤忠男先生の訃報

今朝の京都新聞対向面に載っていた映画評論家 佐藤忠男先生の訃報に驚きました。がんと闘っておられたのですね。痛みから解放されてホッとされているのかもしれませんけど、残念です。つい先日発行したばかりの当館小冊子7『川喜多長政と中国 映画の国際交流を求めて』を執筆してくださった高橋伸彰・華都影視学院准教授(中国海南省)は、その「あとがき」で、「私が、川喜多長政の存在に関心を持ったのは、北京留学中に佐藤忠男氏が著した『キネマと砲聲』(岩波書店)を頂いたことに始まる。」と書いておられます。

私どもが「おもちゃ映画ミュージアム」を2015年5月18日に開館した折には、多くの方から応援メッセージを頂きました。お一人おひとりのメッセージは小冊子2『応援メッセージと活動記録』に収めました。その中に佐藤先生からのメッセージも含まれていて、私はその文章が好きで、よくお客様にも紹介します。改めてここで披露しますね。

……集めることは本当に急務。

むかし、親しくさせていただいた五所平之助監督がよく冗談に言っていました。「小津安二郎君がうらやましいよ。あまり当たらなかったからフィルムがきれいに残っている。僕や斎藤寅次郎君の作品はヒットしてフィルムが全国を回って引っぱり凧だったから、ボロボロになって、なくなってしまった」。でも、そのボロボロになった断片だって、残っていればそこから想像を広げることができます。ましてやオモチャ映画再編集されているから元の形とはちがうけれども、資料的な価値はずっと大きい。これを集めることは本当に急務です。私も声を大にして呼びかけたい。……

佐藤先生、どうもありがとうございました。先生の期待に沿えるようこれからも貴重な映像を次世代に継承できるよう頑張ります。天国から、どうぞ見守っていてください。心からご冥福をお祈りいたします。合掌

               手元にある佐藤忠男先生著作本の一部

 

記事検索

最新記事

年別一覧

カテゴリー