おもちゃ映画ミュージアム
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2018.12.24column

和やかな雰囲気で、寅さん映画鑑賞と前進座俳優藤川矢之輔さんとの交流会

前進座A - コピー

急遽決まった催しで、年末の慌ただしい中、しかも平日の夕刻からスタートということもあり、いったいどれ位の人に集まってもらえるか随分心配しましたが、兵庫県の西宮市の人から「楽しみにしているから」と声を掛けてもらったこともあり、予定通り12月21日に開催しました。本当は満員の観客の中でお迎えしたかった劇団前進座代表理事で看板俳優の藤川矢之輔さんでしたが、こちらの事情を察して下さり、終始和やかな雰囲気の中で開催することができました。このことを、先ずは心より御礼申し上げます。

スキャン_20181206 (2)劇団前進座は毎年京都の南座で新春公演をされるのですが、南座の耐震工事がいつ終わるのかはっきりしない段階でのスケジュールだったこともあり、2019年1月4~14日まで新春公演は京都駅ビル内の京都劇場で開催されます。その作品の監修と脚本を山田洋次監督が担当された縁から、人気シリーズ「男はつらいよ」の第12作目を上映することになりました。マドンナは岸惠子さん。つい先ごろ亡くなった津川雅彦さんのシュッとした良い男ぶり。主人公の渥美清さんは勿論のこと、あの人も、この人も別世界に旅立たれたなぁと思いながらスクリーンに見入りました。随所に温かい人情が織り込まれていて、笑い声がそこここでこぼれました。近頃はスマホやタブレットで観るのが「映画」となっている感がしないでもありませんが、大きなスクリーンを皆で一緒に見るのは良いものです。

映画の最後部分に、前進座の創立メンバーである河原崎国太郎さんが出演されていることから、シリーズの中からこの作品を選ばれました。マドンナ岸惠子さんが演じる画家の先生役。この国太郎さんのお孫さんが、正月公演の殿様「赤井剛正」役で出演されます。6代目ですが、名前を継ぐのは血縁ではなく、どれだけ力があるかで決まるのだそうです。厳しいですね。

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これは、以前山田監督の作品上映と講演会を聴講した帰りに駅でお見かけしてサインをお願いした折りのもの。私にとっては、宝物の一つです。その寅さんが、「男はつらいよ」50周年プロジェクトの一環として、来年22年ぶりに新作として公開されます。フィルムが大好きな監督さんも、既に鬼籍に入られた渥美清さんが主人公というのは変わらないのでデジタル使用されるとか。「やっぱり、デジタルって便利だよね」とおっしゃるのじゃないかと気にしています。1969年に第1作が公開されて、それから50年後の来年公開作が50作目になるそうです。いやはや凄い長寿シリーズ。


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こちらは藤川矢之輔さんのサイン。お話が大変に面白かったです。

DSC08375 (3)京都劇場で上演される『裏長屋騒動記』は山田監督がずっと温めておられ、前進座と協力して、67年ぶりに舞台として実現するものだそうです。当初は映画のシナリオとして用意され、関西の芸人を使おうと構想されましたが、前進座は東京が拠点ということもあり関西弁から江戸弁に書き直して貰ったそうです。86歳の監督は1カ月間前進座に演出の為に毎日通い、8~9時間の稽古中は休憩もとられなかったそうです。4月からお稽古を始め、5月に初演を迎えられました。

「監督が体の中にある言葉を台詞にされたから、覚えやすく話しやすい」と藤川さん。「緋鯉の半次」役は、本当は海老蔵さんがやるはずでしたが、一足先に藤川さんが演じることに。長屋の人情を表現したお話で、女優さんたちが井戸端で会話する場面がありますが、監督は彼女らに「山中貞雄の『人情紙風船』を見てご覧」と助言されていたとか。山田監督にとって山中貞雄監督は目標だったそうです。

「前進座は見る客と痛みを共有する座として発足して87年。長い歴史ある団体の看板俳優さんに来て貰えたことを光栄に思います。「前進座」の劇団名は村山知義さんが提案して全員が賛同して決まったといいます。満州事変勃発の4か月前、1931年5月22日のことです。1937年6月23日に劇団員のギャラを集めて、吉祥寺に念願の「前進座演劇映画研究所」が完成。稽古場と劇団員ほとんどが暮らす住宅を併せ持つ世界でも珍しい施設でしたが、時局は前年1936年に「二・二六」クーデター事件、1937年に盧溝橋事件、日中戦争が拡大し、ついに第二次世界大戦勃発へと困難な時代を迎えます。

山田監督が観るように進言した山中貞雄監督『人情紙風船』は1937年8月に公開され、その当日に山中監督に赤紙が届き、神戸港から中国に出征。翌年9月17日に河南省で戦病死しました。手記に「紙風船が遺作とはチト、サビシイ」と書き残していることは、良く知られています。京都の大雄寺境内に小津安二郎監督が揮毫した山中貞雄監督の死を悼む大きな碑文があり、その拓本取りをお寺から許可いただいているのですが、作業を依頼した方が多忙らしく、まだ実現していません。来年の9月までにはなんとか実現させて、再び藤川さんのお話を伺いながら、何らかの関連作品上映会ができたら良いなぁと思っています。

DSC08381 (2)熱心なファンの方が駆けつけてくださり、とても和やかな会になりました。「また続編ができることを希望しています」と昨日藤川さんに手紙を差し上げました。願いが叶うと嬉しいです。その時はもっと早めから着手しなければだめだと反省しきりですが。。。ご多忙の中、お集まりいただいた皆さま。本当にありがとうございました。どうぞ、良い年をお迎えくださいませ。

【後日追記】

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1月14日(成人の日)、11時からの前進座初春特別公演『裏長屋騒動記』千秋楽を観て来ました。いろんな地域からの団体客が多く、大きな会場はいっぱいの人、人、人。終わって外に出たら14時をとうに回っていました。そんなに長時間だったなんて、ちっとも感じることがなく、人情味を味わわせつつも、可笑しさに笑いがこぼれ、本当に楽しい時間でした。山田洋次監督らしく、そこここで『男はつらいよ』のノリがあり、一層親しみを感じながらお芝居を満喫。出かけて行って大正解でした。

DSC08434 (2)ロビーで秋に巡演予定の『ちひろ―私、絵と結婚するの―』のチラシを配っておられた前進座女優浜名実貴さんをお見かけして、挨拶できたのも嬉しい出来事。2015年11月3日当館で開催した朗読劇『或る「小倉日記」伝』で登壇いただいて以来のご縁です。またいつかコラボできたら良いなぁと夢見ています。

 

 

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