おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2023.10.28column

「豆名月」のお客様

10月27日は、毎回楽しみにしている「京都アンティークフェア」初日。今回は目当てがはっきりしているので、いそいそと会場のパルスプラザに向かいました。今年、早稲田大学名誉教授草原真知子先生に小冊子8『着物柄に見る幻燈・映画・映写機』を執筆して頂き、そこで紹介して貰った“面白柄”にすっかり魅了されています。骨董市で入手したのは映画『メトロポリス』をデザインした羽裏。1926年に製作され、翌年公開されたフリッツ・ラング監督のSF映画の傑作で、100年後の未来都市を描いた作品ですが、その100年後まで、あと少し。1月5日~3月3日まで、草原先生と稲畑産業㈱様のご協力で「友禅染の着物で“映画”をまとう~初期映画と染織に尽力した稲畑勝太郎にも触れて~」を開催します。その時に、この羽織も展示しようか、それとも羽織ろうか、と楽しい空想をしています。

交替で午後連れ合いが会場を訪れて買ったのが「Three View-Master」。可愛いミッキーマウスの顔。装填されていたのは“expo67”(モントリオール万博)のスライド1枚(7景)。きっとこの頃につくられた玩具なのでしょう。替えとして、スペインの闘牛のスライドが付いていました。

丁度良い具合に、インドのチェンナイからシネマトグラファ―をされているBagathさんとVardiniさんが来館。通りがかりに看板が目に入って「何だろう?」と来てくださいました。

早速、ゲットしたばかりのビューマスターを覗いて貰いました。他にもビューマスター用のスライドがありますので、今後のお客様にはいろいろ試して楽しんでもらいましょう。

職業柄興味を持たれたのはこちらのアリフレックスのキャメラでしょうか。展示中の小型カメラや映写機にも関心を持ってご覧頂きました。見て頂いた映像は時代劇でしたが、展示している黒澤明監督『影武者』の幻のパネルをご覧になって、「『羅生門』『七人の侍』『乱』『まあだだよ』など、黒澤明監督の作品はほとんど観ている」と話しておられました。

インドのチェンナイにピンでマーキング。ネットで調べると、インド有数の世界都市で、街中にカラフルな色が溢れていて活気を感じます。1996年にマドラスからチャンナイに改名されたそうで、wikiによれば、「南インドの玄関口」「南アジアのデトロイド」「インドの健康首都」「インド銀行業の首都」などと呼ばれているそうです。

骨董市からの帰り、いつもおやつを買う“たから餅”さんを覗いたら、おじさんから「今夜は豆名月だ」と教えて貰いました。恥ずかしながら、“豆名月”という呼び方があることを初めて知りました。陰暦9月十三夜の月を“豆名月”と呼び、季節の枝豆を供える風習があるのだそうです。おじさんがヨモギで作ったお餅の中には、黒豆の枝豆“紫ずきん”が3個入っていて、美味しかったです。この日限定のお餅、というのも良いですねぇ。

BagathさんとVardiniさん、そして久し振りに訪ねて下さった牛島さんには、“たから餅”のおじさんが毎日作り続けている味自慢の“みたらし団子”を差し上げました。インドのお二人は「お餅がとても美味しい」と笑顔を返して下さいました。

記念に相互で撮った写真。インドに戻られても、この日の出会いをいつまでも覚えていて下さったら嬉しい。

急な雷雨に雹まで降ってビックリしましたが、少し収まった頃を見計らって帰っていくお二人の後姿を見送りました。日本には10日間滞在され、今日はその真ん中だそう。残りの日々も日本で良い思い出をたくさん作って貰いたいです。

雹まで降る天候の急変に「今夜は“豆名月”が見られないかもしれない」と思いましたが、19:30からの無声映画上映会@旧伴家住宅に向けて自転車を走らせていると、東の夜空にまん丸いお月さまが浮かんでいました。「あれ、嬉しや」。「朧月夜」は春の季語だそうですが、そんな感じのお月さまでした。上映会には「西陣・千両ヶ辻歴史研究会リーダー、まち歩きガイドなどをされている仲 治實さんが初参加して下さり、1930年撮影の「保津川下り」「京都府駅伝」「四条通から祇園」の映像を見ながら、そこに記録された京都の場所がどこにあたるのかなどいくつもの助言を得ることが出来ました。今後も所蔵する映像にゆかりの地へ出かけて行って、そこの人たちと一緒に映像を見ることによってさまざまな知見が得られたり、お年寄りにとっては昔のことを思い出す回想法の役にも立てるように思いました。みんなで、がやがや言いながら見るのは楽しいものです。“枝豆”ではなく、“芋羊羹”をみんなで食べながら“豆名月”の夜を楽しみました。参加いただいた皆様、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

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