おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2017.05.20column

明日の「お楽しみ 国産動画を探せ<ライオン家庭フィルム編>」の前に

今頃お恥ずかしいのですが、昨年の活動記録を書いています。こまめにつけているはずの日記帳と新聞などのスクラップを見ながら作業しているのですが、スクラップ帳をめくっていると、内容が面白くてすぐ手が止まってしまい、遅々として進みません。

先ほどは昨年8月27日付け神戸新聞夕刊に目が釘付け。なぜ神戸新聞かといいますと、残念ながら連載が終わってしまいましたが、毎月第4土曜日に連載された「キネマコウベ」を読みたいばかりに、神戸映画資料館の安井館長にお願いして1部郵送して貰っていたのです。

釘付けになったのは、この夕刊2面の連載記事。「あなもん 神戸『ちんき堂』通信№88」に、「正チャンの冒険」の切り抜き帖の写真が載っていたのです。記事には、切り抜かれた漫画が掲載された日付を書いてありませんが、作者の椛島勝一は、大正12年10月20日付から朝日新聞に移って、正チャンの漫画をかいたとありますので、それ以降の漫画であることは確か。

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上掲は記事の一部分。何が興味深いかというと、執筆者である古書店主・戸川昌士さんの文章に「正チャンの売りは、かわいい顔して残酷なことを平気でするところだ」「子どもは大人以上に残酷が大好きである。朝日新聞社は意図的に、正チャンの残酷シーンを売り物にして、見事子どもの読者を膨らませたのである。」の件。

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これは当館が所蔵する戦前のアニメーションの一つで、『日の丸旗之助 化物屋敷』の一場面。斬られた首がポンポン宙を飛びます。この場面、確かに子どもたちはゲラゲラ声をあげて大笑いして、大ウケです。

最近、「地域の子どもたち対象に、おもちゃ映画の上映会をして欲しい」という要望が相次いでいます。昨日もその相談をしていたのですが、「『残酷で、子どもたちに見せるのは問題がある』という声が保護者から出るかもしれないから、無難なものを集めましょう」ということにしました。戸川さんによれば「新聞にこんな残酷な漫画を載せるとは何事かなどと、当時は誰も文句をいわなかった。むしろ勇敢な正チャンに喝采を送った」そうです。でも、今は時代が違いますものねぇ。

実は一昨年アメリカのジャパン・ソサエティーから「ハロウィーンで上映するアニメーションを送ってほしい」と依頼があり、こうした映像も含めた作品を送ったところ、一度目は不採用。無難な作品集に差し替えて、上映された経験があります。戦争中のものには、小国民育成を目的に作られたアニメーションもたくさんあり、ミュージアムでは「発掘したフィルムは私たちにそのことを教えてくれている。こうした作品が再び作られることがないように国の行く末に目を凝らさないといけない」と話しています。

でも、戸川昌士さんは、子どもが本来持つ「残酷が大好き」に、大人の儲け欲がおんぶして、新聞に連載していた側面を教えてくださいました。文中に「外国と武力を用いての紛争はなかったが、相手が攻めてきたら、軍隊を派遣するのが当たり前の時代だったから、子どもの漫画とはいえ、悪人も善人もあっさり死んで何の不思議もなかったのである」とあります。幸いにして今のところ、日本は平和で、あっさり死んでしまうことはありませんが、それでも子どもたちは、こうした漫画にゲラゲラ笑う。「子どもは天使」の側面もありますが、「残酷が大好き」な側面も併せもつ存在なのです。

さて、地域の子どもたち用に作品を選ぶのは、無難な路線のものばかりの予定。子どもたち、ゲラゲラ笑ってくれると良いのですが。

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これはミュージアム内に掛けている手のひらサイズの薄い本。両方とも大変人気があった作品です。4月に京都国際マンガミュージアムで開催中の「にっぽんアニメーションことはじめ~『動く漫画』のパイオニアたち」展を見に行った折、ここに掲げた『漫画 大冒険 大活劇』と同じものが展示してありました。私はてっきり作者が椛島勝一だとばかり思って骨董市で買ったのですが、展示キャプションに「榎本松之助、1925(大正14)年7月」と書いてあったのでビックリ。明日の宝探しでは、『正チャンとリス君 新版海底征伐』『正チャンの太平洋横断』『正チャンの動物地獄』の3作品も上映します。さぁ、どんな残酷シーンがあるのか、ないのか。いずれにしましても、椛島勝一はアニメーションを作っていませんので、誰かが人気の正チャンキャラクターを借用して作ったもの。作者は誰か?参加者のお知恵を拝借して、何らかの手掛かりが得られたら良いですね。

 

 

 

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