おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2020.09.21column

明後日からの学生映画上映作品のご案内

 

IMG_20200921_0001今朝の京都新聞に明日から上映する大阪芸大映像学科歴代学生映画「THE FIRST PICTURES SHOW1971-2020」の作品案内が載りました。

8ee13d769c43e1cc50a2aa707b75a6c2☆9/23~27日は尾崎学監督『我論』。京都国際学生映画祭2001コンペティション部門入選・奨励作品。

あらすじは「江戸幕府崩壊、明治政府誕生。そして、明治六年。 藩閥政治を倒し、民衆による政治を目指すため結成された多聞党の頭領 吉井流は、多聞党に入隊志願する少年 空木藤次と出会う。しかし、時代は既に多聞党の存在を許してはいなかった。多聞党を執拗に追う邏卒隊、流をつけ狙う剣客。崩壊していく組織の中で、流は力の限り生きようとする」。

当ミュージアム改装でテントを張って寝泊まりしながら手伝ってくれた宇山隆之さんが、現在専門にしている映画美術だけでなく、役者としても出演しています(白い着物姿)。手前の黒い着物姿は柴田剛さん。『堀川中立売 DOMAN SEMAN』『おそいひと LATE BLOOMER』、8月に上映した『NN-891102』の監督です。照明・撮影・編集を担当した匂坂力祥さんは、現在東映京都撮影所の名物助監督として大活躍。

643f478aee76b9a5b8b5caa7412b19c9☆9/30~10/4は岡下慶仁監督『108』。2006年度大阪芸術大学学科賞、第7回ハンブルグ日本映画祭招待作品。

あらすじは「作家志望の大介は少女嗜好の性癖を持つ。ある日、大介は、実際に少女を誘拐しようと試みて、警察に捕まる。刑期を終え出所した大介は、新しい生活を始める決心をするも、刑務所で知り合った友人に誘われ「性的倒錯者が集まるカウンセリング」に誘われる。大介はそこで宮崎という男に出会い、心の拠り所とするが、宮崎は人気アイドルを密かに誘拐、監禁していたのであった・・・。欲望>理性の、人たちの結末はいかに!?」。

岡下監督は様々な映画に助監督として参加した後、現在はテレビマンユニオンで、ドラマやドキュメンタリー番組などを制作して活躍中。

005☆10/7~11は河本浩志監督『兎が眠っているよ』(1979年)。32分。ぴあフィルムフェスティバルアワード1979入選(人気アンケートNo.1)、サンフランシスコ映画祭短編部門参加。

あらすじは「DeJa Vu デジャヴュの世界—1人の青年が女子高生の集団と出会い、些細な事から暴行されてしまう。 気がつくとガールフレンドのユミの運転する自転車の後席だった。道で気を失っていたマサオに「何の夢を見ていたの?」と問いただす。何も見ていないと答えるマサオの言葉をきっかけに痴話喧嘩となる。 その後も、親友のタケシ、そして川本に再三にわたり「夢を見たんだって?」と何度も聞かれる。 ”夢を見ていない”と何度も返事をするマサオ。それはまるでイエス・キリストが「あなたは私を知らないと3度答える」と予言された啓示にも似ている。 大阪から東京へ原付バイクで向かうという安隆にも聞かれる。 そんな彼が「兔と亀の話」をする。 「なぜ亀が兔を起こさなかったのか?」 その言葉がマサオの心に残る。 安隆はその後、思いがけない事が起きたと知らさせる」。

この作品は 、古典落語『天狗裁き』にヒントを得ているそうです。

4fa35abfddf9e0a3af22abeaa1a7dd19☆10/7~11日は風見篤史監督『みそら』(1998年)も上映します。23分。※この日は、短編2作品上映となります。1998年度大阪芸術大学学長賞。

 V95(1995年入学生)は、山下敦弘、柴田剛、呉美保、寺内康太郎監督たちと逸材揃いの年代です。この作品は、今日の日本映画を牽引する彼らの作品を押しのけ、学長賞(大学でのグランプリ)を受賞しました‼

あらすじは「暇をもてあそぶカップル。ふとしたことから車を盗んで走り出す。どこに向かってもどこにも行けない、退屈な夏。学生時代になんとなく過ごした日々の気怠さを余白のある夏の風景の中で描く」。

制作・撮影を担当された岡部聡さんと助監督をされた金山拓也さんが、亡くなった風見篤史監督に代わってコメントを書いておられますので紹介します。

「少々、山あいにあった学校でしたが、ロケ場所に困ることもなく、映画を学ぶにはいい環境でした。

この映画はそんな学校の周辺や遠くは日本海の沿岸で撮影した風景が主役です。

ロケハンをして監督であった彼(風見篤史)が『いい感じ』と思った風景を元にシナリオを構成したのですが、ではどんな風景が『いい感じ』かは彼自身も『いい感じなものはいい感じ』としか説明できず、ロケハンに結構な時間がかかりました。当時の僕には『いい感じ』ってなんだよっ、そんな曖昧なものが誰に伝わるんだろう、という不満がありました。それでも出来上がった映画は物語性もメッセージ性もないけど、確かになんとなく『いい感じ』の映画になりました。彼の『いい感じ』には確信があって、その言葉にできなさが彼の才能であり、この映画の魅力になったのだと思います。

制作から20年以上が経ち、今は亡き彼の『いい感じ』がご覧になる皆様にも伝われば幸いです」。

 

 先週上映の『トラワレサンジロウ』上映初日には、作品に出演された当時役者だった鳥居さんが、「懐かしくて。当時、若い人たちにたくさんエネルギーをいただきました」と駆けつけてくださいました。こうした作品を上映していることを、とても喜んでくださいました。監督の森井淑江さんに知らせると、「確かに当時命がけで卒業制作を作っていたので、あれだけエネルギーを注げるものはもうないだろうとなぁと、私も感慨深いものがあります」という返事がありました。今、森井さんは東京の製作現場で活躍されています。

まだまだ学生映画は上映を続けます。ぜひ若いからこそ自由に撮れた作品を見にいらしてください。午前10時半、お待ちしています‼

 

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