おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2016.04.07column

美術の宇山さん

初めての社員総会に向けて、昨日会計士さん、監査役さんと一緒に経理諸表をみながら、これまでの1年を振り返り、これからのことを相談しました。勿論多額の赤字ですが、先ずは自分の足で立とうと、頭から補助金や援助を求めるのではなく、自分たちの理想に向けて、人件費、通勤手当0で、自分たちでできるだけのことを、頑張って無我夢中でやってきました。活動の趣旨に賛同してくださった皆さん、そして、新聞・テレビ・ラジオなどのマスメディア、雑誌・本など様々な媒体で取り上げて下さった皆様、ネットやブログなどを見て、東京や地方から、海外からも訪ねていただいた皆様、心から感謝申し上げます。皆さまからの応援が、本当に大きな力になり、励ましになりました。

そして、誠に厚かましいお願いですが、できることなら関心を寄せてくださる皆さま、ぜひ正会員、サポーターになってくださって、私たちの活動を支えてください。一緒に楽しいこと、おもしろいことをやっていきましょう。また、天井が高い空間となっているホールをイベントなどで活用していただくことも大歓迎です。

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もう一人、深く感謝したい人がいますので紹介します。映画の美術を担当している宇山さんです。10年間空き家だった100年は経過している京町家を、再生させてくれた一番の立役者、恩人です。本業の合間に、連日泊まり込んで、黙々と作業してくれました。彼がいなければ、昨年5月18日に、このミュージアムはできなかったでしょう。

この春も無理を聞いてくれて、裏に物置を作ってくれました。慈愛の心で犬も食わぬ夫婦喧嘩を聞き流し、黙々と作業が連日続き、そして、昨日無事完成しました。その記念写真です。

16㎜フィルムのリールを嵌め込んだ裏木戸が誕生。おもちゃ映画ミュージアムにふさわしいデザインで、とっても嬉しいです。「さすが‼」の言葉しか出ません。次回4月16日に開催する坂本頼光さん主催「無声映画の昼べ」から、入場はこの木戸からとなります。

物置の扉も彼のアイデア。「お多福」と呼ばれるガラス戸2枚を再利用しました。この呼び名も彼から教わりましたが、大判のガラスがなかなか手に入らなかった時代に、限られた大きさの板ガラスを利用して建具屋さんが技術と工夫して拵えたガラス戸。

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これも古い戸板を再利用したホール北面の窓。通常は縦に使う戸板を横向きに使うなど、彼の奇抜な発想です。その下のモザイク調の壁は、余った材木をくまなく用い、可愛く彩り豊かな外壁を作ってくれました。「あるものを活かして使い切る」彼の姿勢は、決算書類の建物付属設備費削減に結び付きました。手持ち資金が充分にあれば、彼に負担をかけずとも済んだのでしょうが、その事情を察して知恵と工夫と技を発揮して、映画美術ならではの才能を生かして、大いに助けてくれました。ありがたいことです。

ミュージアムには、このような彼のアイデアが随所に散りばめられています。ご来館の折には、その点もご覧いただければと思います。

昨日の午後、久々に自宅へと帰っていく彼の後ろ姿を見送りながら、「おかあはん」と呼んでくれた声を繰り返し、繰り返し思い出して、しみじみしました。

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