おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2025.10.01column

映画アーカイブと修復に尽力する人々との新たな交流(2)とオートクローム投影機?

9月26日にオランダからお越しのBin Liさん。映画の復元と修復をしているHAGHEFILMで活躍されています。23日に来館いただいたエレナ・タマッカーロさんのことをよくご存じでした。彼は、「フィルム・アーカイブに携わっている人で、おもちゃ映画ミュージアムのことを知らない人はいないだろう」と言ってくださいました💖

「こんな小さなミュージアムなのに!」と驚きましたが、彼が仰った言葉を聞いたのは、これが初めてではなく、世界中から来られた幾人もの人から聞きました。海外のフィルムアーカイブは大きな施設で専門の方が大勢仕事をされているでしょうが、年寄り二人でボチボチやっている様子を実際にご覧になって、「なぁんだ」と思われた方も多くおられるでしょう。年金暮らしの私どもが、「貴重な映像を救いたい。次世代に残したい」という思いだけで映画の保存活動をしていくのは、これが限界だと、ありのままを見てもらっています。

最初の写真、ダゲレオタイプやアンブロタイプ、ティンタイプ、オパロタイプ、横浜写真などを見入っておられるのを拝見して、幻燈機の棚に置いている展示品に視線を移し、

初めて、これを使ってみようという気になりました。

24日に41枚もの「オートクローム方式のカラー写真」を寄贈いただき、それがどういうモノかを知って以来、連れ合いは棚に置いていたこの道具のことが気になっていたようです。寄贈いただいた「オートクローム」については、こちらで書きましたので、お読みいただければ嬉しいです。

随分昔に海外のオークションで購入しましたが、イギリスのグラスゴーでつくられたもの。AIのジェミニ―ちゃんに尋ねたら、サクサクと以下の通り教えてくれました。

…………

ご提示の「ガードナー&カンパニー」(Gardner & Company / Gardner & Co.)は、1910年頃にグラスゴーで活動していた光学機器・写真用品の専門業者である可能性が極めて高いです。

この会社は、当時の写真投影機であるランタン・スライド(幻灯機用のスライド)の販売を主な事業の一つとしていました。


この時期に写真投影機を扱っていたのは、以下の会社と考えられます。

📌 会社の概要

  • 正式名称(推定): Gardner & Co.(または Gardner and Company)
  • 主な事業内容:
    • 光学機器の製造・販売
    • 眼鏡士(Optician)としての業務
    • 写真用品の販売(ランタン・スライドを含む)
    • 数学・哲学的機器、望遠鏡、顕微鏡などの科学機器も扱っていました。
  • 活動時期: 1891に設立され、1920年頃に事業を終えたとされています。

📅 1910年頃の活動状況

お客様の投影機が製造された1910年頃、同社はグラスゴーの中心部で活動していました。

年代

所在地(グラスゴー)

1899年〜1912年

36 West Nile Street

1910年〜1920年

40 West Nile Street

…………

プレートに書いてあるのと同じ所在地だったので、びっくりしました。流石ジェミニちゃんです。リュミエールのオートクロームは1907年に市販されるようになりましたから、この道具を使って見ていても不思議ではありませんね。

早速、寄贈いただいたうちの一番小さい手札判をセットして写してみようということに。

何が撮影されているのかわからないので、Binさんがスマホをさっと取り出して、下から照らしたのが、これ。

手札判の大きさがお分かりになるかと。1908年から日本でも販売され、撮影者の長野仙之助さんは新しいものが大好きだったようですから、その頃、京都で撮影されたものでしょう。これから写っているものを調べながら、撮影年が特定できたら良いのですが、仮に1908年だとすれば、117年も前のカラー写真ですね。

部屋の照明を落とし、実際に投影したのがこれですが、小さくて。それよりも照明の熱処理の工夫が必要かと。来年これらを展示するとして、電球をどうするかが問題です。

このカメラは、オーストリア出身で湿板写真のアルマ・シャンツァーさんにお貸ししているので、他に持っている似たようなカメラを展示することにしましょう。オートクロームカラー写真について何かご存じのことがございましたら、ぜひお教えください。実に興味深い世界です。

24日にオートクロームと一緒に寄贈いただいた41巻の9.5㎜フィルムをデジタル化するために、巻直しをしてカールの癖を直しています。また、セメントが硬化して、機械を動かすたびに離れてしまうので、全てのスプライス箇所をテープで補強する作業も欠かせません。1巻で100カ所は編集されているので、気が遠くなる作業です。1ロールごとに保護リーダーを付けてゆくので、このフィルム・リーダーも残り少なくなっていたので困り、Binさんに尋ねましたら、直ぐに販売サイトを教えてくださいました。アーカイブで用いておられるメーカーのようです。

同じ方向を向いて仕事をしている方と知り合えて本当に心丈夫です。日本旅行を終えたら直接イタリアのポルデノーネ無声映画祭に行くのだそうです。これまで12年間、毎年この映画祭で上映される作品を朝から夜までご覧になっているそう。同じように同映画祭常連の早稲田大学教授の小松 弘先生のこともご存じでした。「美味しいレストランを知っているから案内します」と言って下さり、彼の地での再会を約束しました。ますます楽しみなポルデノーネ行きです💗

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