おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2019.11.02column

今日の印象深いお客様

朝一番のお客様は、劇団前進座のファンのお母様とお嬢様。10日まで開催中の山中貞雄展を見に来て下さいました。せっかく東京の前進座さんと日本映画史研究家の本地陽彦先生から貴重な資料をお借りしていますので、一人でも多くの方にご覧頂き、天才映画監督と呼ばれながら28歳の若さで戦病死した山中貞雄監督のことを知ってもらいたいと願っています。前進座さんも、所蔵や寄託された資料を一般の方にご覧頂く機会はそう多くはないので、こうした場を設けたことをとても喜んでいただきました。その思いに、少しでも応えられたらと思っています。

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次にお越し頂いたのは、久しぶりの再会となった坂木茜音さん。当館で3回ほど催しを主宰して下さいましたが、その行動力と発信力の見事さはピカイチ。若い仲間が「茜音ちゃんだから」としきりに言うのも納得。

その彼女、1月に日本を出発して、フィリピン→マレーシア→タイ→カンボジア→インド→エジプト→トルコ→ブルガリア→ギリシャ→アルバニア→モンテネグロ→ボスニアヘルツェゴビナ→クロアチア→スベロ二ア→イタリア→フランス→ベルギー→イギリス→ドイツを経て9ヵ月ぶりに帰国しました。

9月20日彼女のフェイスブックの書き込みから転載すると「最終的には19ヵ国。1ヵ国2週間ぐらいなので、ゆっくりとまわることができました。私はなるべくローカルな暮らしを感じたかったので、ヒッチハイクをし、地元の人と遊び、友達になり、家に泊めてもらい、一緒にご飯を食べ、街を歩く。そんなスタイルが一番しっくりきていました。毎日がキラキラと輝き、新しいことの連続で、どこを見ても、何をしても必ず違う発見がありました。そして、いろんなものをなるべきたくさんの視点で見てみる、学びがたくさんあります。学んだことは本当に多く、ここではなかなか書き切れません。伝統工芸を学んだあとに他の文化も見てみたい、あとは挑戦してみたいというのがきっかけでしたが、実際に行ってみると、文化を学ぶというのは、生き方を学ぶことなんだと」。如何にも彼女らしい文章、感じ方だなぁと思います。

世界には紛争があり、穏やかではないように思われる国もあるので、事件事故に巻き込まれなければ良いがと、ずっと勝手に心配していました。けれど、彼女に言わせると「危ないと言われている国ほど大丈夫だった」そうです。前もって計画していくのではなく、いわば行き当たりばったりという旅の仕方は、彼女らしいと思いつつ、出会った人々が良い人ばっかりで、運も味方したと思います。元気な顔を見て、無事で帰ったことを家族を思うような気持ちで嬉しく思いました。

「世界に友達ができれば、世界は平和になる」、本当にそうだなぁと思った日々だったようです。「これまではニュースを見ていても、遠い国のことでしたが、ニュースの向こうにいる友達の顔が頭に浮かび、そして心配する」と。それは、ミュージアムを開館して以来、多くの国の人と知り合うことができた私にも言えます。今、海外留学する日本の若者が少なくなっているそうですが、若いうちにこそ海外へ。様々な価値観があり、それを認めないと自分も認められない。そのことが海外に行くとよく分かるでしょう。

彼女が訪れた国々の人たちは、「日本」を知っていて、それは北野武監督、黒澤明監督だったり、サムライ、相撲、柔道、空手、ドラえもん、トヨタ、マツダ、スズキ、ソニーだったり、だそうですが、四季が綺麗というのもあるそうです。上に上げた19ヵ国のうち、同じように自分はそれぞれの国の何を知っているかというと、甚だ心許なく、不勉強を恥じました。

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そして、次にお越しになったのは、鳥取県出雲市からの女性。お話しを聞くと「出雲市総合ボランティアセンターで、山中貞雄展のチラシを見て、京都に来る用事があったので見に来ました」とのこと。伝手がなくて出雲市に上掲チラシを送っていないのですが、きっと山中貞雄ファンの方が、広く知ってもらおうと置いてくださったのでしょう。どなたかは分かりませんが、お心遣いに心より御礼を申し上げます。

丁度、来年日本最初期に創立された幼稚園で幻灯機の実演をする打ち合せに、活弁士の大森くみこさんが来ておられたので紹介しました。これを機会に、出雲市でも無声映画の活弁上映ができたら良いなぁ、とこれも勝手に夢見ています。

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続いて「うえたけ未来(みく)さん。9月12日付け朝日新聞連載「まだまだ勝手に関西遺産」で紹介いただいた記事をお読みになってお越し頂きました。ご自宅にあった16ミリフィルム『国定忠次』(1925年、マキノ省三監督、澤田正二郎主演)、『弥次喜多尊皇の巻』(1927年、池田富保監督、河辺五郎〈弥次さん〉、大河内傳次郎〈喜多さん〉)、『血煙荒神山』(1929年、辻良郎監督、大河内傳次郎主演)、『チャップリンの勇敢(Easy Street)』(1917年)の4作品を寄贈して頂きました。『国定忠次』は1~4巻全て揃っていて、そこに当館所蔵おもちゃ映画「半郷小松原闇討ちの場」を加えると見応えがあるでしょう。「ひょっとしたらお宝映像か!」と色めきましたが、小松弘さんのコレクションにあることが分かり、少々気落ち。でも、珍しい作品であることは変わりませんので、来年5月17日開館満5年を記念して、坂本頼光さんの活弁と天宮遙さんの生演奏付きで上映することに決めました‼ どうそ、お楽しみになさってください。

IMG_3331こちらのお洒落な女性は、ファッション雑誌「装苑」の編集をされていた佐藤せつ子さんで、とても素敵な方でした。 それはファッションや外見だけでなく、お話される風情も含めて。東京の小池八郎さんから「京都に行くなら、ぜひ訪ねてみて」と勧められたのだそうです。

小池八郎さんは、かつて東京の上野で「LION」の玩具映写機を製造販売していた小池商店のご子息。今年4月26 日にご来館いただき、その時のことはこちらで書きました。その前の2017年12月21日に八郎さんのお姉さんの光子さんが来館され、今年9月19日にもう一人のお姉さんの昶子さんがお嬢様と一緒に来館頂きました。皆さん美形揃い。「LION」の映写機を懐かしく思われて、訪ねて下さったのが嬉しいです。佐藤さんも例外ではなく、「LION」製おもちゃ映写機などをたくさん写真に収めて下さいました。

そして、今日佐藤さんから届いたメールに「私の父は大正3年生まれで、戦前から戦後間もなくまで映写技師をしていました。(略)私が高校生の時に死去し、映写技師時代の話は聞かずじまいになっていました。昨日、たくさんの映写機を目の前に懐かしく父のことも思い出しました」と綴ってありました。小池さんのご家族だけでなく、佐藤さんにとっても、家族を思い、懐かしく思って下さる場となったことを知り、心が何だかじんわりと温かくなりました。

ミュージアムが、ほんの僅かでも、人と人が、心と心が通い合う場になっていることを本当に嬉しく思います。

 

 

 

 

 

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