おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2018.03.19column

残すとこ5日に、「生誕110年記念 市川右太衛門展」

市川右太衛門A - コピー1月24日から始まった「市川右太衛門展」も、残り1週間を切りました。会期中は、京都新聞、朝日新聞、合同通信、京都民報にも記事掲載していただくことができ、広範囲から足を運んでくださいました。夢中になって見ていた若い頃を懐かしむ人々が圧倒的に多かったのですが、中には昨日の20代の若者のように「時代劇が好きで見に来た」人もおられます。所蔵者の八木明夫さん自身何度も来館いただき、そうした気の合う者同士の会話を楽しんでおられる様子を見ると、ホッとします。

来館者から「市川右太衛門に特化した展覧会は初めてではないか」と言われて、「へぇ~」と思っていましたが、16日に東京から電話を下さった方によると「浅草公会堂で昔、右太衛門さんの展覧会をやったとき、右太衛門さんご夫妻でお見えになり、一緒に写真を撮った」そうですから、残念ながら、本邦初ではなかったようです。市川右太衛門さんが亡くなったのは1999年9月ですから、少なくともそれから20年近く経っていますので、随分と久しぶりなのは事実。

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家族写真に写っている男の子が、次男の北大路欣也さん。ソフトバンクCMで犬(お父さん)の声をされている方です。

昨日の若者は、実は滋賀県で埋蔵文化財を扱っているそうですが、考古学を始めたきっかけが、時代劇だったそうです。時代劇スターはたくさんおられますが、特に大川橋蔵さんが大好きなんだとか。余りに熱心なので、「あれもあるよ、これもあるよ」と余計なお節介までしてしまいました。若い人が、時代劇に興味を持ってくださることが嬉しくてたらないのです。

それで、最後に感想を聞きましたら、「近代以降の写真とかポスターとか、そういった資料は文化財としての価値がなかなか認められていないので、もっとその価値を認識して欲しいと思います。貴重なものを見せていただいて、良かったです」と返って来ました。日本の映画は、そのスタート段階から、どうしても芸能、娯楽の範疇で語られることが多く、なかなか文化や総合芸術として認められることができないまま今日に至っているように思います。文化として認められていないから、なおさら、映像だけでなく、周辺の資料も保存して残す価値があると考えて貰いにくいのかもしれません。

彼から「他の時代劇スターの展覧会もして欲しい」と要望がありましたので、林長二郎(長谷川一夫)コレクター、阪東妻三郎コレクター、嵐寛寿郎コレクターなどのお顔を思い浮かべてしまいました。実現の可能性はあります。が、それよりニューヨークのMoMAで、「六剣聖」と呼ばれる彼らのポスター展をされたらもっと面白いのではないかしら。発想のきっかけは4月6日からニューヨークで始まるカメラマン宮川一夫特集ですが、「チャンバラ」は今や世界で知られていますから、きっと興味を持って迎えられると思うのです。

ところで、市川右太衛門コレクターの八木さんと、このチラシ上部に掲載している絵画の作者、高木紀彦さんのお二人が、3月21日(春分の日)に来館される予定です。当初は「高齢だから京都までは来れない」ということでしたが、来ようと思ってくださっていることが嬉しいです。高木さんは、岐阜県内で映画館の看板を描いておられた人ですから、こうしたことに関心がある方は、ぜひこの機会にどうぞ。京都の河原町や新京極にあった映画館の看板を描いていたタケマツ画房の本を購入された東京の女性から、「ぜひ当日、高木さんに聞いてみて欲しい」といくつか質問事項を依頼されています。本当は直接お会いして、お聞きになるのが一番なのですが、そうとばかりも言ってられませんから、皆さまにおかれましても、お聞きになりたいことがお有りでしたら、メール、ファクスでもお送りください。

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上段にずらりと並ぶ高木紀彦さんが描かれた絵は、それぞれ映画作品に忠実に描かれています。出演された映画で着られた着物は、溝口健二監督と組んでいた画家の甲斐荘楠音さんが、溝口監督死後に市川右太衛門さんに招かれて、デザインしたとても豪華な召し物です。今も東映の衣装部にあるのかしら?

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