おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2026.02.03column

海南省海口経済学院の学生さんたちとアメリカ13大学で構成するAKP参加学生さんたちの見学

もう2月。「一月往ぬる二月逃げる三月去る」と言いますが、今日は節分。正月に飾った人形を仕舞い、今は「鬼は外 福は内」とばかり、桃の絵があしらわれた鉢巻きを締めた男の子に叩かれて泣いている鬼さんのからくり人形を飾っています。
 
壬生寺の節分会が営まれ、大勢の善男善女が参詣し、大賑わいです。今年も炮烙を買い求めて願いを書き奉納をしてきました。「今年は絶対行く」と決めていた五條天神宮(西洞院松原)へも寄って、節分の日のみ授与される“宝船図”をいただいてきました。今夜は、この絵を枕の下に敷いて眠り、良い初夢を見たいものです。
 
さて、1月27日に中国の海南省海口市にある海口経済学院の高橋伸彰先生が学生さん5人を引率して見学に来てくださいました。主目的は高橋さんを取材対象にした学生さんたちの撮影のようです。高橋さんは大阪芸大映像学科卒業生で、当館の小冊子7『川喜多長政と中国-映画の国際交流を求めて‐』を執筆もしてくださいました。今、高市首相の発言に端を発して、政治的に見れば日中関係がギクシャクしていますが、無事に再会できて安堵しました。中国語を流暢に話されて学生さんたちからの信頼が厚い様子も伝わってきました。
中国は広大なので、この日来てくださった黒竜江省佳斯市からの白い帽子を被った学生さんのようにマイナス30度ぐらいのところもあれば、
髙橋さんが地図にピン止めしている海南島のようにココナッツの実が採れる暖かい地もあるのですね。他には山東省、江蘇省にもピン止め。
ジャムスと聞いて、昨年8月15日黒竜江省出身の女性と出会ったことを思い出しました。教育の影響は大きいかと思いますが、こうして実際に日本に来て、自分の目で見て、耳で聞いて感じたことも大切にして未来に繋いでいっていただけたらと願います。昨年出会った女性に教えてもらった言葉「感謝縁分」は、「ご縁をありがとうございます」の意味で、その後も私が出会う人との間で日々大切に思っている言葉です。右隣の男子学生さんは日本の大学に留学した経験があり、写真のように通訳もしてくださり、助かりました。
いつものようにフィルムの歴史の話をし、家庭用に販売されていたことで残った無声映画の断片をおもちゃ映写機を使って映写する体験から。皆さん真剣に耳を傾けてくださいました。映画を専攻している学生さんばかりではなかったようで、初めて知った光学玩具などの体験に目を輝かせて楽しんでくださいました。
活弁付き戦前のおもちゃ映画のアニメーションをご覧いただきました。実際に撮影現場で用いられていたカメラや小型カメラ、映写機などを御覧になって、映画の歴史に触れてもらうことができました。来館前に学生さんたちと太秦の映画撮影所を見学してこられた高橋さんによれば、リニューアル工事中ということも関係しているのでしょうが、中国は比べものにならないほどスケールが大きいようです。そんなことなども考えながら、隣り合う国同士、相互理解に努め平和外交を続けていくことが大切だなぁと改めて思いました。少なくとも民間レベルでは、そうした気持ちがより一層重要だと思いました。
最後にみんなで記念写真。手にしているのは私が大切にしている世界地図。「みんな仲良く」という願いを込めています。
 
髙橋さんから、お土産に海口市の伝統的お菓子「椰子糖」を貰いました。海南島はココナッツの産地として有名で、その実から抽出したココナッツミルクと砂糖を主原料としたグミのような歯ごたえのあるお菓子でした。2日京都芸術デザイン専門学校生二人が来館し、16日から10日間のインターンシップが始まります。そのうちの一人Liさんは中国山西省の出身なので、このお菓子をあげたら「懐かしい、このお菓子とても有名なんですよ」と教えてくれました。彼は志望理由に「現代のデジタルデータとは異なる古いメディアが持つ独特の手触りに魅力を感じて」と話してくれました。どんなアイデアを提供してくれるのか10日間が楽しみです。
 
 
1月30日は、16日にお会いしたばかりのジャスティーン・ウィッシンガー(Justine Wiesinger)先生がAKP(Associated Kyoto Programの略で、アメリカの13大学により構成される日本留学プログラム)の学生さんたちを引率して見学に来てくださいました。翌日早速ウィッシンガー先生がfacebookに以下のようなメッセージを書いてくださいましたので、コピペしてご紹介。
 
Yesterday I got to bring my students to the Toy Film Museum, and it was really a huge treat to share the experience with them. They got to experiment hands-on with a number of early film, photography, and animation technologies, as well as to benefit from the knowledge of director Ota Yoneo and curator Ota Fumiyo.
I really was happy to pass on the message of what we risk missing or losing when we fail to engage with the materiality of cinema. Even I am young enough to need this message.
 
