おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2017.07.22column

8月4~6日、岡山で「祝 日本映画120年 目玉の松ちゃんってご存知ですか」

 

IMG_20170721_0002 7月20日の山陽新聞に掲載された記事です。当団体の正会員で尾上松之助遺品保存会代表の松野吉孝さんが、来たる8月4~6日、岡山県立図書館「デジタル情報シアター」で企画展をされることが、大きく掲載されました。

今年は、1897(明治30)年に日本で初めて映画が上映されて120年。それを記念して「岡山市出身で日本最初の映画スター・尾上松之助のことを世代を問わず、広く知ってもらいたい」と企画されました。4日は関係者をお招きしての開会式と上映説明会ですが、5日と6日には、一般の方対象に10時半と14時半の2回にわたって松野さんが説明と上映会をされます。5日は「史劇楠公訣別」(1921<大正10>年12月8日)、6日は「忠臣蔵」(牧野省三監督、1910<明治43>年、明治45年の活弁トーキー版)。1926<大正15>年9月16日に営まれた「尾上松之助葬儀実況」と当館所蔵無声映画の剣劇シーンを集めた「ちゃんばら時代」(活弁・音楽付き)は、4日も含め全5回上映されます。入場無料。「ちゃんばら時代」では、かつての剣劇スター阪東妻三郎、片岡千恵蔵、嵐寛寿郎らも登場します。どうぞお楽しみに。

ところで、今年は国産アニメが誕生して100年の節目でもあります。現存最古のフィルムは、1917年6月にマンガ家の幸内純一が同じく漫画家の前川千帆と合作して公開した「なまくら刀」。年末まで東京国立近代美術館フィルムセンターのウェブサイト「日本アニメーションクラシックス」で見ることができます。このアニメの侍は、何と日活のトップスター尾上松之助を模してライバル社だった小林商会が作ったものだと、7月1日に京都国際マンガミュージアムで開催された「『なまくら刀』公開100周年記念祭」で知ったばかり。講師の渡辺泰先生の解説によれば①♡マークの中に「さぁ何か斬って…」の文字を書いて期待感を持たせたり②按摩さんが下駄で侍に蹴りを入れてやり込めた時に☆のマークを使って、按摩さんはニッコリしたり③早飛脚は侍が抜刀する前に担いだ文箱でお侍をやっつけ、倒れたお侍は「人殺シー」とアニメの中に吹き出しを入れているなど短い作品ですが、当時としてはとても斬新なテクニックを使って、ライバル社の「目玉の松ちゃん」こと尾上松之助をおちょくっていて、お話し的にも面白いです。また、昨年当館で発掘した小津安二郎監督の『突貫小僧』(1929)では、人攫いの親分と突貫小僧の坊やのやり取りで、「坊やは松之助の真似もできるんだよ」というセリフが出て、親分が目を剥き、見栄を切る場面が出てきます。日本映画草創期のアニメーションにも世界の小津映画にも登場するくらい尾上松之助が庶民のヒーローであり、スーパースターだった証でしょう。

尾上松之助のことを次世代に語り継ごうと一生懸命な松野さんの思いを受け止めて、一人でも多くの人が会場で「尾上松之助」のことを見聞していただけたら良いなぁと願っています。

 

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