おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2025.10.14column

海外からのお客様との思い出

デスクトップに思い出写真が何枚もあり、忘れてしまわないうちに振り返りながら綴ります。

9月8日に再来館してくださったオーストラリアのバンバリー出身ペイジさん。前回は、2024年2月12日にお友達と3人で来てくださいました。お話を聞いていて以前ブログで紹介していたことを思い出し、二人でその折のことを懐かしく振り返りました。サインを書いたことも覚えていて下さり、懐かしそうにご覧になっています。新旧の私どもの活動拠点をご覧いただいたことがとても嬉しい。

同じ9月8日、ニューヨークからCHEUNG CHUN HEIさんが大阪・関西万博を見学した足を延ばして再訪してくださいました。私を喜ばせようとクラウドファンディングの返礼品のTシャツをお召です。サイレント映画演奏者松村牧亜さんのファンですが、2024年11月3日におばさんたちと一緒に初めて来てくださったとき以来、私たちの応援団でもいてくださいます。その時のことは、こちらで書いています。クラファンで私どもはキャンプファイヤーを使いましたが、海外の方が支援をしようと思ってくださっても、国内で伝手がない場合はハードルが高く難しかったのですが、CHUNさんの場合は日本の知り合いの方に依頼されたのだそうで、このようにリターン品をさらりと身にまとってニューヨークでの上映会だけでなく、わたしどものミュージアムにも姿を見せて嬉しがらせてくださいました。

9月12日にはイングランドのマンチェスターから女性映画の研究者が来館され、丁度折も良いと14日に活弁上映する『ちゃんばら時代の女たち』とアメリカ議会図書館からお借りした『恋人強奪』を案内しました。「あいち国際女性映画祭」にあわせて来日された模様で、当然ながら参加は難しかったようで。でも「知り合いに紹介しておく」と仰ってくださったのは嬉しかったです。

それに呼応するかのように13日パトラシュク・パウロさんの案内で来館いただいたのは、イギリスのロンドンで出版関係の仕事を手広くなさっているKAJA MURAWSKAさん。パトラシュクさんとは昨年7月、フランスの古写真研究者クロード・エステーブ先生と一緒に来館いただいて以来のことで、私の記憶にしっかりあったのが幸いして、会話も弾みました。お二人は、14日の活弁上映にも参加していただいただけでなく、15日にもお越しいただき、連れ合いの希望で、『おもちゃ映画で見た日中戦争』を見ていただきました。長い作品で恐縮したのですが、お二人は興味深くご覧いただいたようです。

20日はアメリカのアトランタから法律家のANDREW DANGENさんが来館。アトランタと聞いて、直ぐに連想したのが「アトランタ五輪」の時に紹介されたキング牧師の言葉「Ⅰ HAVE A DREAM」だと言いましたら、頷きながら「家からオリンピック会場まではすぐ近くだった」とのこと。あの頃、私はこの言葉に強く感銘を受けていたのでした。アンドリューさんによれば、アトランタには屈指の観光スポット「ワールド・オブ・コカ・コーラ」があるそうで、実はコカ・コーラ発祥の地はアトランタなのでした。

あんまり背が高いので、バランスが取れるように台に乗ったら、この笑顔。良い出会いでした。

22日に来館されたAnn McClananさん。私どものドキュメンタリー映画をつくってくださっているアンナ・ウェルトナーさんのお友達だそうです。アメリカのポートランドにお住まいだと知り、手元にあった昔の絵葉書をお見せしました。日本の明治時代を描いたはがきを、ポートランドの人に郵送したものが、巡り巡って私のところにあるのです。宛先の住所は今では表記が変わっているそうですが、Annさんの家の近所だそうです。何ていう偶然かしら!と驚いて、「機会があれば現在の様子を写真に撮って送ってください」とお願いしました。

