おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2021.07.23column

満員御礼、明日開催する映画『祇園祭』関連講演会

先週17日に続き、24日に第2弾として映画『祇園祭』(1968年、日本映画復興協会)をテーマにした講演会と参考上映をします。お陰様で今回も予約で満席になりました。

明日の講演会は奈良大学教授の河内将芳教授に「戦国時代の祇園祭」の演題で1時間お話をして頂きます。その後で、先週に引き続き、連れ合いが「伊藤大輔監督が目指した映画『祇園祭』は、こんな風ではなかったか?」という視点で編集した研究バージョンを参考上映します。京都文化博物館所蔵のフィルムが167分ですが、135分にまとめました。

前回上映の時の感想では、まずまずの評価でしたが、明日のお客様の感想は如何でしょうか?とにもかくにも、この映画『祇園祭』がもう少し開かれた上映環境になれば良いと願っています。今日最後にご予約頂いたのは、偶然自転車で通りかかって、明日の催しのことを知った方でした。この作品が公開された当時、ご覧になったそうです。「探せばパンフレットが出てくるかもしれない」と仰っていました。どうぞ、見つかりますように‼

前回の時は、「中学1年生の時、課外授業でみて、それから気になっていた」という関東からお越しの方もおられました。いずれにしても脳裏に深く刻まれた印象深い作品だったことがうかがえます。

さて、明日の山鉾巡行はなくなりましたが、還幸祭は規模を縮小し、内容も変更して滞りなく行われるようです。

今日23日14時から、ミュージアム近くの八坂神社御供社で「オハケ清祓式」と呼ばれる神事が営まれました。講演と参考上映後に、希望者を募って祇園祭発祥の地といわれている神泉苑と八坂神社御供社での神事見学にご案内しようと考えています。

今回の映画『祇園祭』の資料展で大変お世話になった堀さんが所属されている放下鉾を見学した様子について、こちらで書きました。放下鉾は先祭だったので、今年の囃子方のご奉仕を終えられたあと、大切な笛をお貸しくださり、展示に加えました。

手前が鉦摺りで、黒い取手の部分はクジラのヒゲだそうです。そして鉦を叩く先端の白くて丸い部分は象牙。最近では象牙が入手できなくなり、鹿の角に替わったそうですが、直ぐに割れるので、今はプラスチック製ができているそうです。笛も同様にこの笛は漆塗りですが、今はプラスチック製ができていて、「悔しいことに、余り音が変わらず、軽い」そうです。おそらく値段も安いのでしょう。その上にあるのが鉦の譜面で、○が鉦のふちを叩き、●が鉦の真ん中を叩く記号。右端の五線譜に書かれたのは、大学の研究者が祇園囃子の曲を五線譜におとしたものだそうです。「僕たちは、五線譜を見ても鳴らせない」と仰っていました。口伝も大切ですが、どのような状況になっても後世の人に祇園囃子が伝えられる方法が残っているのは心強いですね。

写真は甲南女子大学の有本准教授。菊水鉾の川塚さんが16年の歳月を費やして菊水鉾全ての祇園囃子を五線譜に落とされた大変な労作を熱心にご覧になっています。私家版を特別にお借りして展示していたのですが、このように関心を持って頂けて嬉しい限りです。祇園囃子の伝承について興味があるそうです。

また、池坊短期大学の星講師は、紙芝居に関心を持ってお越し下さいました。実際に紙芝居をご覧になっての感想をお聞きしましたら「想像していた以上に色が綺麗だ」と仰いました。あとで連れ合いに聞きましたら、「顔料で描かれているからだ」と申しました。アクリルの絵具なら経年劣化で退色しているのでしょうが、天然鉱物を素材にした顔料は日焼けなどをしないで、美しいまま保存されるそうです。

こうした色についての見方をされた方も初めてでしたので、記憶に残りました。

その方に、西口克己さんと田島征彦さん原作の絵本『火の笛』があることを教わって、早速購入し、展示に加えました。1980年7月1日に発行されています。演劇、バレエ、ミュージカル、映画、絵本と表現媒体を様々にかえながら、紙芝居『祇園祭』は息長く民衆に支持され、受け入れられてきたのだなぁと思います。

明日の講演では、このように多くの人々に影響を与えた『祇園祭』ですが、実際の歴史はどうだったのか?史料を紐解きながらわかりやすくお話をして頂きます。2回連続でご参加頂ける方もおられますし、あるいは昨年に引き続き参加して下さる方もおられます。映画では「祇園会でのうて、祇園祭。わしらの祇園さんのお祭りだけなら、一向に差し支えなかろう。おい、みんな!神事は無くとも、山鉾わたそう!」と主人公の新吉は語りますが、明日は「山鉾は無くとも、神事はわたそう!」とミュージアム近くまで榊移しのご一行が参られます。その見学も楽しみです。

猛暑は御免蒙りたいですが、雷雨も御免蒙りたいので、家に帰ったらいつものようにてるてる坊主さんを下げて好天を祈ります。では、明日の盛会を祈って、今日のブログを終えます。

 

 

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