おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2021.02.17column

『わんぱく王子の大蛇退治』のセル画を5枚、寄贈して頂きました‼

2月16日名古屋にお住まいの方から、アニメーションの原画とセル画を寄贈していただきました。映画館関係の仕事をされていたお父様が遺されたものだそうです。アニメーションに詳しくないので、アニメーション研究家の叶精二先生にセル画の写真をお送りして、いろいろ教えていただきました。タイトルは『わんぱく王子の大蛇(おろち)退治』。ネットで検索すると、1963年3月に公開された東映動画長編第6作目で日本アニメーション史に名を残す傑作です。

日本神話を題材にしたこの作品は、制作費約7000万円、スタッフ180名、作画枚数25万枚、絵の具1トンを使用。森康二さんが初の作画監督として全体の出来を統一された作品。音楽が『ゴジラ』などの映画音楽で知られる伊福部昭さん。この作品は昨年、叶先生が尽力された「高畑勲展」でも展示されました。「どれも大変貴重なものです」と仰ったので、緊張しました。酢酸臭はしていませんが、ところどころ剥がれているので、気を付けなければなりません。保管用の専用箱を取り寄せることにしました。

ヨルノオスク二で暴れるスサノオ。これは彩色されたセル画のみ。

永沢詢さんとひこねのりおさんが原画を担当された天岩戸のシーンで、開演を告げるオモイカネ。動画とセット。

「おはやしバンド」は、セル画のみ。

アメノハヤコマを待ち伏せするタイタンボーとアカハナ。動画とセット。

大蛇に立ち向かうスサノオとハヤコマ。動画とセット。「大蛇退治のクライマックスで、大塚康生さんか月岡貞夫さんが担当」と叶先生。

先にリンク先を貼った「わんぱく王子の大蛇退治」特集東映ビデオオフィシャルサイトによれば、このクライマックスシーンに大塚さんと月岡さんは半年に亘って取り組まれ、このシーンだけで300カット、動画枚数1万枚超が費やされた屈指の名場面として今なお語りつがれているそうです。

ひこねのりおさんのお名前が出ましたので、早速メールで「何かお気付きのことや思い出があればお教え下さい」と尋ねましたら、今朝、次の返信メールを頂戴しました。

……『わんぱく王子の大蛇退治』はもう60年ぐらい昔の作品ですから貴重なのかもしれません。日本神話をアニメの神様と言われていた森やすじさんが作画監督をされた作品です。アニメーターがそれぞれ担当したシーンのキャラクターを描きました。永沢さんがアメノウズメを描いて、私はバックダンサーのアイディアとキャラクターを描きました。「おはやしバンド」は、永沢さんか私のどちらかが原画を描きました。東映時代で一番楽しい仕事でした。ひこねのりお……

NHK朝ドラ『なつぞら』で、奥山玲子さんをモデルにした「奥原なつ」が作画課に入って、取り組んだ『わんぱく牛若丸』のモデルが、この『わんぱく王子の大蛇退治』だそうです。

日本アニメーション協会会長古川タク先生と知り合い、先生たちのグループ「G9+1」の先生方ともお付き合いできるようになりました。そのメンバーのお一人、「カールおじさん」で知られるひこねのりお先生役の人も、あの朝ドラ『なつぞら』に登場されていたのかしら?「東映時代で一番楽しい仕事でした」と語られる先生の、輝く青春がそこにあったのですね。

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