おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2024.08.11column

海外からのお客様

仕事が遅くてなかなか紹介できずにいますが、海外からの印象に残ったお客様を幾組か。

7月21日に来館されたアメリカのサンディエゴからTHE NEIZ FAMILY.お医者様のご主人と、写真家の奥様、二人の男の子の4人。どんな写真なのかと見せて貰ったら、サイアノタイプ。「あっ、それなら去年の春に私もやってみた!」と京都国際写真祭の時に出展者の若林久未来さんに教えて貰って、やってみた様子をご覧に入れました。

英語の会話なので思いを受け取り切れなかったかもしれませんが、奥様の腕のタトゥーには「星を見ると太陽は光を曲げます」と視差を表現。

もう片方の腕には、二次元、三次元、四次元を表現。自分でされたのかもしれませんね。

7月25日にフィンランドからお父様と一緒に来館されたミモサ・アへデリンネさん。指差しておられるのは2020年9月23日に来館いただいたアニメーション作家で京都精華大学教授の遊佐かずしげ先生の色紙。フィンランドの有名な物語の主人公ムーミンが描いてあるのを見つけて下さいました。遊佐先生は、ムーミン映画のオープニングを手掛けられたことから、人気があるムーミンのイラストを描いてプレゼントして下さいました。作者のトーベ・ヤンソンはお二人が来られたヘルシンキ生まれで、8月9日が誕生日。ということで「ムーミンの日」に制定されています。世界中で愛されているムーミンのことを誇りに思っておられることが、お二人の表情からも伝わってきますね。

KINOKILTA新しい映画館が開館予定なのだそうです。ミモサさんはフィンランドの国立視聴覚研究所の映画祭にもかかわっておられて、お土産に2023年の映画祭のポスターや、今年4月11~14日に開催された映画祭のパンフレット、チャップリンの写真が表紙を飾る無声映画特集の冊子(2009年1月号)、2000~2015年のヘルシンキ国際映画祭の絵葉書、映画祭招待シールなどをプレゼントして下さいました。来館に当たり、こうしたプレゼントを用意していて下さった思いやりが嬉しいです。

ネットで検索すると、ヘルシンキ国際映画祭は1988年から毎年9月に開催され、この映画祭が始まると人々は寒さの季節を迎えると映画館に集う風物詩でもあるようです。来館いただくことによって、世界には様々な映画祭があることを教わります。

Facebookで今年トルクで開催された上掲映画祭の記事を読んだら、フィンランド政府が映画祭に対し文化的支援を断ち切るようにしてなされたようです。映画産業が危機的状況にあるそうで、言葉が分からなかったから、ミモサさんとそうした話を交わすことが出来なかったことに今頃気付いています。Facebookの記事では「日本は文化に対して冷たい」と日頃から思っていましたが、「公的資金調達カットは、映画の分野全体とフィンランドの将来の成功にとって致命的です。 長期的かつ安定した基本的な資金調達なしには、産業を維持し、成長し、発展させることはできません」と訴えておられます。文化に対して冷たいのは、日本だけじゃなかったのですね。

フィンランド語の「無声映画」。彼の国でもおもちゃ映画のアニメーション特集や、紙フィルムの上映会ができたら良いですねぇ。

8月7日に仲良し3人で来館。おもちゃ映写機の体験を面白がってくださいました。今手回しで映写されているのがアメリカのポートランド在住でドキュメンタリー映画を作っているアンナさん。右隣で映し出される映像を見ておられるのが、アンナさんと幼馴染で、今はフランスに住みながら京都大学大学院で京都クリエイティブ・アッサンブラージュ(価値創造人材育成プログラム)准教授をされているシラさん。そして背後から覗いているのが、スコットランド出身で今はアメリカ在住の朗らかなショーンさん。

ショーンさんのタトゥーがとても可愛くて。

世界中のキャラクターがあしらわれていましたが、一見したところ日本のものは見当たらず。次回はぜひに。

アンナさんのタトゥーも可愛らしい。アメリカにタトゥーを死後切り取って額装するビジネスがあるらしい話をしたら、ショーンさんは、とんでもないと首を横に振りましたが、アンナさんは興味があると返事。初めてタトゥーを入れた皮膚を残したいという考えの人と出会いました。7月28日までだったら、美しい毛利清二さんの刺青下絵をお見せできたのに、「遅かりし」でした。この時、もう一人ニューヨークで映画のプロデューサーをしているジョーダンさんも来館されていて、「じゃ」ということで日本のおもちゃ映画のアニメーション集をご覧に入れ、紙フィルムの映像もご覧に入れました。

8月6日アメリカでエリック・ファーデン教授らが披露された紙フィルム上映イベントは琴の生演奏付きで実施され、チケットは完売で盛況だったようです。こちらでエリック先生の講演内容について紹介されています。また、X(旧Twitter)のアカウントThe Japanese Paper Film Projectをクリックしてご覧下さい。アンナさんたち4人も活弁付きの戦前のアニメーションを拍手をして楽しんで下さり、紙フィルムについても興味深くご覧下さいました。私たちの問題はこれらを海外の映画祭で上映するための渡航費捻出です。ふさわしい助成金があれば、皆さん是非にお教えください。紙フィルムは世界の人を虜にするメディアだと思います。

そして、8月9日はスペインのカディス市から、アニータさんが来館。通りを歩いていて看板が目に入り、興味を持ったのだそうです。その時、「前々から気になっていたけど、漸く見に来ることが出来ました」と京都外国語大学の南博史教授も来館。私がこれまでの展示など活動の話をしているうちに南先生とすっかり意気投合し、「来年は連携して戦後80年をやりましょう」と盛り上がりました。その頃連れ合いは翻訳アプリを用いながらアニータさんに機材などの説明をしていました。と、帰ろうとされていた南先生は、耳に飛び込んできたスペイン語に反応して、アニータさんと会話。元は考古学の専門家だとお聞きしたのに、スペイン語もお出来になるなんて、何と格好良いこと‼

アニータさんもスペイン語で話せるので、嬉しそう。

展示している団扇の説明をしようとして、普段持ち歩いている扇子を取り出したら、スペインの靴メーカーからのプレゼントでした。マークを見てアニータさんはニッコリ。その笑顔が可愛らしい。赤い扇子が良くお似合い。おばあさまのところには螺鈿細工の大きくて古い扇子があるのだそうです。確か200年ほど前のもの、と聞いたような。それは装飾用で実用品とは異なるのかもしれませんが、扇子は19世紀後半のジャポニズム時代の絵画にも描かれて知られていますが、団扇は余り知られていないようです。この展覧会も契機になって、団扇で扇いで涼を得る文化も広がれば良いですね。

カディス市にマークするアニータさん。明るくて、楽しい方でした。

夜になって南先生から届いた写真。

アニータさんは「信じられないほど興味深い博物館です。あなたはとても親切です。とても楽しかったです」と芳名帳に書き込んでくださいました。楽しかった思いは私どもも同じ。良い出会いでした。早速Facebookでも繋がり、彼女の紹介で、スペインで映画を作っている方とも繋がりました。久々に「友達の友達は皆友達だ♪」のフレーズを思い出ました。

遅ればせながらここで紹介した皆さんと出会えて本当に良かったです。ありがとうございました‼ 来週からも、どのような民際ができるか楽しみにしています。

 

 

 

 

 

 

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