おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2018.06.19column

京都インターナショナルスクールの子どもたちが見学に

6月7日(木)、京都インターナショナルスクールの小学3、4年生18人と引率の先生3人が来館。あいにく当日は館長が大阪芸大で授業のため頼りない私が対応することに。前日には自分なりにテスト上映もし、話す内容も頭に描いていたはずなのに、直前まで掃除をしていて機械に触れたらしく、DVD再生で音がせず、慌てふためく一幕も。しかしながら、最終的には子どもたちが、興味を持って喜んでくれたので、自分としては今後に活かせる経験ができたことを嬉しく思っています。子どもたちの学びの場に使って貰えることは、大きな喜びです。

京都インターナショナルスクール(京都市上京区葭屋町通中立売下る北俵町317)は、ネットで検索すると、第二次世界大戦後の1957年に、府立植物園にあったアメリカンスクールが閉校し、代わりに宣教師の子どもに始めた教育が前身だそうです。3~13歳の子どもを対象に、欧米の教育システムに則り、国際バカロレア(IB。スイスのジュネーブに本部)を軸とした国際的な教育プログラムを実施し、同時にWASC(アメリカのカルフォルニア州に本部)の認定も受けています。IBは文科省もグローバル人材育成の観点から普及・拡大を推進しているようです。

川内先生から最初に問い合わせを受けたのは5月29日のこと。「物語を伝えることについて学習しており、その形の一つとして短時間の玩具映画について知ることができないかと考えているので、見学したい」ということでした。こうした総合学習があり、その題材として玩具映画に着目して下さったのも新鮮な驚きでした。

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最初に、おもちゃ映画ミュージアムについて話しました。①元は型染友禅の仕事をしていた織屋建てと呼ばれる築100年ほどの古い京町家であること②その建物を直して、映画をキーワードにして人々が交流できる場にしたいと思って2015年に開館したこと③日本では、音や色が付いていない昔の映画がほとんど残っていないこと④しかしながら、上映を終えたフィルムのうち、動きのある面白い場面は短く切って、「おもちゃ映画」として販売されたものもあること⑤アニメーションに関しては、上映されたものばかりではなく、マンガの人気キャラクターを拝借して、おもちゃ映画用にマンガの上手な人が描いたものもあること⑥フィルムは高価だったので、30秒から長くて3分程度しかない短いものだが、オリジナルが残っていないので、貴重な映画資料であること⑦そうしたフィルムは小さな缶や紙箱に入れて、手回しのおもちゃ映写機と一緒におもちゃ売り場で販売されていたこと⑧レコード音楽に合わせて映像が作られた『茶目子の一日』(1931年)のように、映像とレコードを同期させて楽しむ文化もあったこと⑨これらは、どこの家でもあったわけではなく、経済的に恵まれた新しもの好きの家に限られ、戦後しばらく迄見られた光景であること⑩当館は、そうした「おもちゃ映画」など貴重な映像を見つけて、修復し、次の世代の人に継承できるよう保存する活動をしている―ことなどを話しました。

そして、この日の為に編集し直した『活弁と生演奏で彩る~おもちゃ映画の玉手箱』(20分)を上映しました。手にしているDVDの中から、オリジナル版と活弁版の聞き比べをして貰おうと「茶目子の一日」の二種類、のらくろ、ベティさん、冒険ダン吉、ポパイのそっくりさんが登場するアニメーションの「おもちゃ映画集」、最後にアメリカの喜劇映画「ブッシュ家のポンコツ自動車」をまとめたものです。この最初のオリジナル版「茶目子の一日」の平井英子さんの可愛らしい声がすぐに出ず、冷や汗ものでしたが、これが意外と受けが良かったのです。

「声が無い方が面白い」という意見が複数出たのです。私の方が「無音では、見ていてもつまらないのではないか、内容がわからないのではないか。サイレント映画は弁士と楽士がいて、初めて成立するものだ」と勝手に思い込んでいたことに漸く気付きました。かつての映画館では、ずらりと並ぶ弁士と楽士付きでご覧になる興業だったのでしょうが、家庭では、無音でも充分子どもたちは楽しめたのでしょう。振り返ってみれば、開館以来、「家や近所の家で、おもちゃ映画を見たことがある」という人は何人もおられますが、「大人や年長者が弁士の代わりをして説明してくれた」という話は一度も聞いたことがありません。滝田ゆうさん『寺島町奇譚』に描かれているのも子どもたちだけで、壁に投影した「おもちゃ映画」をじっと座って見ている漫画です。

