おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.06.02column

阪妻主演のおもちゃ映画『魔像』を寄贈いただきました‼

昨日、長崎県在住の藤崎忠義様からおもちゃ映画『魔像』のフィルムを寄贈いただきました。1936年阪妻プロによって作られた新興キネマ作品で、もともとは60分くらいの作品だったようですが、家庭用に販売されたおもちゃ映画は、動きがある面白い部分で作られた20秒の長さでした。早速フィルムスキャナーでデジタル化してみました。デジタル化すると1秒24コマ、一瞬で終わってしまいますが、1秒8コマのスローモーションでも再現できるので、動きの大きな中で阪東妻三郎(阪妻)の表情が克明にみられます。

阪東妻三郎は神尾喬之助と茨右近の二役。監督は石山純。林不忘の原作「大岡政談」ものです。ごく短い断片でも、阪妻ファンの藤崎様には魅力だったようで、ネットオークションで落札され、市川右太衛門ファンの八木明夫様経由でお届けくださいました。

着物の家紋が面白いなぁと思いながら見ましたが、頭巾にも蜘蛛の巣が描かれています。衣装や帯、家紋のデザインで作品名を調査されました。同じように見える衣装でも作品が違うこともあります。蜘蛛の巣が描かれた白い頭巾はこの作品の特徴です。 

ネットで検索したら1956年のリメイク版『魔像』(松竹、大曾根辰夫監督作品)をYouTubeで観ることができました。https://www.youtube.com/watch?v=yYFij40DBwI こちらの作品には、蜘蛛の巣や家紋などが描かれていないですね。藤崎さんや八木さんなど往年の時代劇ファンにとっては、戦前の映画はたまらなく魅力的なのだそうです。

余談ですが、「忠義」さんというお名前から戦争中にお生まれになったのだろうと想像しましたら、ピンポンでした。紀元二千六百年の記念行事が多くなされた1940(昭和15)年生まれの方には「紀」の漢字が付いたお名前の方が多いようです。お名前は世相を反映していますね。平和を連想するお名前がお子さんに付けられる時代が末永く続くことを願います。

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