おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2025.09.03column

ドキュメンタリー映画「蟻の兵隊」

 

今頃?と思われるかもしれませんが、映画『蟻の兵隊』(2006年)を観てきました。京都シネマで3日間限定で上映され、満席でした。世界各地で戦火が一向に鎮まらない今日、主人公の奥村和一さんらが「日本はまた戦争に向かっている」と感じた時以上に、今はその気配を意識せざるを得ない状況かと。
 
陸軍第1軍司令官の命令で戦後も武装解除を受けることなく、約2600人もの将兵が中国山西省で残留し国民党軍に合流、4年間も共産党軍との内戦に動員されました。1945年9月2日日本は無条件降伏文書に調印して戦争が終結しました。が、それ以降も日本軍が戦争を継続していたとなればマズいということで、日本政府は「彼らは勝手に残って傭兵になった」とし、戦後補償を拒否してきました。
旧軍や国の責任を問う証拠を集めるために、中国の山西省にわたった奥村さんの旅は初年兵教育として受けた「肝試し」のことを思い出させる旅でもありました。奥村さんは言います「戦争はどういうものか。日本軍はどうやって人間の理性を奪っていったのかを明らかにしたい」と。
 
この映画がつくられた2005年、奥村さんたち元残留兵士らは軍人恩給の支給を求めて最高裁に上告しましたが、最高裁はこれを棄却します。この作品は、日本軍山西省残留問題の真相を解明しようと信念をもって取り組んだ奥村和一さんの姿を追ったドキュメンタリーです。2011年奥村さんは無念のうちに86歳で亡くなります。
 
戦後80年ということで、この作品が取り上げられたのでしょう。公開時に見ていなかったので、ずっと気になっていた映画でした。大きなスクリーンで観ることができて良かったです。生憎パンフレットは品切れだそうですが、DVDが販売されていましたので、関心がある方はぜひどうぞ。池谷 薫監督は「一人でも多くの若者に、戦争とは何かを知ってほしい」と大学や高校などで上映会と講演をされているそうです。こういう映画を当館でも上映できたらいいのですが、定員が24名だと上映料負担が難しくて。。。
 
そういえば、京都シネマの上映予定作品に、小原浩靖監督最新作『陽なたのファーマーズ フクシマと希望』も紹介されてました。
上映日は記載がないので、改めてご案内できればと思います。小原監督(大阪芸大映像学科卒V82)には、2020年夏に“満州国”をテーマに展示をした折に『日本人の忘れもの~フィリビンと中国の残留邦人~』でご協力いただきました。残留邦人の問題も含め、日本はきちんと戦争責任と向き合っていないなぁと改めて思います。
 

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