おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2025.06.12column

続続・最近出会った海外からのお客様

さて、休館日を利用して、最近出会った海外からのお客様との会話を思い出しながら綴る日記もあと少し。

5月30日は戴周杰さんが、神戸での映像学会発表の機会に来てくださいました。昨年12月28日旧ミュージアム最後イベント「さよなら会」に来てくださって以来。うちも引っ越しで大変でしたが、実は戴さんも5年間活動した浜松の木下惠介記念館を退職し、4月から、青森県八戸市にある八戸工業大学感性デザイン学部感性デザイン学科助教として赴任されました。

「感性デザイン学部」の名称が興味深いですね。真新しい学部かと思いましたが、既に20年の歴史があるそうです。そこで新米の先生として戴さんの今後の頑張りが注目されます。最近の少子化問題から、中国出身の戴さんの存在も大学にとっては魅力だったのかもしれませんが、映画に関する授業を担当するのは戴さん只一人、大いに活躍が期待されるところです。秋からはゼミも受け持つとか。浜松に比べると遠いですが、青森の戴さんを訪ねていけたら良いなぁと旅のプランを思い浮かべつつ、四方山の話に興じました。

何度もお会いしているのに、これまで出身地にマーキングしてもらうのを失念していたようです。中国湖南省岳陽市にピンで印を打ちました。いつお会いしても丁寧で、優しく、そして賢くて、会うたびにファン度が増します。この調子で、八戸に限らず、青森県、否、東北地方にファン層を広げて活躍してください。いつも応援しています‼

31日は台湾の台北から京都の日本語学校に勉強しに来ている蘇 子晴さんが、学芸員資格取得のため見学に来てくださいました。参考になるような展示でもないので、申し訳ないとお詫びをしつつ、あれやこれやとお話ししました。私の台北の友人は、NHKの大河ドラマで日本語を勉強し、大変流暢な日本語を話し、書くのも聞くのも上手です。そうした努力家で賢い友人を持つと、自分自身がちっとも努力しないで、相手に頼りっぱなし💦 今度また「晴(はる)さん」(日本語学校の友達が、親しみを込めてこのように呼ぶそうです)に会うことができたなら、少しずつでも台湾の言葉を覚えたいです。

6月4日は、アメリカのニューヨークにあるハミルトン大学の大森恭子准教授が、教え子のキャロリン・誠さんと一緒に来館。昭和30年代の浅草を舞台にしたモノクロ、サイレント映画『夢見るように眠りたい』の研究の一環で、前日には林海象監督にもインタビューをしてきたそうです。この日は、活動写真弁士の大森くみこさんにも来てもらってインタビュー(下掲写真)も。二人の「大森さん」と一緒に記念写真を撮りました。私が手にしているのは、5月18日開館10年の誕生日に、大阪芸大卒業生の生駒 誠さん(V82 )から寄贈していただいたカチンコ。彼が東映京都撮影所で2011年頃まで16㎜フィルム撮影時に使っていたものだそうです。テープで補強し、年季が入って使い込まれた味があります。

大森くみこさんが新拠点に来てくださったのは、この日が最初。実は9月14日に当館で、大森さんの活弁と天宮遥さんの電子ピアノの演奏付きで無声映画の上映会を計画しております。まだ真夏の暑さを体験していないので、どれぐらい暑いか、そんな心配を二人でしました。その折は、旧ミュージアムの時と同様に「できるだけ涼やかな服装でお越しください」とお願いするつもりです。

6日はオランダのアムステルダムからJANCOVIC MARECさんが来館。アムステルダム自由大学の先生で映画技術史を研究。8月ぐらいまで明治学院大学を拠点に調査研究をされています。そのテーマが初期のフィルムの素材に関連してでしたので、関係するのではないかと思う人を紹介しました。うまく繫がることができると良いのですが。「自由大学」の響きが印象に残ったのでお尋ねしたら、「大学はカトリックなのでプロテスタントや政府から自由だという意味」なのだそうです。どこぞの国の大学では、今、トップから大きな圧力を受けているとニュースで報じていますので、その響きがより大きく感じられました。

おしゃべりしている間に、関東にお住いの北村真平さん(V8)から『大魔神』の金属製看板が届きましたので、「せっかくだから」とフィギュアも一緒に写真を撮りました。北村さんはハリウッド映画『アポロ13』の特撮などで活躍された方で、これまでも多くの寄贈品をいただいていて、感謝感謝です💕早速館内に掲示しました。

「たくさん刺激を受けました」と輝く笑顔でおっしゃっていただきました。いつも「良いなぁ」と憧れていたアムステルダムのEye Film Museumには、よく行くのだそう。いつかは自分の目で見に行きたい場所のひとつ。私の実家は昔チューリップを栽培していましたので、どうせ行くなら、オランダのチューリップが美しい頃が良いなぁと勝手に夢見ています。
7日イエール大学のリリアン・マッキンタイヤ-さんが来館。同大学アーロン・ジェロー教授のご紹介です。博士課程でゲームについて研究しているそうです。しっかりした学生さんで、日本語も上手。土本典明さんのコレクションがイエール大学で保存されていることを聞きましたが、今また持ち上がっている話題があるようです。日本は本当に映画に対するまなざしが冷たいように感じられて、気持ちは焦るばかりです。 
8日はDean Durkinさんがニューヨークから来館。ニューヨーク大学で東アジア映画を研究中。
立命館大学であったメディア学会の後訪問してくださった羽衣国際大学の北波英幸さんと久しぶりの再会。一緒にお誘いして記念写真を撮りました。私は届いたばかりの紙フィルム上映会のチラシを手に。6月25日17時、京都府立文化芸術会館で開催します。ぜひお誘いあわせてご来場くださいませ。
リリアンさんから聞いたばかりの話も含め、日本の映画に関する施策の理解のなさを訴えているところ。彼は呆気に取られているような表情ではありますが、一も二にもなく彼の将来の夢を聞いたからです。お父様は有名な映画会社の副社長をされていましたが、今は自分の会社を経営して、彼はそれを手伝いに世界各地に行って「ノマド」のような暮らしを楽しんでいるようです。自宅はロスにありますが、1月の大規模な山林火災の影響で家にも粉塵が入り込み大変だったようです。実際に被害に遭った人の話を聞くのは初めて。これまでも多くのロスから来られた人々と出会っていますので、その方たちがどうしておられるかいつも案じています。
背が高かったので、「ちょっと待って」と急いで台を持ってきてポーズをとったら大うけで。ハイタッチして、「この後はイタリアに行くけれど、秋にはまた日本に来て、その時は会いに来るよ」と笑顔で帰っていきました。面白い出会いでした。
北波さんから、論考「戦間期アニメーション映画にみるスポーツと社会教育-村田安司『動物オリムピック大会』(1928)と『体育デー』(1932)から-」が所収された『メディア史研究』56号(メディア史研究会編)を寄贈いただきました。お声がけいただければ、館内で自由にお読みいただけます。北波さん、どうもありがとうございました!
 

記事検索

最新記事

年別一覧

カテゴリー