おもちゃ映画ミュージアム
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2020.04.14column

「アニメーション・パレット2019」参加作家3人のシネカリ

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昨年9月20日・21日、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了生たちによる新作短編アニメーション6作品をご覧頂く「アニメーション・パレット2019」の巡回上映会をしました。

DSC01173A - コピーそれぞれの作品上映の前に各作家による作品紹介映像も見せて頂きました。上映に間に合うように3人の作家さんが東京から駆けつけてくださり、トークタイムも。向かって左から『CASTLE』の宮嶋龍太郎さん、『塾帰り』の飯田千里さん、『創造的進化』のソン・ヨンソンさん。

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宮嶋さんが手にしているのは、『CASTLE』の原画の一枚。墨絵の素晴らしい作品で、本作で国内外映画祭で審査員特別賞など数々の賞に輝きました。

その彼に「シネカリをしてみませんか?」と声を掛けたところ、

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早速着手。100コマのフィルムを提供し、自由闊達におしゃべりもしながら、サクサク黒の油性ペンで描いていきます。聞くところによると、以前は東京藝大大学院でもシネカリの授業があったそうですが、最近はなくなったので、宮嶋さんは生まれて初めての体験だそうです。

絵を描くのは、フィルムのツルツルしたベース面ではなく、乳剤が塗布されたしっとりとした面。乳剤が付いている方がマジックが乗りやすいのです。その上に油性ペンで、上から下に順に描いていきます。ループ式に繋いでから、写真背後の手回し映写機で映写するので、エンドレスになるよう動きを考えて描かなければなりません。

水性ペンは、こすれて取れて(消えて)しまうし、透過に難があります。顔料はインク自体が光を通さないし、影が出て黒くなります。その点、油性ペンは、光が通るのでOKですし、乾きやすいのも長所です。が、完全に固まらないうちに光を通すと、乳剤が湿っているので傷付きやすく、注意が必要です。

DSC01164A - コピー左端は河野亜季さん。昨年3月23日~4月7日開催した東京藝大大学院映像研究科アニメーション専攻立体ゼミ伊藤有壱先生とゼミ修了生達による「ストップモーション アニミズム展 in KYOTO」をしたときに、関西在住ということで尽力して下さいました。その右隣は、やはり同大学院アニメーション専攻の井上幸次郎さん。右から二人目は、「アニメーション・パレット2019」のプロデューサー面高さやかさん。大阪芸術大学大学院卒のご縁で、当館で2017年6月11日「アニメーション・パレットin京都」に続き、上映会を提案してくださいました。2017年の上映会は、こちらで書いています。

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内々での懇親会。2016年8月6日開催した「創作アニメ映画祭」の時に作品を提供して下さった「さとうゆか」さんも駆けつけて下さいました(右から3人目。その日の様子は、こちらに)。その間も宮嶋さんは、シネカリを続け、

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100コマの絵が完成しました。同様に飯田さんもシネカリに挑戦し、ソン・ヨンソンさんは、持ち帰って後日完成したフィルムを送ってくださいました。二人の作品が「充分乾いたかなぁ」と思ったところで、手回し映写機に掛けてみんなで見ました。

でも惜しいかな、まだ完全に乳剤が乾ききっていなかったようで、申し訳ないことに、飯田さんと宮嶋さんの作品には、縦に傷が入ってしまいました。でも、「パソコンでの作画では、こうしたことは起こらないので、かえって手描きならではの味わいがある」と飯田さんから慰められ。。。

そして、3人の作品にサイレント映画ピアニストの天宮遙さんが、素敵な音楽を付けてくださいました。

では、3人の作品をどうぞ、ご覧下さい。

こちらは、飯田千里さんの『すすめ!たぬきのたぬたぬ君』。完成作品を見た飯田さんは「勇ましくも、飄々としたお囃子のようでもあり、そこはかとない寂しさもあって、面白いですね。雷まで丁寧に組み込んでくださり、ありがとうございます」と音楽に感想を述べてくださいました。当の天宮さんは、「たぬたぬ君が勇ましく走る場所は、アメリカの広大な荒野のように感じました。日本出身のたぬたぬ君を三味線の旋律で表現し、西部劇のリズムと口笛で応援しました。最後に聞こえるのは、たぬたぬ君がぶっぱなした祝砲です」と教えてくださいました。

時々無声映画の上映会をします。活弁士さんが上映作品の台本を書きますが、当日の場の雰囲気に合わせて即興でアレンジして語り、楽士さんも活弁を聴きながら、映像に合った演奏を即興でされる場合が多いので、まさに、一期一会のライブ上映となります。同じ上映素材でも、毎回異なる面白さが楽しめます。たった100コマのアニメーションでも、いろんな感じ方があって面白いです。音声を消して、「自分ならこんな演奏をする」と試してみたり、あるいは目を閉じて、演奏を聴きながらアニメーションを空想してみるのも良いかもしれません。

そして、こちらは宮嶋龍太郎さんの『movement』です。「初めてのシネカリ作品だったので、意図せず難解?なものになってしまいましたが、フィルムに自分の作品を封じ込めるとても貴重な体験ができました。素晴らしい音楽をありがとうございます。コマ撮り撮影時の画質も素晴らしくて、ダイレクトペイントの力強さを堪能いたしました!」と感想を述べてくださいました。天宮さんは「何の変哲もないBOX。しかしそれは、自然の驚異に打ちのめされ、愕然とする人類の最後の希望。そんな風景を表現しました」と仰っています。

最後にソン・ヨンソンさんの作品『生命の誕生とめぐり』。彼の『想像的進化』はとても色が綺麗でしたので、彼にはカラフルな作品を要望しました。完成した作品をご覧になって「撮影から音付けまでご丁寧にありがとうございます。思い出として大切に保管します」と喜んでくださいました。天宮さんは「力強い生命の誕生の喜びにあわせたポップなリズムと共に、『輪廻』という命のめぐりに敬意を表し、荘厳なイメージに発展させました」と書いてくださいました。

如何でしたか?将来のアニメーション界を牽引する若者達と出会い、その豊かな才能に間近で接することが出来たことを、とても光栄に思っています。今後の彼らの活躍に、大いに期待しています‼

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