10月10日アメリカイリノイ州PEORIAから来館のSkyler Anderson と奥様のLisaさんの素敵なカップル。共に写真家さんで、ご主人は木工などを生徒に教える仕事もされていて、耳たぶにつけている大きなイヤリングも自作。当館の木で作った棚などのちょっとした工作物は連れ合いがつくったと紹介して話が弾みました。写真繋がりで、最近所蔵するようになったばかりのオートクローム方式カラー写真をご覧にいれました。これまで幾人もの人たちに122年前に考案された最初期のカラー写真について話すのですが、「知っている」と身を乗り出す人はおられませんね。同じリュミエール兄弟が考案したシネマトグラフが広く知られているのとは対照的。考案した弟のルイは、11年の歳月を費やして発明したオートクロームを「生涯で一番の発明品である」と語っているそうですから、もう少し、彼の努力の成果が知られていても良さそうなものなのに…。

ロスからお越しのJamie さんとIsabelさんはお二人連れなのに、お一人しか写ってない💦でも、笑顔が素敵。こういう小さな私設博物館にも関わらず、遠方から訪ねてくださることがありがたいです。

11日にイタリアのポルデノーネの隣のUdineからお越しのValentina CordelliさんとMassimo Sgobinoさんご夫妻。

ウディネを検索しましたら、イタリア北東部のフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州にある都市で、とても美しい街です。次回イタリアを再訪する機会が持てたなら、絶対に歩きたい街。この歴史と文化が薫るウディネの街で映画祭のプロジェクトを運営されているのだそう。ウディネでは毎年春にヨーロッパ最大のアジア映画祭「Far East Film Festlival」が開催されていますね。私はこの日不在で直接お話をすることができず残念でしたが、対応した連れ合いの話から、コレクションの今後を考える時、これまで国内より海外の方が大切にしてくださるのではないかと考えてきましたが、あながち外れではないなぁと思いました。

少しでも貴重な映像を、映画文化を次世代に残そうと年金生活を切り詰めて活動をしてきましたが、日本では趣味が高じての道楽の一つ程度にしか見て貰えていないと感じています。一方、海外から訪ねて来て下さる人、ポルデノーネ無声映画祭で出会った人々は、異口同音に「立派な仕事をしている。ありがとうございます」と感謝とねぎらいの言葉をかけてくださいます。映画が日常の中で確たる位置を占める文化であることの違いなのだろうと思います。今は「儲かるか、儲からないか」が物差しになっていて、アニメやマンガ、ゲームは経済効果が高いと注目されていますが、日本に於いて映画はそんなに取るに足らないものなのでしょうか?

熱気に包まれたポルデノーネ無声映画祭のヴェルディ劇場、今日ブログを書いていてチェックしたロカルノ国際映画祭の大きな広場を埋め尽くす観客、ボローニャ復元映画祭やウディネの「Far East Film Festlival」の熱気、もちろんカンヌやベルリン、ヴェネツィアなど世界有数の映画祭など成熟した映画文化を謳歌し楽しむ人々の姿に羨ましさを感じずにはおれません。

13日アメリカのデンバーからお越しのRoss さんとInaさんのカップルも、私どもの活動に関心を寄せて下さり、素晴らしいと称えてくださいました。二人でできることは高が知れていますが、西川きよしさんの言葉のように「小さなことからコツコツと」やっていくしかありません。

イタリアの映画監督ロベルトさんとは今回再会できませんでしたが、メールでチネテカ・ディ・ボローニャのエレナ・タマッカーロさんやポルデノーネ無声映画祭ディレクターのジェイ・ワイスバーグ氏らとの繋がりを持てたことを心から喜んでくださり、「わたしたちの文化には、探求する価値のある繋がりがあると信じています。実際、来年の春に日本を再訪しプロジェクトを展開したいと考えています」と書いてくださいました。どのようなお手伝いができるのかわかりませんが、映画を大切に思う心と心で共に前に進んでいけたらと願います。

 

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