おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2021.03.08column

「映画『ロスト ワールド』上映とトークイベント」は盛会のうちに終了しました‼

1月から開催している「活動写真弁士の世界展-日本映画興行の始まり-」の関連企画として3月6日(土)13時半、「映画『ロスト ワールド』上映とトークショー」を開催しました。1月14日に発令された京都府の緊急事態宣言を見越し、当初1月17日に予定していたのを3月6日に延期して計画していました。幸いにも2月28日に府の緊急事態宣言が解除されましたので、当初の予定通り定員25名で実施することに。なお、同様に2月11日に予定していた喜劇映画研究会代表新野敏也さんをお迎えしての「レーザーポインター映画教室6」は6月6日(日)14時から実施の段取りです。

さて、活動写真弁士についての著者である高槻真樹さんと片岡一郎さんによるトークイベントのタイトルは「活動弁士学 事はじめ」。良いタイトルですね。スクリーンの左に場所替え展示した徳川夢声さん直筆の軸「水戸様に無声扮したる自画像」。得意にされていた自画像だそうです。

館長の挨拶に続き、早速映画『ロスト ワールド』を片岡さんの説明と鳥飼りょうさんのピアノ演奏で上映しました。

なお、登壇者の賛同を得ましたので、当日記録した映像を編集して後日YouTubeで配信する考えです。国内外の日本映画研究者の何らかのお役に立てたらと思っています。そのこともあって、今回は細かい内容振り返りは端折らせて頂きます。

『ロスト・ワールド』(1925年)は、日本で公開された時は『失われた世界』のタイトルでした。高槻さんの肩書きが、SF評論・映画研究者ですから、高槻さんの好みを反映してこの作品を選ばれたのかと思いましたが、この作品を選んだのは片岡さんで「SFの怪獣ものが好きだから」だそうです。余り見る機会がない作品でしたので、お楽しみ頂けたのではないでしょうか。過日この上映会についてFacebookでご案内したところ、以下の思い出を書き込んで下さった方がおられました。

……1970年代、東京で無声映画愛好会といった定例会で見ました。活弁、弦楽四重奏の豪華上映でした。ジャングルのシーンはスタヂオ撮りと思われますが、かなり奥深い密林ムードなのに感服。一転して大都会で恐竜が暴れるラストでは逃げまどう群衆はエキストラがぜいたくな人数、パペット・アニメーション撮りの恐竜との合成迫力にびっくり。とにかくぜいたく、製作費ふんだんにつぎ込んだ大作ですね。今でも瞼に焼きついています。後の「キングコング」に連なる記念碑です。……
 

上映後の休憩時間に展示をご覧頂きました。

せっかく今展示している資料の所蔵者である片岡さんが来ておられるのですから、ご本人からそれぞれについて説明をして頂きました。

それぞれの資料の背景を分かりやすく説明して頂き、皆さん関心を持って耳を傾けておられました。

会場が狭いので、ひょっとしたら気付かれなかったのかもしれず、説明がなかった『不如帰』の大きなポスター。この謳い文句がなかなか。「全女性一人残らず見て泣いて下さい!全国百万女性が泣いて泣いて泣きくづれた悲恋慟哭 涙…涙の名作!この映画は二度と再公開致しません」とあり、弁士は「元松竹キネマ専属 紫しのぶ責任解説」、「日本文化保護委員会」「日本国宝指定委員会」と大層な名称団体が後援しています。「『愛染かつら』『君の名は』以上に」と書いてあり、『君の名は』が公開されたのが1953年ですから、このポスターが作られたのはそれ以降。主演栗島すみ子、岩田祐吉の『不如帰』は1922年ですが、監督が池田義臣なので、ポスターに書かれている「監督・野村芳亭」とは異なり、ちょっと謎。そういえば寄贈頂いたポスターにも???な忠臣蔵があります。片岡さんの資料の表現では「いかがわしさが楽しい」とあります。

連れ合いが申すには「ファンの人が、いろんな作品を集めて自分なりの完全版を作ろうとしたケースもある。例えば1991年広島のコレクターから見つかった伊藤大輔監督『忠次旅日記』には、マキノ正博監督と久保為義監督の『忠次活殺剣』(1936年)を6か所加えていた」と。この作品もそういう類いのものかもしれませんね。

そして、トークイベント。最初に高槻さんから。細かく古い新聞などを探り、そこからわかったことなどを話してくださいました。「凄いなぁ‼」と改めて思ったのは、安井喜雄・神戸映画資料館長の豊かな資料とその保存。今回の発表でも快くお貸しくださった資料がいくつもありました。

たまたま写真を撮った一枚。「無声映画の大作」と「無声ではありません」が同一プログラムで上映されています。『紺屋高尾』(こうやたかお)」は浪曲、古典落語の演目で、大正末期に初代篠田実が出した浪曲レコードが大ヒット。そこから映画の題材にもなりました。花魁の最高位である高尾太夫と一介の紺屋職人との実話をもとにした純愛ドラマ。

片岡さんは「活動写真前夜」ということでお話をスタート。歴史的な流れを分かりやすくお話いただきました。

それぞれの資料から、何が分かるのか、をトーク。会場からの質問にも豊富な知識からお答え頂きました。博識ぶりは、流石の一言です‼

東西の説明スタイルの違いの話から、今年2月9日に82歳でお亡くなりになった関西流芸の重鎮・井上陽一さんの話に。写真の大森くみこさんは、生前の井上さんに直接教わったことがあり、この日二人から「跡を頼んだよ」と言われて責任を一層感じておられる様子。「いまでも先生のことを思うと、うるうるします」と大森さん。

余興に山﨑錦城の説明と片岡オーケストラ団演奏のレコード『修羅八荒』を蓄音機で聴いて頂きました。当館には月形龍之介主演『修羅八荒』の断片映像があります。片岡さんによれば山﨑錦城は重厚な語り口で人気があったそうで、展示品には彼の説明による阪東妻三郎主演『幕末』のレコードジャケットも含まれています。

あっという間に3時間が過ぎ、当館お決まりの集合写真を撮りました。新型コロナウイルスの脅威が未だ収束をみせない状況にあっていろいろ心配しましたが、無事に終えることができて本当に良かったです。ご来場頂いた皆様に心から御礼を申し上げます。

このあと、お二人のサイン会。前もってお預かりしていた『活動写真弁史-映画に魂を吹き込んだ人びと-』を全てお買い上げ頂くことが出来ました。市内大学に通う若者が、お二人の本を買って「帰ったら早速読みます」と目を輝かせて話してくださったことも嬉しい出来事でした。皆様、本当にありがとうございました。

多くの方による書評も参考に置いていますが、さらに高槻さん執筆の書評が『キネマ旬報』3月下旬特別号に掲載されます。「個々の弁士の息遣いすら表現しようとする気迫には圧倒されるばかりだ」と評価。そして、この特別号で発表される「映画本大賞2020」において、第6位に選出されたそうです‼ 片岡さん、おめでとうございます㊗️㊗️㊗️

そして、この日も、素晴らしい演奏を聴かせてくださった鳥飼りょうさん。彼が一生懸命取り組んでいる「無声映画振興会|もぜひご覧下さい。

右から高槻真樹さん、大森くみこさん、片岡一郎さん、鳥飼りょうさん、天宮 遙さん。皆様のおかげで充実した催しになりました。心から御礼を申し上げます!!!!!

 

 

 

 

 

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