おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2019.03.21column

イギリスの大学からのお客さま

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昨日ご来館いただいたロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)のIsolde Standish 教授。アジア、アフリカ、中近東の研究を専門とするヨーロッパでも有数の大学で、スタンディッシュ教授は60年代の日本映画をご研究。8月末まで東京外国語大学におられるそうです。最近では、海外からのお客さまに、お住いの地域やご出身地を世界地図にマークしてもらうことにしていますので、早速、スタンディッシュ教授にもお願いしました。エジンバラの少し南のNew Castle。以前、連れ合いがウィリアム・モリスをテーマにした撮影でイギリス各地へ行ったことがあり、その成果のDVD『Facets  of Britain』を見ながらお話もしました。New Castleも、とても綺麗なところです。

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おもちゃ映写機の体験や、戦前のアニメーション、保存した記録映像などをご覧いただき、興味を持ってくださいました。日本語がとてもお上手なので、いろいろおしゃべりできました。ご覧になっているのは、かつて映画館で上映された後、切り売りされていたチャンバラ映画。短いのでタスキ状に繋ぎ、エンドレスで楽しめるようになっています。

「ここに来るのを、とても楽しみにしていました」と仰ってくださいましたので、「どうして、ここを知られましたか?」と尋ねたところ、「ジェニファー・コーツさんから『ぜひおもちゃ映画ミュージアムへ行ってください!』と勧められたから。彼女は以前、ここに来たことがあります」との答え。急いでアドレス帳を見ましたら、昨年12月12日に森末典子さんのご案内でお越しになったうちのお一人でした。

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なかなか紹介できずにいましたが、これがその時の写真。左がサラ・バロー教授で、セインズベリー日本藝術研究所、イースト・アングリア大学(UEA)の副学長をされています。専門がフィルム・メディアということで、森末典子さんがお繋ぎくださったのでしょうか。

右端がその森末さんで、現在イェール大学映画学・東アジア言語文学科博士課程に在籍されています。彼女には2016年6月26日に「若手映画研究者の発表」ということで、パテ・ベビーについて発表していただき、後に小冊子『パテ・ベビーの時代』で飯田定信さんと共同執筆もしていただきました。この日もこうして日本文化を研究されている素晴らしい先生方をお繋ぎくださって、本当にお世話になりっぱなし。感謝の言葉しか浮かびません。

その左隣が、UEA大学上級講師のEylem Atakavさん。トルコ人の先生で、研究テーマは「映画におけるイスラム教徒と女性のイメージ」だそうです。ご自分で映画も撮影され、『Growing Up Married』という映画は、トルコ人の子供嫁の問題をテーマにした作品。古民家を再利用した当館に関心を示して下さった印象があります。

そして、右から3人目が、スタンディッシュ教授に当館見学を勧めて下さったジェニファー・コーツさん。彼女は同研究所の上級講師をされていて、京都大学に留学経験がおありだったこともあり、日本語がとても上手。SOAS大学時代の指導教官がスタンディッシュ教授だったのだそうです。イギリス版師弟愛ですね。当館のことを「本当に珍しいミュージアムで、イギリスでは見かけないと思っています」とメールで書いてくださいました。

当日いただいたセインズベリー日本藝術研究所リーフレットの1ページを掲載します。IMG_20190321_0003 (2)

セインズベリー日本藝術研究所を設立された「サー・ロバート及びリサ・セインズベリーご夫人ご夫妻」を検索しましたら、大変有名な財政支援者であり、芸術の守護神だったご夫妻でした。ロバート・セインズリー卿は1906年―2000年、奥さまのリサさんは1912年―2014年と、お二人とも鬼籍に入っておられますが、60年以上にわたるコレクションの数々は1978年にイースト・アングリア大学に設立されたセインズベリー視覚芸術センター(SCVA)に寄贈されています。セインズベリー日本藝術研究所(SISJAC)は1999年に設立されました。

「なぜ、日本藝術なのか」と思いましたら、こちらに書いてありました。研究所についてはこちらもどうぞ。1997年セインズベリー視覚芸術センターで開催された「日本美術の名作」に関する国際会議に出席し、その後の多くの学者との討議で、イギリスと北米における日本美術の研究のギャップに気付き、日本の芸術文化研究のための高度な研究所を設ける必要性を確信されたのだそうです。その設立のために、最初期に共同購入したコレクションを売却してまで。リサ夫人の日本芸術への献身は1960年代初頭に始まり、ご主人亡きあとも、日本の芸術コレクションは追加され続け、今や大きなテーマの一つになっているそうです。「井の中の蛙」で無知の私は、イギリスに日本の文化芸術を心から愛し、理解し、保存することに尽力された貴いご夫妻がおられたことを、今頃になって初めて知りました。不勉強を恥じています。

上掲リーフレット下から3行目にありますように、セインズベリー日本藝術研究所は国際的研究ネットワークの構築にも力を注いでおられます。研究パートナーとしてUEA大学、大英博物館、SOAS大学などの研究協力機関との密接な連携をもとに活動を展開中。「今後もっと他の大学などとも共同研究を進めたい」とお考えなので、極小の研究所ではありますが、当館も何か協力できることがあればお役に立ちたいです。

改めて、皆さま、ようこそおいでくださいました。ご縁をいただき心より感謝しています‼

 

 

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