音が出ない失敗が、大切な気付きをもたらしてくれました。結局「茶目子の一日」は、3通りの上映形態で違いを見てもらうことになりました。

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会場を暗くして、おもちゃ映画を見ている様子。最後に見てもらった「ブッシュ家のポンコツ自動車」は大受けでした。大人だって、何度見てもお腹を抱えて笑ってしまう可笑しさで、CGもない時代に体を張って演じるコメディアンの演技は、きっと子どもたちの記憶にも刻まれたことでしょう。

上映後は、簡単に2枚の紙でアニメーションが楽しめる「マジックロール」の説明をして、展示品の説明とおもちゃ映写機体験をしました。

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丸く切り抜いた厚紙の表と裏に絵を描いて、クルクル回してアニメーションを楽しむソーマトロープの次に、子どもたちが手にしているのは、福島治先生からプレゼントして貰った驚き盤。下敷きの応用編で、溝がないのがミソ。

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そして、手前にあるのがゾートロープ。ドラムを回しながら、隙間から覗くと絵が動いて見えます。その奥にある3つは、プラキシノスコープ。中央にある鏡にドラム内側に貼り付けた連続した静止画が写り、回転させると絵が動いて見えます。これら光学玩具と呼ばれる19世紀に考案されたおもちゃを体験して貰ってから2階へ。

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2階では、おもちゃ映写機の体験をして貰いました。フィルムのことを知っている男の子もいました。この子はレコードや蓄音機のことも知っていました。おじいちゃんから教えて貰ったのだそうです。三世代というのは、幅広い知識が継承されるし、情操面でも豊かな子に育つように思います。「映写機体験やりたい人?」と尋ねたら、皆元気に手を挙げてくれました。一人ずつハンドルを手回ししてフィルムを送り、投影される映像を見て貰いました。

本当は、マジックロールを作って遊ぶ班と、展示物を体験する班とに分かれて、途中交代する段取りでしたが、映像で手間取って時間が足りなくなり、マジックロールは持ち帰って、翌日やってもらいました。「子どもたちがもの凄く引き込まれて、早い子は5分くらいでさっと作り、懲りたい子はじっくり色塗りをする…という様子」だったそうです。

この子たちは、英語はもちろん、日本語も聞いて、話せるので説明に苦労はしませんでしたし、何より理解が早く、お行儀も良くて、良い子たちばかりでした。着席してすぐから、一人一人にレポート用紙が配られ、それに書き込みます。そのレポートに書かれた中から、いくつか先生がコメントを箇条書きして送ってくださったので、それを最後に掲載します。

1.今も映写機は作られているのかな。

2.絵が歌で話しているのがおもしろい。

3.今見る映画と違う。

4.声が無いと、想像がたくさんできて面白いと思った。

5.映写機を使うのはとてもふしぎ。

6.どうやってこれだけの古いものを集められるの。

7.絵の動き方が違う。

8.変な映画だけど面白い。

9.一人の人が何種類も声を使い分けているのがすごい。

10.映写機や見たこと無い機械がたくさんあってびっくりした。

たった一時間の覚束ない授業でしたが、子どもたちがしっかり見て受け止めてくれていたことが嬉しかったです。

先生からのメールでは「子どもたちも初めての体験に大興奮だったようで、帰りのバスでも話をしていた」そうですし、18日の地震を受けて「おもちゃ映画の場所は大丈夫かな」と心配もしてくれていたそうです。川内先生が、提案して下さったおかげで、子どもたちの視線、感じ方に気が付くことができました。この経験をこれから子どもたちが見学に来てくれた時に活かそうと思います。

京都インターナショナルスクールの子どもたち、そして、先生方、見学に来てくださって本当にありがとうございました‼

 

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