それを受けて私も次のように書き込ませていただきました。

Good morning!
Thank you so much for taking the AKP students to the museum yesterday. We were deeply touched by their comments in the guestbook. It is very encouraging to know that they found this experience both fascinating and educational.
Coincidentally, today (January 31st) is the day that "Japanese Paper Film," a project we collaborated on, will be screened at the Museum of Modern Art (MoMA) with live music. We would like to express our sincere gratitude to Professor Eric Faden and his team at Bucknell University. Thanks to their efforts in developing a device to safely digitize these precious materials, "paper film" (a uniquely Japanese medium patented in 1932 but banned in 1938 due to the war) has been exhibited in Italy, Australia, and now throughout the United States.
Yesterday, the students also viewed "omocha-e" (multicolored woodblock prints) from the Edo and Meiji periods. Professor Anne Herring, also from the United States, became fascinated with paper toys, which were commonplace but often discarded after use, and tirelessly began collecting them.
We also introduced the students to Nishiki Kage-e, a uniquely Japanese form of shadow puppetry that originated during the Edo period. I believe that the roots of Japan's world-renowned animation lie in Nishiki Kage-e, which uses a wooden device called a "furo." People would gather after dark to enjoy stories told alongside narration and music, with images of seedwood projected through a magic lantern. This art form fell into decline with the advent of film, but there are still people today who are dedicated to preserving this tradition. Professors Faden and Herring are among those captivated by its charm.
It is often the eyes of people overseas that first recognize the value of Japan's ancient culture, preserve it, and teach us Japanese its true meaning. I believe our museum's mission is to serve as a bridge between countries, promoting international exchange and ensuring that each country's precious culture is passed on to future generations.
We would appreciate your continued support of our activities.

Fumiyo Ota
TOYFILM MUSEUM

感謝の気持ちをお伝えしたくて書いた内容は、

昨日はAKPの学生たちを美術館にお連れいただき、誠にありがとうございました。芳名帳に書いてくださった学生さんたちのコメントを拝見し、大変感動しました。皆さんが今回の体験を興味深く、また大変勉強になったと感じてくださっていることが、私たちにとっても大変励みになります。
偶然にも、今日(1月31日)は私たちも協力している「日本の紙フィルム」が、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で生演奏付きで上映される日です。バックネル大学のエリック・フェーデン教授とそのチームの皆様に、心より感謝申し上げます。貴重な資料を安全にデジタル化する装置の開発に尽力いただいたおかげで、「紙フィルム」(1932年に特許を取得したものの、1938年に戦争により禁止された日本独自の媒体)は、イタリア、オーストラリア、そして今ではアメリカ各地で紹介されています。
昨日、学生さんたちには江戸時代から明治時代の「おもちゃ絵」(多色刷り木版画)もご覧いただきました。身近にあり、使い終わった後に捨てられてしまうのが常だった紙製のおもちゃに魅了され、たゆまぬ収集活動を続けたのは、同じくアメリカ出身のアン・ヘリング教授でした。
さらに、私たちは江戸時代に生まれた日本独自の「錦影絵」も学生さんたちに紹介しました。世界に誇る日本のアニメーションのルーツは、「風呂」と呼ばれる木製の道具を使った「錦影絵」にあると私は考えています。人々は日没後に集まり、幻灯機を通して種板の絵を映し出し、語りと音楽に合わせて語られる物語を楽しんでいました。映画の登場により「錦影絵」は衰退しましたが、今日でもこの伝統を守り続けようと尽力する人々がいます。フェーデン教授とヘリング教授もその魅力に魅了された一人です。
日本の古来の文化の価値を最初に認識し、それを守り、私たち日本人にその真の価値を教えてくれるのは、しばしば海外の人々の目です。私たちの博物館の使命は、国際交流しながらお互いの国の貴重な文化を次世代に継承できるよう架け橋となることだと思います。
これからも私どもの活動を応援して頂ければ嬉しいです。

9人で来館。手前の帽子を被っておられるのがベイツ大学アジア文化学科准教授のウィッシンガー先生。

光学玩具を自由に体験して頂きました。

facebookの書き込みで触れた紙フィルムをご覧になっているのは、セントアンドリュース大学Dina Iordanova教授。世界的に有名な映画研究者で、2017年山形国際ドキュメンタリー映画祭の審査委員もされたことがあるようです。ディナ・ヨルダノヴァ教授は、芳名帳に「訪問をとても楽しめました。ありがとうございました」と書いてくださいました。ようこそおいで下さいました、お会いできてとても嬉しく思っています。

エリック・ファーデン教授の話をしていたら、写真のお二人がバックネル大学の学生さんだとわかり、「大学に戻ったらエリック先生に、『ありがとう』って言っていたと伝えてね。デジタル化して保存された紙フィルムは、羽が生えたように世界を旅していて、その実物を見てくれてとても嬉しい」と伝えました。

