2019.06.09column
6月8日にいただいた冊子、2冊
昨日届いたばかりの同人誌『高畑勲監督大アンケート』です。企画・編集・発行は五味洋子さん。全148頁のこの労作は、昨年4月5日に逝去された高畑監督とその作品への感謝を込めて、五味さんがネットワークで繋がっている方々を中心にアンケートを呼びかけた結果集まったものを纏めたもの。
昨秋2回に亘って資料展示と発表をして頂いた80歳代の渡辺泰先生、今年2月に発表してくれた高校生の谷廣和哉君と、幅広い年齢層で、参加者は50名を超えています。そのお名前一覧を見ていますと五味洋子さんは勿論のこと、ミュージアムを介して知り合った幾人もの人々が載っていて、「アニメ音痴の私がこうした多くの方々に教わりながら5年目をスタートしているんだなぁ」と実感し、改めて感謝の気持ちでいっぱいです。
出来たてのこの冊子を前にして、五味さんは頼りない私のことも頭に思い浮かべてくださったのでしょう。「アニメについて勉強の役にたてて」というお考えだったのでしょうが、渡辺先生が「鬼の五味名編集長さん」と形容されている五味さんが気にかけて下さったことが、何よりも私には嬉しいです。
この冊子はいつでも手に取ってご覧いただけるようにしていますし、今後頒布もされるようですので、ご希望の方は遠慮なくお声がけください。たくさんの方にお読みいただけると幸いです。
「高畑勲 フィルモグラフィー&著作リスト」五味洋子さんの「私見入り作品解説」を読むと、余りものを知らない私は、「あぁ、この作品も、高畑さんだったのか」「あぁ、あの作品も高畑さんだったのか」と思うばかり。高畑さんの肉体はなくなっても、名作は世代を超えて、これからもずっと人々の心に届けられるのだろうと思います。
五味さん、良いお仕事をされましたね。
もう一つ、当団体正会員の高槻真樹ご夫妻からイタリア土産に「トリノ国立映画博物館」のカタログを貰いました。展示内容も素晴らしいのですが、建物外観が超素晴らしい‼
高槻さんが「評判通りの工夫された展示、子どもとシネフィルを同時に満足させる仕掛けがすごいですね。ぜひ一度行かれることをおすすめします」と仰る通り、いつか機会があればぜひ見学したいです。
「覗いて、写して、楽しむモノたち展」でご覧いただいたモノたちと共通しているものが多く載っていて、手前味噌ながら、狭い場所でもあり大掛かりな機械類こそありませんが、贅沢をせずに連れ合いがコツコツ集めたものとしては「なかなかではないか」と一人ニンマリしながらページを繰りました。大勢の紳士淑女が円形の大きな「覗きからくり」を穴から覗いているイラストは、新潟市巻郷土資料館に保存されている「のぞきからくり屋台」を連想させ、洋の東西を問わず同じようなものを考えるのだなぁと面白く思いました。
昨日は新発見の稲畑勝太郎がフランスのリュミエールに送った書簡4通を巡っての研究発表を開催しましたが、トリノ国立映画博物館「映画の誕生コーナー」では、リュミエールの作品で有名な「列車の到着」の作品を見せた後、左右に幕が開かれ、間から蒸気機関車があたかも手前に向かって走ってくるような仕掛けがされていて、当時の人々が驚いた様子を疑似体験できるそう。「子どもとシネフィルを同時に満足させる仕掛け」の一つなのでしょう。
オランダのアムステルダムにあるアイ映画博物館、アメリカのロチェスターにあるジョージ・イーストマン・ミュージアム、ベルギーにも素晴らしい博物館があるというし、、、どこかに打ち出の小槌がないかしら。このカタログもお声がけいただければ、ご覧いただけます。