おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2018.08.30column

国立民族学博物館「みんぱく」の概要と見学会報告・第13回「映画の復元と保存に関するワークショップ」(2018.8.24)

「みんぱく」外観

国立民族学博物館は、1970年の大阪万博(EXPO’70)の跡地に、74年に創設され、77年に開館した施設で、「みんぱく」という愛称で親しまれています。

日本を含む世界各地の文化や各種民族の衣食住などの生活用具を中心に展示する博物館施設と、民族学、文化人類学並びに隣接諸分野を研究する研究所施設、そして総合研究大学院大学文化科学科の大学院が併設されています。

通常一般見学できる博物館スペースでは、世界各地にまたがり収集された文献や民族衣装、生活用具や機器、楽器類など、多種多彩な「モノ」の展示が行われ、その保存に関しては、他の施設では例を見ない独自の「保存コンセプト」を持っておられます。

今回の見学会は、6月18日に起こった大阪府北部を中心とした地震により、一部施設の破損やそれに伴う修復作業で、9月中旬まで休館の予定でしたが、復旧作業が順調に進んだことで、 8月23日より一部開館となりました。温かい配慮に感謝しながら見学会の準備を進めていましたが、大型の台風20号の影響が懸念され、実施できるか否かずっと気をもんでいました。前日夜半から早朝にかけて台風が通過し、当日朝の段階では、千里万博記念公園「自然文化園」は、警報が出たままで閉園ということでした。「みんぱく」も連動して休館という処置がとられ、実施が危ぶまれました。実行委員会では、当日10時の段階で警報が発令されていれば参加者各自へ、中止の連絡を入れることに決めていましたが、東京など遠方からの参加者が多く、その見極めに苦慮しました。おそらく、他の見学・実習コースも同じだったと思います。

幸い台風は通過し、当日朝9時に開館が発表されました。急遽連絡を取りながらというハラハラするような展開でしたが、「自然文化園」は被害もなく、「みんぱく」への通行証を発行していただき、無事に全員集合(定員20名)することができました。参加者の皆さんにはご心配をおかけしましたが、無事に実施することができて安堵しました。 

園田先生講義

まずレクチャールームで、園田直子教授による「みんぱく」施設の概要と映像素材の保存についての講義をしていただきました。

特に他の施設と違うところは、映画や音声のフォーマットが多種多様であるというだけでなく、他の民族学的な資料の保管を各モノの素材の違いにより、多面的な観点から長期保存を考えておられるということでした。

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低温、低湿度という問題点をクリアーしながら、それぞれの材質にあった保存条件に合わせ、試行錯誤を繰り返しながら研究されています。

特に、映像作品は、世界各地に派遣し、「みんぱく」独自に記録撮影された貴重な民族学映像の原版であり、それらは唯一無二の素材であることで、長年の研究によって培われた独自の保存思想を持っておられます。例えば、室温12℃、湿度40%と室温18℃、湿度45%という2室に分かれた保管庫は、国立映画アーカイブの5℃、10℃とは異なる考えのもとで設定されました。またフィルム素材の測定機によって、ナイトレート(NR)とアセテート(TAC)、ポリエスター(PET)の違いを瞬時に測定できる機材(FTIR)の導入やビネガーシンドロームに対応する換気吸酸フィルター(ケミカルフィルター)による空気循環器の設置、またフィルムの洗浄とポリプロピレン・ケースへの入れ替え、キープウエルやモレキュラーシープを入れ、一部茶箱などで保存するなど、定期的な処置を繰り返すことにより、酢酸濃度が低下し、フィルムの劣化を低下させる実績を示されました。これらは国内だけでなく、海外のアーカイブを視察され、参考にした処置として実践しておられます。

残念ながら、私は遅刻された方を案内するため、もう少し詳しく説明されたのですが、聞き漏らすことになりました。

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園田先生の講義の後、ABグループに分かれ、場所によっては、4グループに分かれ、施設のバックヤードである収集貯蔵庫の見学と、テレシネや映像編集の作業室、また撮影スタジオを完備した施設を見学。やはり、1977年開館当時のものは老朽化が進んでいますが、国の施設であるだけに新たな機材の導入など、映像展示や保存のための設備や人材が確保されています。

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ワークショップの後、館内を自由に見学させて戴けたのですが、施設修復のためBブロックのみの見学となりました。企画展「アーミッシュ・キルトを訪ねて―そこに暮らし、そして世界に生きる人びと」は、幸い見学をさせていただくことができました。

大森康弘名誉教授のご尽力により、園田直子先生の講義、映像・音響担当の奥村泰之さまの解説、また研究員の皆様の引率案内で、一般には見学できない施設の裏側と映像保存の為に取り組んでおられる皆様の仕事ぶりを見学させていただけたことはワークショップ参加者にも大変有意義なことだったと確信しています。大森先生、園田先生、奥村さま他の研究員の皆様、誠にありがとうございました。

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尚、26日のワークショップの実習報告会では、「みんぱく」の奥村さんと実習参加者の時実象一さんが報告してくださいました。その発表映像を「みんぱく」参加者全員にお配りすることが出来ました。

以下、報告映像です。

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STEENBECKはテレシネ機ではなく、この機種は、16㎜水平編集卓です

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時実様、参加して下さった皆様、ありがとうございました。

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