これがアン・へリング先生から寄贈いただいた「おもちゃ絵」です。

こちらは、「錦影絵」(関東では「写し絵」)です。

このコーナーに大映が1966年に製作した『大魔神』3部作で使用した特撮用"matte paintings" の一部を掲示しています。写真のように見えますが、細密に手描きされた絵で、実写で撮影した登場人物たちと画合成して、大魔神の巨大さを表現しました。手にしているのがイギリスのアロー・フィルムから発売された『大魔神』三部作のDVDBOXです。ちなみに、連れ合いが高校生の夏休み、この撮影にアルバイトとして参加したときの様子をアロー社から尋ねられ、その内容も収録されています。

ディナ・ヨルダノヴァ教授はスコットランドにピン止め、

他のみなさんもそれぞれ出身の地にピン止め。うっかりと集合写真を撮るのを忘れてしまいましたが、日本滞在中の思い出のひとつになったなら嬉しいです。
 
そして2月3日朝“Duo夢乃”さんがSNSで、1月31日ニューヨーク近代美術館MoMAで行われた紙フィルム上映会の様子をUPされたのを拝見しましたので、コピペして紹介しますね。
𝐉𝐚𝐩𝐚𝐧𝐞𝐬𝐞 𝐏𝐚𝐩𝐞𝐫 𝐅𝐢𝐥𝐦𝐬 𝐚𝐭 𝐌𝐨𝐌𝐀❗
「日本の紙フィルム」MoMAにて満員御礼
【日本語は下記をご覧下さい】
On Saturday, January 31st, a screening of Japanese Paper Films (@kamifirumu) was held at MoMA The Museum of Modern Art of its annual To Save and Project Festival. The event was co-organized by MoMA and New York University’s Orphan Film Symposium. In addition to the paper films (which consisted almost half of the program), five other presenters screened rare films that were recently discovered or preserved.
Fortunately, we had a sold-out crowd that came to the event despite the freezing weather and gave enthusiastic response to the films. The energy of the room was palpable, and we had a great time performing.
This was a special event because the first public screening of the newly digitalized paper films was at the Orphan Film Symposium held on April 11, 2024 at the Museum of Moving Image in New York. In fact, a few Japanese film aficionados had been preserving the films even before the Japanese Paper Film Project began, but Prof. Eric Faden and his team came up with a system to reliably and quickly digitalize and stabilize the images without damaging the original print. We must also recognized and thank the efforts of the collectors who had the foresight of preserving these culturally significant artifacts even if they had no way of watching them.
It’s quite amazing to think that the films that were made for children in the 1930s have resurrected and are being showed to 21st century audience. As musicians, it's a gratifying process to add life to the films and to feel the joy of the audience in real time.
We have upcoming screenings throughout the year, so please stay tuned! 
[Photography by Ryoichi Miura]
★★★
先週土曜日(1月31日)に、ニューヨーク近代美術館(Mo MA)にて、第22回国際映画保存フェスティバルの一環として、「日本の紙フィルム」が紹介されました。当日のプログラムはニューヨーク大学オーファン・フィルム・シンポジウムとMoMAによる共催で、6つのプレゼンターによる多彩な内容で、「日本の紙フィルム」は後半を占める上映となりました。とても嬉しいことに、極寒にも関わらず満員御礼の公演となりました。ニューヨークのお客さんのリアクションは、私たち自身もクスリと笑ってしまう感じで、とても良い雰囲気の公演だったように思います。ご来場頂きました皆様に心より感謝申し上げます!
2024年4月11日に、ニューヨーク映像美術館で開催された「オーファン・フィルム・シンポジウム」にて、「日本の紙フィルム」はデジタル化成功以来、初お披露目となりました。それ以前にも、日本国内で貴重なフィルムを愛する方々によって、様々に保存が試みられていた事も忘れてはなりませんが、極めて高い解像度で安定して観る事の出来るデジタル化に成功したのは、エリック・フェイデン教授とプロジェクトチームのご尽力の賜物です。また、未来の観客のために、大事なコレクションを提供して下さったコレクターの皆さんのお気持ちも特筆すべき事です。
1930年代に、日本の子供たちのために作られていた「紙フィルム」が、90年近くの歳月を経て甦り、世界中の皆さんに楽しまれつつあることにロマンを感じますし、デュオ夢乃としても、音楽で映像に彩りを添えていく作業にとてもやり甲斐を感じています。これからも、上映会が予定されておりますので、詳細決まり次第、お知らせいたします!
[写真は、三浦良一氏のご提供によります。]
 
 
Duo夢乃様、お知らせありがとうございます。Duo夢乃さんは、箏奏者の木村伶香能さんとチェロの玉木光さんの二人組。 “紙フィルム上映会にふさわしい音楽を”と、エリック先生がお二人を見出され、その期待に応えて、お二人は日本的味付けと空気感に満ちた演奏で彩って下さっています。これからも上映会が予定されているそうなので、身近で上映の機会がございましたら、ぜひご覧ください。

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