おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2025.09.15column

9月も、もう半ば

9月も、もう半ば。日にちが過ぎるのは本当に早くて。ふと「9月17日は山中貞雄監督の命日だ」と思い出し、大雄寺境内にある「山中貞雄之碑」を拓本した軸を取り出し館内に飾っています。

今年も17日午後2時半、山中貞雄監督の菩提寺「大雄寺(だいおうじ)でご住職による法要のあと、会場を移して「偲ぶ会」が営まれます(参加申し込みは受付終了)。才能を称えられながら出征した中国戦線で病に倒れ、1938年9月17日28歳の若さで亡くなりました。今年は没後87年です。親友だった小津安二郎監督が揮ごうした長文の碑文を読みながら、戦争犠牲者の一人、山中監督の死を悼み、二度と戦争を繰り返さぬ誓いを新たに。

さて、2日は幻燈機のガラス種板「不思議の国のアリス」組み物のうちの一枚が紛れ込んでいたと寄贈いただきました。綺麗ですね💗組み物で見てみたいなぁ。

そして、5日は市内の城戸優一様から、お父様の久郎さんが撮影された16㎜と8㎜フィルム、編集機材などを寄贈して頂きました。これまでも小型映画フィルムを寄贈いただいていて、16㎜は劣化が酷かったのですが、8㎜で撮影した中には、裏千家の茶道会、花見、今上天皇様が皇太子時代のご成婚の様子や、時代祭、世界各地を旅行された記録映像などが残っていて興味深いです。

デジタル化の後にリストを作りますが、

私の目を惹いたのは撮影のためのタイトル用のテロップ。お父様は「京都小型映画協会員」だったのですね。

撮影が好きで上手だっただけでなく、文字もとても美しいです。すべて手書きで、カラー時代を意識して配色もお洒落です。こうして残った映像もいつか機会を設けてご覧いただけるようにしたいです。

そして、11日はBS朝日「あなたの知らない京都旅~1200年の物語~」の取材で、旅人西村和彦さんが来館されました。京都出身の西村さんは、日本大学芸術学部映画学科で映画の勉強をされたようですので、カメラや映写機などの機材に大変興味を持ってご覧いただきました。俳優としての経験もふまえ「(デジタル時代の)今は捨てる編集だが、昔は(フィルムが高いから)繋ぐ編集」と仰ったのが印象に残りました。この日撮影した様子は10月23日(木)21時~22時、BS朝日で放送され、放送後次回放送回まで配信される予定だそうです。どうぞカレンダーにメモをしてくださって、ご覧いただければ幸いです。

翌日の追加取材の折に担当者に「もしもお手元や知り合いのお宅に、古いフィルムがあれば、『どうぞ捨てないでください。貴重な資料として活かす道があります』と伝えてください」とお願いしました。

取材があった11日、丁度この思いを反映したかのように、北海道登別市の北乃博物館を経営されている若木日出男さんから紙フィルム15本が届きました。

映写機などは写真でお送りくださいましたが、当館にあるものばかりでした。しかしながら、紙フィルムにつきましては、当館にないものが多く、リストを作ってこれまでエリック・ファーデン教授がデジタル化されたものに含まれているか否か、今確認を依頼しています。「水中商店が作っていた月星マークの紙フィルムが含まれていたら嬉しいなぁ」と思っていたのですが、残念ながら全てレフシーの紙フィルムばかりでした。これらは若木さんのお友達が長く保存されていたものだそうです。来年エリック先生が来日された折にデジタル化して頂き、その後お手元に紙フィルムとデータをお返しする段取りで話を進めています。もしも皆様の中で、紙フィルムをお持ちでしたら、同じようにご協力をお願いしたいです。

若木さんは、8月27日15時10分からNHK総合テレビ「午後LIVE ニュースゥーン」で紙フィルムプロジェクトの取り組みが特集されたのをご覧になって、電話をかけてくださいました。北海道でも紙フィルムが楽しまれていたことが分かっただけでなく、90年ほど前の紙フィルムが大切に保存されていたことも分かり、大変嬉しく思いました。池田富保監督『大忠臣蔵』第一巻、第三巻、寺内純一監修カラー漫画『波のり越えて』は破片ですが、興味深いです。まだまだ、世間には眠ったままの紙フィルムがたくさんあるのでしょう。どうぞ、眠りから覚めさせて下さい‼

若木さんがご覧になった総合テレビの紙フィルムプロジェクト特集は、最初7月22日22時40分からの「BS国際報道2025」で放送されましたが、これが評判になり、前述のように8月27日に再放送、そして9月4日NHK WORLD-JAPANで15時から再々放送され、この番組は放送後見逃し配信が3か月あり、今も見ることができます。https://www3.nhk.or.jp/.../20250904161249498/index.html

そして12日夜、NHK ワールドTV「JーFLICKS」のプロデューサーさんから連絡があり、5月18日に放送された同番組が、好評だったらしく10月半ばに再放送される見込みだということです。番組ナレーターのガイ・ぺリマンさんが当館が所蔵する戦前のアニメーション『文福茶釜』(1928年)『火星旅行』『ドングリドン助旅日記』を使って英語で活弁に挑戦するシーンが放送されました。正式に再放送される日が決まりましたら、改めてご案内します。見逃し配信につきましては、こちらも放送後3か月間配信されます。世界160の国と地域に放送される番組ですので、当館のことや活弁のことを広く知っていただける機会になることを大変嬉しく思っています。
 
当館で活弁の面白さを知ったイギリス人のガイさんは、9月15日夕刻、東京原宿のAshu Building6階のGE Theaterで麻生小八咫さんと一緒に活弁イベント「MIC!PROJECTOR!ACTION!」をされます。イベントページで、当館のことも紹介して頂いていますので、こちらもクリックして、ご覧ください。https://micprojectoraction.peatix.com/
11月にはロンドンでも公演されることが決まりました‼英国でもKATSUBENへの関心が広まると良いですね💗
ガイさんが今春来館時のブログはこちらで書いています。/blog/column/27306.html
 
そして13日に来館いただいたカジャさん(ポーランドとドイツの国境近くから)と、昨年7月20日に続き二度目の来館となったパトラシュクさん(ルーマニア出身)は、NHK WORLD-JAPANの紙フィルム特集をご覧になって興味を持ってくださいました。14日の活弁上映会に続き、今日15日は『おもちゃ映画で見た日中戦争』をご覧になっていて、3日連続でお会いする珍しい展開に。紙フィルム目当てに海外からの見学者が増えていて、再び脚光を浴びている紙フィルムが、思わぬ国際交流をもたらしてくれています。
まだまだお会いしたのに紹介しきれていない方々もありますので、別の機会に書くことに。積み残しがどんどんたまり、記憶が薄れないうちにと、正直、気持ちばかりが焦っています。

 

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