おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2019.04.25column

寄贈本のご紹介

4月6 日付けで寄贈本の紹介をしましたが、その後も本の寄贈が相次いでいますので、順に掲載します。IMG_20190425_0001 (3)4月8日に受け取った『小津安二郎 大全』です。今年3月30日、朝日新聞出版から刊行されたばかり。500頁を超える大著です。編者の松浦莞二さんと宮本明子さんは、共に4月14日に開催した脚本家・依田義賢先生生誕110年記念の講演と関連映像の上映会の折りに参加して下さいましたので、その懇親会の席で皆さまにご紹介し、挨拶もしていただきました。

本に載っている松浦さんのプロフィールをそのまま転載すると、「映像作家。世界十数カ国で上映された短編映画『鏡の中の鏡』や『一月の手紙』をはじめ、CF、MVなどを多数制作。映像制作だけでなく、早稲田大学での公開講座「映画音響批評 小津安二郎の音を語る」、国際映画学会:SCMSで発表を行うなど、活動は多岐にわたる。」とあります。宮本明子さんは、同志社女子大学表象文化学部日本語日本文学科助教。小津安二郎監督作品を中心に、映画台本、監督直筆資料調査から、映画の成立過程について研究を進めておられます。この本には、多くの著名人が生前の小津監督について語った文章や、資料、写真もふんだんに載っていて、まさに永久保存版です。

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14日に宮本先生から寄贈いただいた『豆腐屋はオカラもつくる 映画監督  小津安二郎のこと』(龜鳴屋、2018年12月12日発行)。2017年春に、宮本先生が田中康義さんへインタビューをされた折りに、この本のもとになった原稿の存在を知り、龜鳴屋さんから書籍化されることになり、宮本先生はその編集のお手伝いをされたようです。田中さんは東大卒業後、松竹大船撮影所入社、小津監督『東京暮色』(1957年)でロケ・ハンに参加、『ケメ子の唄』(1968年)で初監督。他にもいくつもの作品で助監督や監督をされ、1976年からプロデューサーに。曽根中生監督『博多っ子純情』、大森一樹監督『オレンジロード急行』、加藤泰監督『ザ・鬼太鼓座』、野村芳太郎監督『配達されない三通の手紙』、山田洋次監督『ダウンタウン・ヒーローズ』ほかに参加。『松竹百年史』執筆・編集なども手掛けておられます。日本映画監督協会会員。この本のタイトルの意味は、どうぞお手に取ってご覧くだされば、と思います。

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これも4月14日イベントに参加いただいた㈲オムロ社長の西田宣善さんから寄贈いただきました。14日は溝口健二監督のほとんどの脚本を手掛けた依田義賢先生の催しだったことでもあり、それに合わせてご持参いただきました。佐相 勉編『溝口健二著作集』(㈲オムロ、2013年)。この本の註と解釈を担当された佐相さんは、『1923 溝口健二「血と霊」』(筑摩書房、1991年)、『溝口健二・全作品解説』(2001~シリーズ、近代文芸社)、西田宣善さんとの共同編著『映画読本 溝口健二』(フィルムアート社、1997年)と、溝口健二監督の全時代に及ぶ映画研究をされています。「編年体編集で溝口監督がその時何を考え、何を映画に求めていたかがわかる。田中絹代、小津安二郎、清水宏、織田作之助らとの対談、座談会も収録」と本の帯に書かれています。447頁と、こちらも大著です。

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昨日4月24日に届いたロバート・リーチ著『「パンチ&ジュディ」のイギリス文化史』(5月25日、昭和堂刊行)。訳者の岩田託子・中京大学国際英語学部教授から、刷り上がったばかりの真新しい本を贈っていただきました。岩田先生の主な著書に『イギリス式結婚協奏曲―駆け落ちは馬車に乗って』(中公新書、2002年)、共著『英国文化の世紀4 民衆の文化誌』(研究社、1996年)、共著『衣食住で読むイギリス小説』(ミネルヴァ書房、2003~4年、全3巻)、共著『図説  英国レディの世界』(河出書房新社、2011年)、共著『カズオ・イシグロの世界』(水声社、2017年)、共著『カズオ・イシグロ読本-その深淵を暴く』(宝島社、2017年)など。当館の正会員で、以前幻灯機の種板調査をして貰ったことがあります。その時のことは、こちらで書きました。いずれは、その続きもお願いしたいところ。

「パンチ&ジュディ」は350年以上の歴史を持つ英国の伝統的人形劇。悪漢主人公のパンチは、妻ジュディと子をはじめ、犬、警官、医者から絞首刑執行吏、ワニ、幽霊、悪魔までありとあらゆる敵対者をやっつけてしまいます。マリオネットではなく、人形遣いが一人入れる箱舞台で、両手にグローブのように嵌めて扱う人形芝居。舞台上にはパンチとキャラクターがもう一つ現れるのみ。登場する相手がパンチの棍棒で滅多打ちにされてしまうという、単純で暴力的な人形劇ですが、長きに亘って英国で続いてきたことの意義を著者は探ります。

正直言えば、「パンチ&ジュディ」を私はこの本で初めて知りました。余り聞き慣れない名称のように思ったのですが、日本と決して無縁ではなかったようです。岩田先生によれば、文献から遡れる最初の上演記録は、人形座による1927年4月8日~10日銀座松坂屋。「はじめに」で、岩田先生は「日本の新しい演劇の大きな動きが、日本初のパンチ&ジュディに顕れた、と考える」と書いておられます。映画に於いても伊藤大輔監督のリアリズムに徹した『長恨』が新しいスタイルとして人気を集めた年ですね。「パンチ&ジュディ」は、それから20年余り過ぎた1948年5月8日~6月19日にも俳優座「こども劇場」第1回公演として、毎日ホールと都内小学校で合計23ステージも上演されています。「窓ガラスのない教室、教科書のない学校で勉強している子どもたちのため」企画されたのだそうです。ここから先は、追々読んで学ばせてもらいましょう。

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そして、今日届いた『Exploring Museums in Kyoto』(京都市内博物館施設連絡協議会と京都市教育委員会、2019年4月17日発行)。前回の寄贈本紹介記事では日本語版『京都ミュージアム探訪』でしたが、今回はその英語版。同じく112頁に「おもちゃ映画ミュージアム」が載っています。Web版は今準備中で、5月7日配信予定だそうです。当館の傾向として関東やもっと遠く海外からのお客様が多いので、こうした本やWeb版で紹介いただけることは大変にありがたいです。

以上紹介しました本は、いずれも館内でご覧いただけるようにしますので、お気軽にお声がけください!!!

 

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