おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.06.02column

5月22日開催トークイベント「日本に映画を持ち込んだ男たち~荒木和一、稲畑勝太郎、河浦謙一~」の振り返り~Part1

開館7周年を記念して、5月22日に開催したトークイベント「日本に映画を持ち込んだ男たち~荒木和一、稲畑勝太郎、河浦謙一~」は、満員御礼で無事終了することができました。さわやかな五月晴れのもと、賑やかに開催。日本映画史研究者の姿が多くみられただけでなく、日本に“映画”を持ち込んだ荒木和一、稲畑勝太郎、河浦謙一、それぞれの関係者の方々にも参加いただけて、大変意義深い催しとなったことを嬉しく思います。なお、文中のパイオニア3名の敬称は省かせていただきます。

改めて、ご参加いただいた皆様、登壇者の皆様に心より御礼を申し上げます。ありがとうございました!!!!!

「突然のお願い」というのが私の常で、これまでも幾人もの方々に迷惑をおかけしていますが、ありがたいことに皆様、快く応じてくださっているのも常です。今回も登壇者の荒木和一について語ってくださった武部伸好さん(小説家・エッセイスト)、稲畑勝太郎について語ってくださった長谷憲一郎さん(映画監督・駿河台大学教授)、河浦謙一について語ってくださった入江良郎さん(国立映画アーカイブ主任研究員)、素晴らしい締めくくりの挨拶をしてくださった本地陽彦さん(日本映画史家)、そして参加者のお一人大牟田聡さん(毎日放送元報道プロデューサー)の5名の方に、打ち上げの折、「良ければ今日の振り返りを書いてもらえませんか?長さやスタイルは自由です」と「突然のお願い」をしました。

それに応えて寄稿して下さった方の文章を到着順に掲載します。当日撮影した様子も、登壇者の同意を頂きましたので、YouTubeで配信しようと目下編集中です。今回の催しは参加希望者が多く、心苦しくもお断りする方が相次ぎました。そうした方々にも見聞いただければ幸いに存じます。

先に、取り上げた3人の人物にゆかりのある方々が参加して下さったことを書きました。その方々を最初にご紹介します。

荒木和一の曾孫にあたる井上聡一さんです。昨年2月24日、井上さんから武部さんにホームムービーが見つかったと連絡があり、それを4月5日に大阪のシネマパブ「ワイルドバンチ」を会場に映写機でみる催しが行われました。

武部さんのブログを読んでそのことを知り、何かの折に入江さんに話したところ、「荒木和一本人が写っている映像は貴重だ」ということで、国立映画アーカイブに寄贈されることになりました。

その映像は、今年5月の「発掘された映画たち2022」で8日と17日に「荒木和一/横田永之助コレクション」のプログラムで上映されました。武部さんは8日に、長谷さんは17日に登壇されました。結果的に、貴重なフィルムが国で保存されることにつながったわけで、多少なりとも貢献できたことを嬉しく思っています。

さらに、5月8日国立映画アーカイブで武部さんが話された後、別の荒木和一のご遺族から上掲の8ミリフィルム7本が寄贈されました。12日にそのフィルムを受け取って、すぐにフィルムスキャナーでデジタル化して武部さんにお送りしました。22日は、武部さんの説明を加えた映像を皆様に初披露しました。フィルムスキャナーを導入したことで、素早い対応ができたことも良かったです。

稲畑産業㈱総務広報室広報部の橋本幹樹様。2019年6月8日と15日に開催した長谷憲一郎さんによる研究発表「新資料発見!稲畑勝太郎がリュミエール兄弟に宛てた書簡4通について」の時にもお越しいただきました。ご多忙の中、お越しいただき感謝申し上げます。

そして、こちらは河浦謙一の弟、立島清のお孫さん姉妹。手前がお姉様の立島信枝さん、奥が和枝様。遠くからお越しいただきありがとうございました。1週間前にも京都に来られ、その時にこの催しのことをどこかで知られたようです。18日に参加したいと電話を頂戴し、そのことを長年にわたって河浦謙一のことを研究しておられる入江さんに伝えたところ大層な喜びようで、22日当日の朝は午前3時に目が覚めたそう。お二人との出会いで、研究が一層進むことを期待しています。

日本に映画が持ち込まれたのは4ルートあったようですが、新居商会について研究している方はそうおられないのだそうです。残りの3ルートについて3人の人物に焦点を当て、それぞれの専門家が一堂に会して最新の研究成果を話し合うのは本邦初の試み、画期的なことです。この折の内容が、今後の日本映画史研究に何らかの貢献ができることも期待しております。

なお、この催しは、武部さんが初めて小説を出版されたお祝いの意味も込めました。その作品『フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一』(幻戯書房)を大阪の隆祥館書店様のお手伝いで販売とサイン会をしました。隆祥館書店様は木村元彦著『13坪の本屋の奇跡』で紹介された評判の本屋さんです。お買い上げいただいた皆様、ありがとうございました。

さらに長谷さんも今春から、埼玉県の駿河台大学で教授に就任されましたので、そのお祝いもあります。校務が多忙の中、駆け付けてくださったこと深く感謝申し上げます。入江様には河浦謙一に繋がる方との出会いもありました。登壇者3人、それぞれに佳きことが重なり何よりでした。

長引くコロナ禍、落ち込む経済情勢の中で生き辛く思っておられる方も多い今の日本を憂い、明治男が“映画”という新しい文化に目を見開き、「よし、これを日本に紹介して広めてやろう」と創意工夫を凝らし、しのぎを削りながらも、情熱的に生きた様子を知って貰うことで、「よし、自分も前に向かって一歩踏み出してみよう」と思ってもらえたら良いと企画しました。その思いが、少しでも伝わればいうことはありません。

 

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