おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2016.03.29column

おじいさまのパテベビー

3月9日に来館いただいた男性から、パテベビーのカメラを寄贈していただきました。

DSC04659パテベビーは、9.5㎜フィルムで、真ん中にパーフォレーション(送り穴)がある特殊な形をしています。フランスのパテ社が開発し、1922年(日本でいえば大正11年)に発表しました。日本では、翌大正12年に東京の日本橋にあった高島屋東京支店が玩具売り場で初めて販売しました。けれども、その年の9月1日の関東大震災で同支店が被災してなくなったため、翌大正13年に東京銀座の伴野文三郎商店(現・伴野貿易)が5台のパテベビー映写機を輸入し、日本での販売が再開しました。

やがて、伴野商店は国産の機材「アルマ映写機」を開発し、名古屋のエルモ社も1935(昭和10)年に後に登場した16㎜や8㎜フィルムと互換性がある映写機を開発しました。戦中・戦後のモノ不足の時代を経て、個人や家庭用上映に人気があったパテベビーは、徐々に8㎜にその座を置き換えられます。パテの全盛時代は案外と短いのですね。

DSC04654

専用の箱にきちんとパテベビーが収まっています。男性の母方祖父に当たる方が購入・撮影されたもの約60本。内40本ほどが、おじいさまが昭和2、3年に自ら撮影されたものだそうです。1927(昭和2)年に初めての全国組織「日本アマチュア・シネマ・リーグ」が設立されましたから、その後開催された全国規模の個人映画コンテストに向けて熱を帯びた人々がたくさんおられた様子も垣間見えます(この方のおじいさまが出品されたか迄はわかりませんが)。他の20本ほどは、フランスの短編映画・マンガだそうです。

実家の整理をしていて、これらのフィルムを見つけられました。操作を教えてもらって、自ら整理をして、映し終えたら、お母様には間に合いませんでしたが、存命の叔父さんにお見せするのだとか。これから折を見て、ミュージアム通いを始められます。

フィルムがあっても、それを写す機械がないと諦めないでください。それをもう一度甦らす手立てがありますから。この方の例を参考になさってください。

 

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