おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2017.11.17column

アニメーション作家、秋山好正さん

昨日、来館を心待ちしていたアニメーション作家の秋山好正さん(現在国際アニメーション協会ジャパン会員)が来てくださいました。今日まで展示している「驚き盤」コレクションの最大の功労者は、秋山さんなのです。だから秋山さんには、絶対に観てもらいたいと思っていました。

これらの驚き盤は、1985年、国際アニメ―ションフェスティバル広島大会(第8回から広島国際アニメーションフェスティバルに改称)で、関連行事としてアニメ作りのワークショップをされておられた若き日の秋山さんが、会場を訪れた作家や報道関係者、学生さんたちに呼びかけて、描いてもらったもの。驚き盤の台紙は全て手作りで、大きな厚紙の裏に秋山さんが墨で黒く塗り、現在イラストレーターとして活躍されている工藤稜さんが穴をあける手伝いをされました。下掲写真は当時の秋山さん(小谷佳津志さん提供)。

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たまたま、昨日は私の友人たちが見学に来てくれて、早速彼女たちにゾートロープの実演をしてくださいました。

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彼のリュックには、どこかで出会った人々に、その場で描いてもらったゾートロープが何十枚も入っていて、それを取り出してアニメ―ションの原理と面白さを、実に楽しそうに説明しておられました。あいにく、この日はリュックの中に新しい台紙が切れていたようで、「描いて、作ってみよう」はありませんでしたが…。

「ワークショップを計画しても、人がなかなか集まらない」とこぼす私に、「僕は、例えば図書館の部屋の前にソファーがあるとすれば、そこで、このようにやって見せる。すると、子どもが『おじちゃん、何やってんの?』と近付いてくる。そうして目の前でやって見せると面白がる。そしたら、また他の子どもたちもやって来て、『ぼくもやりたい!』となる。僕は本当に、アニメーションを好きな子どもたちを育てたい」と目を輝かせて話してくださいました。

彼女たちに戦前のアニメーションをご覧いただいていると、村田安司さん(1896-1966)の『蛸の骨』が映し出されました。すると、「僕が本格的に作品を作りたいと思ったのは、この『蛸の骨』を見てから。和ばさみで、紙を切りながら、あのような凄いアニメーションが作れることに感動し、僕もこんな作品を作りたいと強烈に思った」と昔を思い出しながら、熱く話してくださいました。

小谷さんが10月17日のFacebookで「『アニメの寅さん』こと、秋山好正氏ですが、ミュージアムの太田さんが「本来の持ち主らしい」と連絡を懸命に取ろうとしておられるのですが、電話に出ない。私がかけても出ない。『寅さん』なので、『ちょっと、行ってくらぁ』と、どこかに行っておられるのではないかと思われます」と書かれたのですが、持ち慣れない携帯電話がどこかに隠れんぼしていただけのようでした。祝!無事携帯電話発見。でもお話を聞いていると、ふらりとどこへでも出掛けられて、アニメ玩具の即席ワークショップを展開しておられる様子は、「アニメの寅さん」がぴったりだと私も内心思うのです。

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「皆さんが、どこに行かれたのか心配しておられるかもしれませんから、お元気だということをお知らせしましょう」と提案して写真を撮ることに。「黒澤明監督のように」と注文されましたが、やはり渥美清さんの雰囲気に、どことなく似ていますよね。

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そして、この日は、もう一冊のファイルに収められた「驚き盤」76枚も預かりました。写真右はウィル・ヴィントン氏。世界的に有名なクレイメ―ション(粘土アニメーション)のパイオニア。「クレイメ―ション」という単語は商標登録されているそうです。カルフォルニア・レーズンのCM、マイケルジャクソンの『ムーンウォーカー』などでも知られている作家さんです。左は、玖保キリコさん。『いまどきのこども』などで知られている漫画家さんです。

ここでは、たまたま開いたファイルに保存されていた二作品を紹介しましたが、他にも著名な方の作品がたくさん含まれています。第2弾として準備が整いましたら、いずれご覧いただく機会を設けますので、楽しみにお待ちください。これらは広島、ザグレブ、アヌシーなどで描いてもらった驚き盤だそうです。たくさんの驚き盤が集まってきましたので、「いつかピアノの生演奏付きで上映会をしたら楽しいだろうな」と思っています。

そして、これらの「驚き盤」コレクション功労者である秋山さんと「来年は一緒に何か面白いことができたら良いですね」等と話しながら、すっかり陽が落ちた中を帰っていかれる後ろ姿を見送りました。

 

 

 

 

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