おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2019.06.06column

資料展「京都映画産業の礎を築いた二人の偉人、稲畑勝太郎と横田永之助」6月30日迄開催中

稲畑+横田1030 - コピー

昨日から資料展「京都映画産業を築いた二人の偉人、稲畑勝太郎と横田永之助」をしています。2日迄「覗いて、写して、楽しむモノたち展」をしていて、4日午後に今回の展示品を受け取り、アタフタしながらどうにか展示に間に合わせました。昨日は新聞記者さんが二人取材に来て下さったので、上手くいけば広くご案内いただける、かもです。今回の資料の多くは横田家からお借りしました。先日ある方から「長谷さんの発掘は、稲畑の書簡も驚きましたし、横田家の資料もこれまでたくさんの研究者が調査はしてきましたが、このように広く一般に公開される日が来ようとは! それをすぐに、こうして発信されるおもちゃ映画ミュージアムさんの機敏さも凄いですね!」と嬉しいメールをいただきました。

昨日も長谷さんと話していたのですが、彼自身は「新発見資料が続いたのは、偶然だ」と言います。でも、映像ディレクターという経験からくる押しの強さ、横田永之助の評価見直しへの強い思いが、横田家の皆様に響き、稲畑についても、資料が京都国立近代美術館に寄託されている事実をキャッチし、そこから大変貴重な資料類を見付け出すことができました。私的には、誠実さが滲み出ている彼のルックスも関係者の心を開かせる大きな要因ではないかと思います。彼の一生懸命さが伝わったのでしょう。昨年11月に記者発表された「新発見資料」だけでなく、今回の展示に際しても5月25日に横田家から新たに貴重な資料が見つかり、それらも併せて今回の展覧会でご覧いただけます。

DSC00131 (2)長谷さんは「こうして、稲畑勝太郎、横田万寿之助(永之助の兄)、横田永之助の3人が並ぶ様子を見て感慨無量です」とおっしゃいました。横田家からお借りした幟(のぼり)の下に額装したフランス留学中の若々しい稲畑、一緒に留学生に選ばれた横田万寿之助(永之助の兄)、おそらくアメリカ留学前に撮影したのではないかと思われる横田永之助の鶏卵紙古写真(名刺版)を展示しています。今回の資料分析から、稲畑と横田の繋がりがわかり、それを繋いだ兄、横田万寿之助の存在があります。横田兄弟は、1903(明治36)年に横田兄弟商会を設立し、初期の映画興行にも携わりました。

DSC00135 (3)

今年1月に長谷さんが、新発見資料として記者発表された稲畑直筆の「リュミエール兄弟に宛てた書簡4通」は、別の壁面に翻訳文付きでコピーを額装して掲示しています。

左端に掲げたのは、1895年12月28日にフランスのリュミエール兄弟が作品の一つ『水をかけられた撒水夫』を公開した様子を描いた当時のポスターの復刻版。当館開館以来、あっちへ動かし、こっちへ動かしと位置が定まらなかったのですが、漸く日の目を見るチャンスが巡って来ました。ポスターに描かれたその作品のあらすじは、ホースで庭に水を撒く男を見かけた少年が、ホースを踏みつけて水を止めてしまいます。不思議に思った男がホースをのぞき込むと少年はパッと足をどけ、水を撒いていた男は水浸しになってしまうというもの。

 

あれやこれやと 飾り付けをしている間に、会員さんから1通のメールが届きました。用件の文章に続けて興味深いことが綴られていました。

「稲畑氏とは私の母方祖父が面識があり、今の京都日仏学館を建てる折りに資金集めに協力したようです。友人に日仏学館を設計した木子七郎という大阪の建築家がいて、その方の紹介で知り合ったと思われます。篤志家も多い良き時代であったのでしょう」と綴られていて、1936(昭和11)年12月10日付けの新聞記事が添付されていました。

S11.12.10 - コピー

2段落目最後から5行目に「日佛文化協会副会長稲畑勝太郎氏」とあります。さて、メール差出人のおじいさまは、どの人かしら?この昭和11年は2・26事件があった年。その後、ドイツと組んだ方が良いと判断した結果が、ご存知の通りの歴史。。。

8日(土)13時半から、長谷さんが、掲示している新発見資料「稲畑勝太郎がリュミエール兄弟に宛てた書簡4通」についての研究報告があります。

15日(土)13時半から、これも展示しているフィルムについてですが「横田永之助の16㎜トーキーフィルム、35㎜サイレントフィルムについて」研究報告があります。

京都の映画産業草創期について貴重な資料と映像をご覧いただきながら、新しい文化「映画」というものに、情熱を込めて一生懸命取り組んだ人々がおられたことを思っていただけたら嬉しいです。

会場が狭いため先着30名ですが、両日ともまだお席に余裕がございます。ご都合よければぜひともお運びくださいませ。終了後に懇親会もございます。

【追記】

6月7日付け京都新聞に今回の催しについて紹介記事が載りました‼

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