2025.10.14column
日本独自の映画文化“活弁”を世界の人々に伝えたい
日ごろから温かいご支援をいただいているNHKワールド「J-FLICK」のご担当者様から10月26日放送予定番組のお知らせが届きました。
番組は6つのコーナーから構成されていて、その一つ目が8月6日からスイス南部のロカルノで開催された第78回ロカルノ国際映画祭特集。

写真は@cinefil編集部 7月9日付けロカルノ国際映画祭、インターナショナル・コンペティション部門発表の報道から拝借した一枚ですが、凄い熱気ですね。
私どもは10月4日~11日までイタリアのポルデノーネで開催されていた世界最大規模の無声映画祭に参加しましたが、会場のヴェルディ劇場には、連日朝の9時にスタートし、夜9時に開始されるプログラムまで、盛沢山な作品の数々をみようと世界中の映画研究者、無声映画愛好家、映画アーキビスト等が詰めかけ、3階までの席は満席でした。10回で突如終了したと告げられた京都国際映画祭で毎回集客に腐心した経験を持つ身からすれば、本当に羨ましいばかりの光景でした。日本とは際立つ映画文化に対する価値観の圧倒的な差を肌身で実感してきました。
ともあれ、このロカルノ国際映画祭で栄えある金豹賞に輝いたのが三宅唱監督の『旅と日々』です。誠におめでとうございます㊗㊗ 今頃書くのも気が引けますが『ケイコ目を澄ませて』の監督さんなのですね。『旅と日々』は11月7日から全国公開されるそうで、拝見するのが今から楽しみです。「J-FLICK」では、三宅監督の作品を紹介すると同時に、5つ目のコーナーとして小津安二郎監督の名作『宗方姉妹』(1950年)を紹介し、6番目のコーナーとして英語活弁が紹介されます。ご覧いただくのは、私どもが所蔵する戦前のアニメーション3作品の他、『血煙髙田馬場』です。
放送予定は、10月26日(日)10:10~/16:10~/22:10~/(翌朝4:10~)の4回。URLは、https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/shows/2036089/です。
今年4月京都市上京区の西陣で再出発した私どもの拠点に、「J-FLICK」ナレーター担当ガイ・ペリマンさんが来館。私どもが所蔵しているおもちゃ映画の中から戦前の古いアニメーション『文福茶釜』『火星飛行』『ドングリドン助旅日記』を選び、ガイさんが英語で活弁を付ける様子を撮影し、5月18日10:10~/16:10~/22:10~/(翌朝4:10~)の4回にわたって世界160の国・地域、約4億6千万世帯を対象に放送されました。NHK国際編成によれば、この折の放送が大変好評だったらしく、再放送が決まったのだそうです。 “KATSUBEN”が面白いと思ってくださった反応は大変嬉しいです。
この“KATSUBEN”も含め、ベルリン国際映画祭特集を組んだ5月18日放送回の再放送は、10月25日(土)10:10~/16:10~/22:10~/(翌朝4:10~)の4回。URLは、https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/shows/2036087/です。
世界中の人にご覧いただきたく、時差を考慮しての放送時間です。ご都合が良いタイミングでご覧頂ければ嬉しいです。海外のお知り合いにもぜひご紹介ください‼
放送後は10月25日分も26日分も、見逃し配信が10月27日より3か月あります。
なお、7月22日BS国際報道2025、8月27日NHK総合「午後LIVEニュースーン」、9月4日NHKワールドJAPANと3回もご紹介頂く幸運に恵まれた「紙フィルム特集」ですが、こちらの見逃し配信は今現在もご覧になることができます。丁度ポルデノーネで大勢の人に紙フィルムへの関心を寄せていただいたばかりでもあり、まだ番組を世界中でご覧いただける状況にあることは誠に幸いです。ぜひクリックしてご覧ください。URLは、Paper film: The curious origins of color Anime | NHK WORLD-JAPAN News
ガイ・ペリマンさんは11月20日(木)に母国イギリスで英語活弁の公演をされるそうで、丁度ロンドンのリージェントストリートシネマの公式サイトで告知が始まりました。https://www.regentstreetcinema.com/movie/katsuben-reimagined-live-benshi-performance
取材を通して、日本独自の映画文化“活弁”の魅力にハマったガイ・ペリマンさんのパフォーマンスによって、イギリスでも“KATSUBEN”の面白さが知られ、裾野が広がっていけば良いですね‼


