おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2018.07.16column

盛況だった「第11回祇園天幕映画祭」

連日猛暑が続いています。昨日の京都は38.7度を記録し、今日もこれを書いている段階で38度を超えています。SNSで「40度近くが続く天気予報見て絶望してる。もう四季じゃないよね。五季だよ。春、夏、地獄、秋、冬だよ。今は地獄だと」と呟いた人がいましたが、頷いてしまいます。

うだるような暑さの中、京都市内は日本三大祭りの一つ、祇園祭り一色。前祭のハイライト山鉾巡行は17日ですが、それにさきがけて昨夜から歩行者天国が始まり、浴衣姿に団扇を手にした人々が、明かりが灯り飾り立てた山鉾を見ようと集まって大変な人出でした。今年も無事に開催できた「祇園天幕映画祭」を夕べ観て来ました。京阪「祇園四条」駅から東の八坂神社までの四条通に、歩行者天国になった路上2か所にスクリーンを立てて、無料で野外上映を楽しんで貰うという趣向で、今年で11回目。

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どうやら、開催直前に出来上がったチラシで、当初皆さまにご案内していた当館関連2つのプログラムは、スクリーン②で、場所も祇園花見小路寄りの「松葉屋」前に変更になっていました。 

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オレンジ色のTシャツ姿の学生ボランティアスタッフが、祇園商店街振興組合、月世界旅行社と一緒に手作りして頑張った「祇園天幕映画祭」。初々しい司会者、発音がとてもきれいな通訳者の浴衣姿3人も学生ボランティア。この映画祭を存続するためにクラウドファンディングを10日迄していましたが、目標額には残念ながら達しなかったようです。少しばかり私も協力しましたので、お役に立てるなら嬉しいです。

下掲は、私共が保存を訴えている『京都ニュース』をご紹介するプログラム(20:10~)。

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            1963年「阪急地下鉄四条河原町乗入れ」

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               1963年「祇園祭山鉾巡行

京都市歴史資料館で保管されているフィルムには、一部デジタル化された映像があり、その中から学生さんたちスタッフが選んだ1960年代のニュース16作品を上映。彼ら自身がニュースの背景を調べてわかりやすく説明し、海外から訪れている観光客の皆さまにも理解して貰えるよう通訳をしていたので、とても良かったです。道行く人が足を止めて、興味深そうにご覧になっていました。

画像に含まれている可能性があるもの:1人以上、テキスト

今年の上映内容は次のとおり。

1960年「シーズンを前に−観光京都の表情−」
1960年「都市部に駐車場−四条烏丸・先斗町−」
1963年「阪急地下鉄四条河原町乗入れ」
1963年「祇園祭山鉾巡行」
1963年「第10回京都市民映画祭」
1964年「市電のニューフェイス 朝は連結・昼はワンマン」
1964年「新幹線試運転」
1964年「聖火」
1965年「“都市づくり”すすむ」
1965年「四条大橋高欄新設設計決まる」
1965年「デラックス駐車場完成」
1965年「五条大橋の噴水」
1965年「京都産業会館(市電市バス案内所・市バスセンター・京都中小企業指導所)」
1966年「世界の檜舞台完成(国立京都国際会館)」
1966年「史上最大の山鉾巡行」
1966年「ようこそ皇太子夫妻」

「もの凄く貴重な映像だ」「懐かしい」「面白い」といった感想がいくつも聞かれました。未だデジタル化はもちろん、調査さえされずにいるフィルム原版を後世に残せるよう、皆さまのご理解とご協力をお願いしたいです。

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最終プログラムに出演する活動写真弁士の大森くみこさんと一緒に。野外上映は二人の希望でもありましたので、実現して嬉しいです。昔、神社の境内でそれぞれが敷き物を持って集まり見た映画の記憶を、学校のグラウンドなどを活用して、今の子どもたちにも是非体験させてあげたいです。
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可愛らしい浴衣姿の大森さん。浴衣にカンカン帽似合いますね。そして、いよいよ彼女の出番。DSC05600 - コピー
彼女のプロフィールは、
関西を活動拠点に、無声映画上映会・寄席・国内外の映画祭等に出演。ある日初めて活弁を知り「こんな素晴らしい世界があったのか」と衝撃をうけ、活弁の世界へ。おじさんから可憐な少女まで幅広いキャラクターづくりが持ち味。TV・ラジオパーソナリティー・ナレーターとしても活躍。
台北映画祭、韓国インディアニフェスト2015、京都国際映画祭、精華千日前映画祭、天満天神繁昌亭昼席、松竹角座昼席、金沢21世紀美術館「映画の極意」、あいちトリエンナーレなど出演多数。
 
写真は、女性司会者から「大森さん、親方と呼ばれることもあるそうですね?」との質問を受けて、答えている様子。さて、その答えとは…。
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皆さん、こんなに笑顔‼ 特に一番前の男の子はゲラゲラ良く笑ってくれました。
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こんなにも多くの人が足を止めて、活弁付無声映画上映を楽しんでくださって感激しました。昭和初期日本のサイレントアニメーションの展開や表現の面白さを初めて知った人も多いでしょう。切り紙を用いてコマ撮りと、手間暇かけて作られています。
 
欧米では無声映画は演奏付きで上映が一般的ですが、古くから話芸が発達した日本では、活動写真弁士さんと楽士さん付きで上映していました。今では活弁をする人は絶滅危惧種に近い存在ですが、大森さんは関西を拠点に何とか、その面白さを知って貰いたいと頑張っています。海外の人も含めて、多くの人に「無声映画」「活弁」の面白さを知ってもらえた良い機会になりました。もっと、もっとこうした場が広がっていけば良いなぁと願っています。
 

上映作品は以下の通り

『ブッシュ家のポンコツ自動車』(アメリカ/1924年/3分半/コメディ)
はちゃめちゃブッシュ家、ドライブの行く末は・・!?

『おもちゃ映画de玉手箱』
戦前無声映画時代の家庭用おもちゃ映画。30秒〜3分の短いアニメを何本かまとめてお届け。

『蛸の骨』(日本/1927年/11分/アニメ/作画:村田安司)
蛸に骨がないのは、こんな理由があったとか・・・

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 映画監督の原田徹さん(右)。「活弁がどんなものか、一回見てみようと思って」と来て下さいました。昨年の今頃は闘病中でしたが、今はすっかり元気一杯。いつか活弁士も登場する映画を作って貰いたいです。

 

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